アンダンテのだんだんと日記

ごたごたした生活の中から、ひとつずつ「いいこと」を探して、だんだんと優雅な生活を目指す日記

大人になってからの暗譜

2012年01月10日 | ピアノ
「ピアノ・ノート」が届いたので読み始めた。

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これ、「ベートーヴェンを"読む"-32のピアノソナタ」と同じ人が書いた本だが、あっちが論文的ならこっちはエッセイ的、マニアックといえばどっちもマニアックだけど、その読みやすさには大差がある。「ピアノ・ノート」がイケてたからってつい「ベートーヴェン」の企画を通しちゃったとしたら出版社さんはかなり計算が狂うと思うんだけれども。

そこにこんな一節がある。「投票年齢に達してからは、記憶する速度が落ちるばかりでなく、記憶があやふやになるのも速い。十六歳のころ、わたしはショパンのノクターンを一度初見しただけですぐに暗譜で弾けた。…(略)…だが、ほんの五年前なら記憶に頼って弾けた曲が、今では(まったくの新曲というほどではないにしろ)馴染みの薄い曲のように、楽譜を見なくては弾けない。」

加齢とともに、暗譜がしにくくなる、怪しくなるという話はほとんどのピアニストが共通して言っているようで、ちょうど、かおる先生もその話を書いていらっしゃいますね(「成人式おめでとう(読まないほうがいい)」という記事)。

ところが一方、最近読んだ本で「記憶力を強くする(池谷裕二)」というのがあるけど、これには真逆のことが書いてある。曰く、「脳を詳細に調べてみると、確かに、神経細胞の数は歳とともに減っていきますが、シナプスの数はむしろ反対に増えていくことがわかります。…(略)…この事実は、若い頃よりも歳をとったほうが記憶の容量が大きくなるということを意味しています。」

えーっ。まぁ仮に容量とか大きくはなってるとしても、過去のがらくたとか詰まってて、やっぱり新しいことは覚えられないんじゃないの?? という気もするけど…

しかし池谷さんは重ねてこうも言う。「それなのに人は「歳のせいで覚えが悪い」と嘆きます。この嘆きはたいへんな間違いで、私から見ればそういう人は単なる努力不足であるように思います。そしてまた、昔自分がものを覚えるのにどれほど努力したのかを忘れているのです。勉強がその生活の大半を占める学生時代の経験を忘れ、ただただ老化を嘆くのはとても愚かな行為です。」

うーむ。「勉強がその生活の大半を占める学生時代」というのにはちょっと疑義があるが(^^;; それはともかく。池谷さんは脳科学的な考えからこのようなことを述べているわけで、それはそれで根拠のないことではないけれども、それでは多くのピアニストの切実な実感とのギャップをどう考えるか。

もちろん、この続きに書かれているように、必要な努力すら怠って、ただ「覚えられなくなった」とか嘆いていると、そういうマイナスの暗示が正常な記憶力を妨げるって面はあると思う。それでも、もともとそう思うだけの何かがあったから嘆いているわけだし、とてもそれだけでは説明できない。

むしろ、記憶には階層構造があって、年齢ごとにそのバランスというか発達のレベルが違っているから、記憶するときには「その年齢に見合った記憶の仕方がある」ということがこの謎を解く鍵になると思われる。

つまり、若いときに合っていた方法で記憶しようとしたらできない、ということがあったとしても(たぶんある)、それは脳科学的にもリーズナブルである、と。では、大人には大人の暗譜方法…というのはどういうものなのか…

…なんか話のマクラだけで一回分の量を書いちゃったよ(^^;;
また続き書くけど、でも「こうやれば大人も暗譜できます!!」とかいう話にはならない(だって私は暗譜、超~苦手だもん)ので変な期待はしないように。

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コメント (6)
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