アンダンテのだんだんと日記

ごたごたした生活の中から、ひとつずつ「いいこと」を探して、だんだんと優雅な生活を目指す日記

『学歴インフレ』脱却!?

2011年04月22日 | 中学生活
4/20の日経新聞で、「『学歴インフレ』脱却急げ 大学教育の高度化を 企業も採用での自制必要」という、ひとつの面の2/3くらいを占める大きな記事があった。

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大卒なら(高卒に比べて)「ちゃんとしたとこ」に就職しやすいというのは、昔は正しかったんだけど、大卒者の率が大幅に増えてしまった今はそうともいえない。難関大を出ていてやっと。というのが、「学歴インフレ」。

筆者が問題にしているのは、企業が求める「大卒」もしくは「○○大卒」というのが、決してその大学で学んだことの価値ではなくて、大学に合格できるという能力であるということ。つまり、企業が就職の条件にしているのは、企業に入ってから職業のノウハウを学んでモノにできる能力であって、大学などで既に学んでその人に見についているスキルではない。だから、高卒より大卒、大卒より院卒という「インフレ」にはならず、○○大学というラベルについての「インフレ」になる。

この状況はちっとも大学教育の充実には働かず、むしろ就職活動ばかり長期化して大学での勉強のほうは空虚になっていく。地震後の日本再生には優秀な人材がたくさん必要で、大学教育をからっぽにしとく余裕はないはずなのに。

ということで、「豊かな教養と専門性に裏打ちされた、組織や慣例に縛られない、賢明な判断力と建設的な批判力と果敢な行動力が、危機を乗り越えチャンスに変えるための重要な資質となる」のだから大学ではもっと学生に勉強させろ、というのが筆者の主張。そして「大学側の奮起とともに、個別利害を超えた企業の対応が求められる。」と結ばれている。

斜め読みすると、企業が昔より高い「ラベル」を求めていて(=学歴インフレ)、それが大学教育の空疎化を後押ししているみたいな印象を受けるけど、そんな根拠は、少なくともこの記事の中にはどこにもない。

この記事が引いている調査結果というのは、大学卒が少なかった(25%以下)ときには、大企業の正社員になるための条件として「大卒」はある程度有利だったのに比べて、大学卒が増えた(40%以上)現在では、「大卒」であるだけではほとんど効かず、選抜度の高い大学卒(*)の場合にようやく有利。という意味で「学歴インフレ」が進んでいるというもの。

でもこれって、昔よりも、猫も杓子も大学に行くようになったんで、ある程度の大学でなくては、最低限の「勤勉さと学習能力」の指標として使えなくなったというだけのことでは?? まさに、ラベルのほうが「インフレ」していることを考慮すると、別段、企業の求めるものが変化しているという証拠とはいえず、ぶっちゃけ同じくらいのことを求めているだけのように見える。

なんか、このオックスフォード大学教授は、「日本の大学生、もっと勉強せい!!」という、常日頃から言いたかったことを、「学歴インフレ」調査にかこつけて言っただけなんじゃないかな(^^;;

「勤勉さと学習能力」の指標に学歴が流用されるということが、今後も簡単になくなるとは別に思えないし、そこから「脱却(?)」したがる企業がいるとは思えない。そんなことより、学生が大学でもっと勉強するようになって、かつ、企業がそういう人材を活用できれば、それでよいわけだし、この教授先生も満足なのでは?? そのためには、大学で学ぶ内容が、企業や社会のニーズに合ってるかとか、そういう話が必要になると思うけど、この記事ではまったくそういう話に触れられてないのよね。

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(*) この調査でいう「選抜度の高い大学」というのは、「偏差値55以上」だそうだが、「オイ、どこの何の偏差値だよ」とつっこみたくなるのが当然のところ、それに何の言及もないところがまたなんとも。
コメント (4)
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