谷垣幹事長は正直です。富山市での党会合で、以下のように述べました。

消費税をどうしていくかは非常に大きな、進むにせよ、退くにせよ、非常に重い決断だ。

進むも地獄、退くも地獄という世界だ。

どちらも相当な覚悟でもってやっていかなければやりきれることではない。

参院選を前にして、自民党が最後は一丸となって信念をもって選挙戦に臨めるようにしていくのが、党の責任者として私がやらなければならないことだ。

簡単なことではない。党として一致結束して選挙戦に臨めるようにしていく。 

しかし、この発言には、国民の暮らしを改善するという視点は見えてきません。「国民に負担をかける」だけです。

口では、消費税は「少子高齢化社会にあって社会保障のため」だと言っています。しかし、3%から5%、そして8%と挙げてきましたが、この命題は実現したでしょうか?

消費税増税の裏で大企業には大盤振る舞いの減税は優遇税制・金融財政政策で、大儲けを保障してきました。大企業と富裕層には大儲けを保障してきました。

一方国民はどうだったでしょうか。子どもの貧困・高齢者への福祉の実態を視れば一目瞭然です。これは「現役」世代の貧困が最大の要因ですが、これらは、いずれも国権の最高機関である国会で決めたことでした。

しかし、そのような実態と失政があるにもかかわらず、自民党は認めません。それは 

圧倒的多数の国民によって創られている「富」を「国民に」ではなく、また「圧倒的多数の中小企業に」ではなく、一握りの大企業と富裕層の大儲けを保障する思考回路があるからです。 

しかも、巨大な「富」をため込むことを保障する思考回路です。 

この自民党は、国権の最高機関で、国民が創った富の分け前=おこぼれを「民主主義のコスト」だと嘯いて企業団体献金・パーティー券として、シコタマいただく、それこそトリクルダウンの恩恵を受けとる制度を創っているのです。これが、消費税増税しか想定できない思考回路の最大の要因なのです。

消費税増税をすれば、国民の懐は固くなり購買力が低下する。未来への不安があるからです。

それは賃金が低いからです。非正規雇用制度の拡大が原因です。これも財源確保にとってマイナスです。

消費税増税で一定の財源は確保できるかも知れませんが、購買力が低下するということは企業収益が減るということです。当然財源確保に危険信号が点滅します。

ところが法人減税で企業の設備投資を高め儲けを保障するなどと全くトンチンカンなことをやっているのです。

企業が儲かれば、その恩恵は全国津々浦々で、トリクルダウンとなって拡散するという的外れを推進してきたのです。

国民の地を這うような努力に報いる賃金と雇用の確保こそ、矛盾を解決する最大の保障です。そのためには、シコタマ貯め込んでいる「富」を、「カネは天下の廻りモノ」ということで、社会に行き渡らせることです。

そうすればカネが循環していきます。企業の儲けは、その循環の中の一つのサイクルに位置づけられるはずです。

「進むも地獄、退くも地獄という世界」などという「理屈」は全く成り立たないのですが、これが成り立つところに、国民の立場に立てない自民党があるということが浮き彫りになります。「地獄」に落とされているのは国民です。いや、その国民によって「自由民主」党は賞味期限切れと言うことで「地獄」に落とされる!