昨日の赤旗に、選挙にあたって、他党との選挙協力についての市田書紀局長の発言が掲載されました。
基本問題での一致必要 選挙協力で市田氏が指摘 政治討論集会 2013年7月1日(月)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-07-01/2013070102_01_1.html
…日本共産党の市田忠義書記局長は「親しみを感じる政党がないわけではないが、わが党の場合は政策で一致点がある政党とはどの党とも国会の内外で力を合わせてがんばるという立場だ」と回答。原発ゼロや憲法96条改定阻止、TPP(環太平洋連携協定)反対など一致点で協力し政策の実現に力を尽くす考えを示しました。 その上で市田氏は「選挙協力となると国政の基本問題での一致がなければ有権者に対して無責任になる。親しみがあるとか感情の問題で言えというのは無理ではないか」と述べました。取材していた記者らが大きくうなずく姿もありました。…(引用ここまで)
従来どおりの発言でしたが、このような質問が出ることそのものに、現局面における国民の期待、すなわち安倍自公政権に対峙する野党の在り方が鋭く問われていることを浮き彫りにしました。
現時点における共産党の問題点は何か、愛国者の邪論の考えは、以下のとおりです。
1.参議院選挙における他党との「選挙協力」で「国政の基本問題での一致」がないなかで、共産党の政策を変更してまで、「協力」することがないということは当然です。
2.しかし、「選挙協力」は何も政党の枠組みに固執する必要もないということです。同時に、賞味期限の切れた安倍自公政権を温存するのかどうか、というレベルで見たとき、また「自共対決」を訴える時、相手をその試合で倒さないことを宣言したゲーム・試合ほど、聴衆を裏切ることはないということです。
3.「原発ゼロや憲法96条改定阻止、TPP(環太平洋連携協定)反対など一致点で協力」している国民運動との連携を模索し、それらの運動を担う人々や団体と賞味期限の切れた安倍自公政権に替わる政権を樹立することを模索することは可能でしょう。
4.これらの国民運動の発展、これらの国民運動が求める政権論の発展のなかで、共産党と他党との「国政の基本問題で不一致」が克服されることはありうることです。何故ならば、政党の政策は、国民の要求の強弱・質で変化するのは自明のことだからです。このことは昨年の官邸前行動が、官邸で首相と団交が実現したことを視れば明瞭です。或いは、トルコ・ブラジル・エジプトの国民運動が政権にどのような影響与えているか、明らかです。「高い政治的、理論的な力量と、労働者をはじめ国民諸階層と広く深く結びついた強大な組織力をもって発展」をめざす共産党として、このことを日本にどう具体化するか、です。
エジプト 数百万デモ 大統領退陣求める声 全土に 2013年7月2日(火)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-07-02/2013070201_03_1.html
不信任署名2200万人突破エジプト大統領選早期実施要求 2013年7月1日(月)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-07-01/2013070107_02_1.html
雇用拡大求め10万人行進伊三大労組 10年ぶり統一行動 2013年6月24日(月)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-06-24/2013062407_02_1.html
「デモ指導者と対話」公共サービス改善 合意よびかけブラジル大統領 2013年6月24日(月)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-06-24/2013062407_01_1.html
治安部隊の弾圧つづくトルコ 反政府デモ6日目労組は抗議のスト突入 2013年6月6日(木)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-06-06/2013060601_04_1.html
5.同時に、共産党は、綱領で、以下のようの述べています。ここには政党間の「国政の基本問題での一致」は述べられていません。
…統一戦線は、反動的党派とたたかいながら、民主的党派、各分野の諸団体、民主的な人びととの共同と団結をかためることによってつくりあげられ、成長・発展する。当面のさしせまった任務にもとづく共同と団結は、世界観や歴史観、宗教的信条の違いをこえて、推進されなければならない。…統一戦線の発展の過程では、民主的改革の内容の主要点のすべてではないが、いくつかの目標では一致し、その一致点にもとづく統一戦線の条件が生まれるという場合も起こりうる。党は、その場合でも、その共同が国民の利益にこたえ、現在の反動支配を打破してゆくのに役立つかぎり、さしあたって一致できる目標の範囲で統一戦線を形成し、統一戦線の政府をつくるために力をつくす。…日本共産党は、国民的な共同と団結をめざすこの運動で、先頭にたって推進する役割を果たさなければならない。(引用ここまで)
6.沖縄選挙区のおける社会大衆党との政策協定がありますが、沖縄以外の各地の選挙区において、或いは比例代表区において、どのような「国政の基本問題での一致」があれば、選挙協力ができるのか、提案すべきです。ま、安倍自公政権温存を前提にしたなかで共産党の躍進を実現することで改革していこうとする現在の選挙政策ではムリな話ですが・・・。
7.それでは共産党が発表している参議院選挙政策のレベルでなければ、選挙協力ができないということであれば、それは一つの理屈ですが、これでは綱領の方針からみても、国民の要求の寄り添ったものと言えるかどうか、はなはだ疑問です。
8.このような立場に固執していれば、「永遠に」、というか、共産党の「自力」が発展し、運動が発展しなければ、「躍進」がなければ、他党との「選挙協力」は不可能と言っているようなものです。ということは安倍自公政権を打倒して、国民のための政権をつくるという政策提案は絵空事になってしまいます。
9.今日の赤旗では、6月の赤旗読者増は6,239人、3ヶ月の入党決意者は1,379人とあります。「日刊紙、日曜版の両方とも前進したのは36道府県と173地区」とあります。36道府県の平均とすると、173人分ということになります。6月は30日ですから、一日あたり5~7人の読者が増えたことになります。これは裏側から診れば、購読を中止する人が大量に出ていることを示しています。こうした読者増は、確かに貴重な「成果」でしょうが、この程度の「自力」で、「躍進」を作り出していけるかどうか、疑問です。特に躍進した東京都では、選挙中であったにもかかわず、日刊紙,日曜版の両方とも前進していないことはどうしてでしょうか?躍進の当該地域なのに、です。
10.ここに共産党の「赤旗神話」が浮き彫りになってきます。確かに共産党がメディアから排除され、共産党シフトが敷かれていることは許すことのできない憲法上の問題です。だからこそ、他党は異なる独自のメディアを使って国民の中に政策と主張と活動を浸透するのは判ります。しかし、問題は、スポーツ選手が心技体を進化させ勝利を獲得していくように、共産党が、国民の中に浸透していくための「進化」論は、極めて不十分です。
11.その最たるものが、「政権」論であり、「草の根」論としての「支部が主役」論の「不未進化」論があります。「マイ名簿」に固執する手法はその典型でしょう。政権交代を体験した日本国民の政治に対する目線、気分・感情・要求の質と量は、新自由主義の浸透のなかで、いっそう共産党を求めているのですが、共産党自身が国民と乖離しているのです。
つづく