見てきました~「ピアノマニア」。昨日の新宿、会社帰りによしぞうと待ち合わせ、夜7:20からの回。
←どんな音をピアノに求めるか?
平日だし、地味でマイナーな映画だし、すっかり甘く見てましたところ、私としては「早め」、7時前に着いたというのにもう立ち見でした(-_-;;
映画館が狭いんですけど(六十数席?)、立ち見も含めてぎっしりのピアノマニア(かどうか知らないけど、なんか濃いぃ雰囲気が客席から漂ってましたわ)が見る「ピアノマニア」。
座れなかったところはアレなんですけど、映画自体は最初から最後まで文句なくおもしろくって。とにかくピアノ、ピアニスト、調律師、そしてホール、すべてが超一流で、ホンモノ。その丁々発止の緊張感、ときにユーモア溢れるやりとりが、とても自然に撮影されているんですもの。録音もとてもよくて、ピアノの音の変化も楽しめました。(*)
この映画では、シュテファンという調律師を軸にして、そのお仕事風景を綴っています。登場するピアニストたちは、ランラン、ブレンデルなどいろいろですが、中心に据えられているのがピエール=ロラン・エマール。
この人が、バッハの「フーガの技法」を録音しようとしていて、一曲ごとに「クラヴィコードのビブラートがほしい」「オルガンの響きがほしい」「これはチェンバロ」とか言い出すのでえらく話がややこしくなる。けど、このエラールさんはピアノの腕はもちろん、耳もいいしピアノの響きを引き出すのもほんとすごい。だからシュテファンさんも全力で応えようとするんだけど…
エラールさんは、ピアノの音の響きをほめつつ、さらなる要求を「アーバー(しかし)」「フラーゲ(質問)」などと付け足してくるのね。おぉまだ言うか、って感じ。
シュテファンさんの調律の腕だけではなくて、イマジネーション、ユーモア、そして創造性、コミュニケーション力が音のドラマを支えているんですよね。あと、体力もいりそうだ…(録音室にいても、調整に呼ばれたら階段を駆け下り駆け上がり)
無茶ぶりな要求に応えるため、シュテファンさんはかなり奇想天外な、プリペアードピアノ的なセッティングまでいろいろ試すんだけど、なんだかんだでそれではご満足いただけなくて、結局いわゆる「調律・調整」の語彙の範囲内で、でも限界(あとひとつ、つんと押すとバランス崩してすべて崩壊しそうな)ぎりぎりのところまで追究することによって、最終的にはエラールさんの理想の音を出した、らしい。
じゃ、あのあざとい(とも思われる)追加アイテムは結局意味がなかったのかというと、そうじゃないと思うのだ。つまり、エラールが何を求めているかをシュテファンが掴み、逆にシュテファンがどうやって何を実現しようとしているかをエラールが掴み、そして「夢」の確かな共有をしたうえで、より抽象的な技術により結果として実現をする(実現したと感じられる)ということなのかなと。
ピアノマニアなあなたなら絶対ご損はありませんからとにかく見てね(^-^)
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(*) 自然なシーンを撮れるように、信頼を得ること、カメラやマイクの存在を忘れてもらうことと、臨場感と解像度のあるよい音を取ることを両立させなくてはいけないわけです。なんでこんなことができたのか不思議~と思うほどよくできてます。苦労話の一部は、プログラムにある「監督インタビュー」でどぞー。
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映画館が狭いんですけど(六十数席?)、立ち見も含めてぎっしりのピアノマニア(かどうか知らないけど、なんか濃いぃ雰囲気が客席から漂ってましたわ)が見る「ピアノマニア」。
座れなかったところはアレなんですけど、映画自体は最初から最後まで文句なくおもしろくって。とにかくピアノ、ピアニスト、調律師、そしてホール、すべてが超一流で、ホンモノ。その丁々発止の緊張感、ときにユーモア溢れるやりとりが、とても自然に撮影されているんですもの。録音もとてもよくて、ピアノの音の変化も楽しめました。(*)
この映画では、シュテファンという調律師を軸にして、そのお仕事風景を綴っています。登場するピアニストたちは、ランラン、ブレンデルなどいろいろですが、中心に据えられているのがピエール=ロラン・エマール。
この人が、バッハの「フーガの技法」を録音しようとしていて、一曲ごとに「クラヴィコードのビブラートがほしい」「オルガンの響きがほしい」「これはチェンバロ」とか言い出すのでえらく話がややこしくなる。けど、このエラールさんはピアノの腕はもちろん、耳もいいしピアノの響きを引き出すのもほんとすごい。だからシュテファンさんも全力で応えようとするんだけど…
エラールさんは、ピアノの音の響きをほめつつ、さらなる要求を「アーバー(しかし)」「フラーゲ(質問)」などと付け足してくるのね。おぉまだ言うか、って感じ。
シュテファンさんの調律の腕だけではなくて、イマジネーション、ユーモア、そして創造性、コミュニケーション力が音のドラマを支えているんですよね。あと、体力もいりそうだ…(録音室にいても、調整に呼ばれたら階段を駆け下り駆け上がり)
無茶ぶりな要求に応えるため、シュテファンさんはかなり奇想天外な、プリペアードピアノ的なセッティングまでいろいろ試すんだけど、なんだかんだでそれではご満足いただけなくて、結局いわゆる「調律・調整」の語彙の範囲内で、でも限界(あとひとつ、つんと押すとバランス崩してすべて崩壊しそうな)ぎりぎりのところまで追究することによって、最終的にはエラールさんの理想の音を出した、らしい。
じゃ、あのあざとい(とも思われる)追加アイテムは結局意味がなかったのかというと、そうじゃないと思うのだ。つまり、エラールが何を求めているかをシュテファンが掴み、逆にシュテファンがどうやって何を実現しようとしているかをエラールが掴み、そして「夢」の確かな共有をしたうえで、より抽象的な技術により結果として実現をする(実現したと感じられる)ということなのかなと。
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(*) 自然なシーンを撮れるように、信頼を得ること、カメラやマイクの存在を忘れてもらうことと、臨場感と解像度のあるよい音を取ることを両立させなくてはいけないわけです。なんでこんなことができたのか不思議~と思うほどよくできてます。苦労話の一部は、プログラムにある「監督インタビュー」でどぞー。