憲法平和主義を活かした論陣を張らないのは何故か!
朝鮮半島も東シナ海・南シナ海・インド洋もホルムズ海峡もペルシャ湾も
安倍式積極的侵略主義ではなく
憲法9条具体化地帯にしないのは何故か!
以下の社説が掲載されました。驚きました。そこで、以下、記事に即して検証してみました。ご覧ください。
日韓防衛協力 信頼構築へ交流重ねよ
中日/東京新聞 2015/6/8 8:00
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015060802000128.html
日本と韓国の防衛相が四年ぶりに会談した。両国は北朝鮮の核、ミサイルの脅威に直面しているが、歴史をめぐる国民感情もあり、自衛隊の活動にも関わる防衛協力は足踏みしている。
「両国は北朝鮮の核、ミサイルの脅威に直面している」というが、その「脅威」は、果たして事実でしょうか。東京新聞が、このような「危機」論をベースにして、朝鮮半島問題を捉えているとすると、集団的自衛権行使容認と自衛隊の海外派兵による武力行使に反対できないのではないでしょうか。以下検証いてみます。
しかも、「歴史をめぐる国民感情もある」と「北朝鮮の核、ミサイルの脅威」と同列においているのです。全く朝鮮・韓民族の感情に寄り添った言葉とは思えません!彼らにとっては、この「歴史をめぐる国民感情こそ」が問題なのです。
それは、1875年江華島事件と翌年の日朝修好条規調印から1904年の日韓議定書から一連の協約を経て1910年の併合条約、そして1945年光復節まで70年の民族の苦悩はどうだったか!それは現代の沖縄・琉球を視れば明らかです。
しかし、敗戦後の日本は対米従属の中で、非人道兵器である原爆投下の責任すら問うことなく、70年が過ぎてしまったのです。このような「民族感情」を想像できない社説であることが、改めて浮き彫りになりました。
中谷元・防衛相と韓国の韓民求国防相が先月末、シンガポールで会談し、中断している交流の再開を確認した。だが、各論では韓国は慎重姿勢を崩さなかった。中谷氏は軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の早期締結の必要性を訴えたが、韓氏は「受け止める」とだけ答えた。協定は二〇一二年、署名直前まで進んだが、韓国世論の反発で棚上げされたままだ。
韓国国民が軍隊である自衛隊との「交流」をどのように考えているか、それは「皇軍」が、70年間何をしてきたのか、想像すれば、一目瞭然です。しかも、「皇軍兵士」にさせられて、どうなったか。そのような歴史の事実に対して「無頓着」を示せばしめすほど、韓国国民の中にどのような感情が芽生えて来るのか、想像力の欠落ぶりが浮き彫りです。
対米従属を問題としない、むしろ基地や「思いやり予算」を与えていること、それを正当化するメディアのアメリカ式民主主義礼賛イデオロギーによって日本国中が「汚染」されていることを反映しているといえます。それは、国際法に違反して行われたベトナム・イラク戦争に加担してもなお、日米軍事同盟を「抑止力」として容認し、戦後の平和と繁栄は「日米同盟」お「お陰」だと信じていることなどに象徴的です。
日韓は別々に米国と軍事情報を交換する協定を結んでいるが、二国間では法的拘束力が弱い覚書にとどまっている。北朝鮮がミサイルを発射した場合でも、日韓双方のレーダーによる追尾情報を迅速に共有できない状態が続く恐れがある。
この指摘は東京自身の指摘と言えます。これは日米軍事同盟を橋渡しにした集団的自衛権行使容認の既成事実化に加担するものと言えます。
万歩譲って北朝鮮の核、ミサイルを認めたとしても、それでは、そもそも、北朝鮮に、ミサイルを発射させない日本の外交政策はどうなっているのでしょうか。そのことを抜きした「危機」と「脅威」論の吹聴が、何をもたらしているか!
特に、90年代以降の北朝鮮政策を視れば一目瞭然です。このことは、徒に北朝鮮を悪者にしていると言われても仕方ありません。北朝鮮の「無法」に口実を与えるのではなく、日朝平壌宣言と六か国協議会、そして昨年の日朝合意、という一連の枠組みの具体化に向けて、どのように動いたか、です。
自衛隊と韓国軍が共同訓練や国連平和維持活動(PKO)で、水や食料、物品輸送などを融通し合える物品役務相互提供協定(ACSA)についても、韓国側に慎重論が強い。
この指摘そのものは、日本から視れば、大問題です。軍隊ではない自衛隊が、軍隊である韓国軍と「共同訓練」を行うのは何故か!物品役務相互提供協定そのものが、集団的自衛権行使の既成事実化を謀っていると、誰が否定できるでしょうか。集団的自衛権行使と自衛隊の海外武力行使に反対している東京ではなかったのか!集団的自衛権行使と自衛隊の海外武力行使を容認する安保法制賛成の立場の読売の社説と、どこが違っているのか!驚きです!
読売新聞 日韓防衛相会談/安保協力強化の一歩となるか 2015/5/31 2:00
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20150530-OYT1T50130.html
新たな議題になったのは、国会で審議中の安全保障関連法案だ。防衛相会談で韓氏は日本の集団的自衛権行使を念頭に、韓国と関係があれば相談するよう注文した。中谷氏は「韓国の同意なしに、自衛隊が韓国領に侵入することはない」と説明し理解を求めた。植民地時代をめぐる歴史認識で関係が冷え込み、首脳会談の見通しが立たない現状では、軍事分野で具体的な協力を進めるにはまだ壁が厚いといえよう。
「植民地時代をめぐる歴史認識」に対して誠実な態度を示していない中にあって、「韓国の同意なしに」などという口約束が、どれだけ信頼を得るでしょうか。しかも安倍首相の挑発的言動に対して、徹底した批判を展開していない日本のマスコミ界、日本国民なのです。誰が「自衛隊が韓国領に侵入することはない」などということを真に受けるのでしょうか。
そのことは日米合同委員会の「合意」を、いとも簡単に破棄している米軍を信用していない沖縄県民を視れば明らかです。北朝鮮に対する「不信感」を視れば一目瞭然です。こうした事実すら踏まえることなく、一方的に韓国側に問題があるかのような書き方、物言いにこそ、韓国国民の日本に対する『不信感』が助長されていくことを肝に銘じるべきです。
そもそも憲法違反の「軍事分野での具体的な協力を進める」立場を、これだけハッキリ示している東京の根底にあるのは「軍事抑止力」としての日米軍事同盟容認思想があります。これでは憲法を活かすという思想も思考回路も軽視されるのは当然です。両者は水と油なのです。しかし、そのような思考回路は、東京新聞には全くありません、以下をご覧ください。
それでも、防衛当局は北朝鮮の核、ミサイル開発抑止という緊急の課題について意見交換を続ける必要がある。併せて高官の相互訪問を増やし、海難事故の捜索、救援を想定した共同訓練を再開するなど、交流を重ねて信頼を積み上げていきたい。
「海難事故の捜索、救援を想定した」「自衛隊と韓国軍」の「共同訓練」こそ、本来の軍事行動、集団的自衛権の行使を想定した朝鮮半島における自衛隊の軍事行動と言えます。これこそ北朝鮮を想定した日韓軍事共同作戦と言えます。これでは、如何なる形態であっても、北朝鮮にとっては、「危機」であり「脅威」となることは明らかです。
このことは、東京新聞をはじめとした日本のマスコミが、北朝鮮の軍事行動、ミサイル訓練をどのように評価しているのか、このことを視れば、これまた一目瞭然です。ここには、「自分は正しいことをやっているが、それに反応する北朝鮮は問題だ」という一歩的な思想がいっそう浮き彫りになります。
「軍事抑止力」論の立場にたって、北朝鮮の「無法」を想定して「備えあれば憂いなし」論として、日韓軍事行動を切れ目なく実施できるようにしておく!まさに安倍式積極侵略主義の典型と言えます。
しかし、この思想は、北朝鮮にしてみれば、軍事挑発ということになり、日韓に対抗するために、同じ対応をする口実ともなるのです。ま、北朝鮮政府を挑発をすることで、軍事費を浪費させながら、一方では経済的圧力をかけていく。このことで北朝鮮を疲弊させて、金政権を崩壊させるという作戦と言えば、それも可能性としてはあるでしょう。
しかし、問題は、こうした作戦をとることで、何を否定していくか!それは憲法平和主義の具体化です。憲法9条の、国際紛争を解決する手段として、国家による戦争、武力行使、武力による威嚇=脅し=軍事抑止力は永久に放棄し、非軍事抑止力を使って、非軍事的手段を使って、解決するという『国是』の否定です。
これこそが軍事大国への道と言えます。
日本と韓国の対中政策に隔たりがあるのも、防衛協力を難しくしている。安倍政権は中国の尖閣諸島や南シナ海への進出を強くけん制するが、朴政権は、経済関係、北朝鮮に対する中国の影響力を考慮して刺激するのを避けている。
何故隔たりが出てくるか!侵略戦争と植民地主義に対する反省と謝罪・おわびと補償、そして二度と起こさないための具体的な装置を、憲法9条を具体化する外交路線と一体のものとして展開しなければならない日本政府と国民、それをマスコミとして検証して国民に問題提起をしなければならない社会の公器である東京新聞には、全く見えていません。
シンガポールではカーター米国防長官を加えた日米韓の防衛相会談も開かれた。オバマ政権は今後も仲介役を務め、三カ国の連携強化を促すとみられる。(引用ここまで)
この指摘こそ、日米軍事同盟を橋渡しにした日米韓軍共同軍事作戦、集団的自衛権行使と自衛隊の海外派兵の既成事実化加担ということになるでしょう。
日米軍事同盟を容認している東京新聞の、もう一つの側面が浮き彫りになりました。一面では真逆のことを書きながら、一方では、これまた真逆のことを書いているのです。
日本が朝鮮半島において、どのような役割を果たさなければならないのか。このことについては、すでに、たくさん記事にしてきましたので、ご覧ください。主な点をあげておきます。
1.侵略戦争と植民地主義について、どのような態度を取るか。
2.侵略戦争の反省の上に制定された憲法をどのように使うか。
3.日米軍事同盟ではなく、またアメリカの核の傘の下から脱却して、非核三原則を法制化する。
4.日本・韓国・北朝鮮・アメリカ・中国・ロシアの対等平等性を確認しながら、朝鮮戦争の停戦合意を実現する。
5.これらの国々との経済交流と文化交流を多様に発展させる。
6.北東アジア地域を非核地帯として憲法9条を活かした戦争放棄条約を締結する。