アンダンテのだんだんと日記

ごたごたした生活の中から、ひとつずつ「いいこと」を探して、だんだんと優雅な生活を目指す日記

「食える数学」…大学数学でつまづかないために

2011年05月14日 | 中学生活
「食える数学」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者、神永正博さんは、数学科を出て現在は工学部の学生に数学を教えている人ですが、小学校の算数はぜんぜんできなかったとか。

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なにしろ、「なぜ約分しなきゃいけないのか」が納得できず、あえて「2/4」とかのままテストを提出していたというんですから、そりゃダメです(^^;; ただ、勉強は嫌いだけど自分で考えるのは好きで、いろんな問題を自分独自の考え方で解いていたようです。たいていは下手糞なやり方なので、それで成績がよくなることはなかったのです。

中学のとき、なんでマイナスかけるマイナスがプラスなのかというところでつまづき、先生が「否定の否定は肯定だからだ」なんていうもんですから数学が余計嫌いになり、成績も最悪。ところが、幾何はこれまでの積み重ねがなくても突然(この著者にはなぜか)わかったため俄然おもしろくなり、突然火がついて数学を勉強するようになったそうです。

それで、高校時代には、学校でやる内容は物足りなくてどんどん大学の内容に手を出していきます。線形代数学、微分積分学、複素関数論、フーリエ解析、位相空間論…。そのときの勉強の方法は、
「教科書の順番どおりに計算の意味や概念からとりかかるのではなく、説明に使われている計算例を、可能な限り計算してしまうわけです。計算できるとうれしいですからね」
といった調子で、使ったものは工学系の教科書。たとえば「工科の数学-線形代数・ベクトル解析」など。

つまり、応用のほうが簡単で具体的なので、最初に工学部方式で経験を積んでしまったわけです。

それで、この筆者は、大学に入学したあと「イプシロン-デルタ」あたり、証明を中心とする数学が出てきても、そこまでの素地があるので跳ね返されることなく、無事に数学科数学の勉強を全うすることができました。

これは、すばらしい話なのではありますが、当然のことながら、ここまで数学しか勉強していないと大学入試としては効率が悪く、「ほかの科目もしっかりやっていれば、こういう中途半端な学歴にはならなかったでしょう」だそうです。

大雑把な理解と操作を中心とする高校までの数学と、厳密な証明を中心とする大学数学の間はギャップが大きく、自分の無理解と怠惰を棚に上げていいますと、いきなり実数の連続性でつまづいて「だから何!?」で思考停止した人は多いはずです。だいいち、数学科に入るわけでもない学生相手に、数学科数学しか頭にない、教えるということに思いをいたさない不器用な学者さんが出てきて、黒板いっぱいに証明を書き連ねるなんて、教育としてはまったくなっていません。

今はもうちょっと工夫がある授業がされているのでしょうか?? もしも、不幸にして昔どおりの授業が行われていて、「そうか、大学の数学は私にはわからないんだ」と素直に引き下がりそうになった人、その証明ばっかりの数学が嫌でも、ほかにやることはあるんです。別の入り口を探しましょう。

この、「食える数学」の本は、別に数学の本ではなくて、単なる読み物です。数学が好きな人も嫌いな人も、あっさり楽しく読めます。読んでみると、生活の中に数学科数学の人たちが作った業績がどんなふうに生きているかわかりますし、それがなじまない大半の人が、自分なりの数学との付き合い方をどうやってみつけていくかについて何らかのヒントが得られるはずです。

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コメント (11)
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