アンダンテのだんだんと日記

ごたごたした生活の中から、ひとつずつ「いいこと」を探して、だんだんと優雅な生活を目指す日記

いい意味で「ぱちもん」の曲。

2016年03月24日 | ピアノ
ぱちもんオフのときに弾いたのは、アルカンのバルカローレで、あれはメンデルスゾーンの「無言歌」のカタチを引き継ぎつつ「歌曲集」という名前の曲集だったので

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・「無言歌」のぱちもんである。
・「歌」のぱちもんである。(別に歌曲をピアノ曲に編曲したものではなく、ピアノ曲としてしか書かれていない)

という意味からぱちもんである。という理屈にしたんだった。

実際、アルカンさんがどう思ってたのか知らないんだけど…

アルカンは、ショパンを尊敬していたらしいけれども、そしてピアノ曲ばーっかり書いてる点では同じだけれども、方向性はずいぶん違うような気がする。ショパンは、ピアノがあくまでピアノとして鳴る曲というか、たとえばバラードといっても元となった詩をつけて歌えるようなもんじゃなく、標題としてついているわけでも、具体的な筋立て(?)があるわけでもない。

アルカンは、タイトルつけまくりだし、具体的な情景やら、何かに似た(ぱちもん)曲とかてんこ盛りだものね。

なんだっけ、絶対音楽と標題音楽…で、どっちがエライとかエラクナイとかそういう話というか論争を聞いたことがあるけど。

いや別にエラクなくてもかまわないけれど、アルカンは「○○風」みたいなぱちもんづくりがほんとにうまいと思う。

ぱちもんづくりかうまいというのは、まずはその○○がよくわかっているということであり、それを真似できる技術があるということですよね。その二つが、めちゃ優れている場合は…真似が芸の域に達するというか。
(シューマンは、謝肉祭の中にショパンノクターンのぱちもんを入れてるけど、明らかにうまくない。)

それで、エスキスの中からレッスンしてもらう曲を選ぶのに、
「ぱちもん」「短い」「黒くない」
という条件で厳選しまして、

17. Petit prelude a trois (3声の小さな前奏曲)
18. Liedchen (小リート)

あら、片方はフランス語で片方はドイツ語。この、何でもありな感じがまたいいんだけど、17は弦楽三重奏「っぽい」曲で、18はまんまドイツ歌曲「っぽい」曲です。よかったら聞いてみて(リンク先に森下演奏あり)

「歌」にあたる旋律部分もいかにもドイツ歌曲「風」だけど、この前奏、後奏とか、伴奏がね、もうそっくり。構成とか転調とかも…

そして、ドイツ歌曲らしい要素をてんこもりにしてあって、それでたったの1ページ。ぎゅっとパズルみたいに盛り込んであって、このパズルなみに最密充填的な感じがアルカン的という気がします。

それに比べると17.は、そんなに弦楽三重奏っぽいかといえば…うーん(゜-゜)

タイトルはただ「3声の…」としかなってませんが楽譜の最初にquasi col arcoとあって弦楽のつもりってのは間違いないけど、いちばん上の声部はともかく真ん中とか、これをバイオリンで弾くとしたらどうだろう(意味不明すぎる)と思わなくもない。

とはいえいずれも、それぞれ1ページのコンパクトサイズに詰まった「~風」の粋を凝らしたピアノ曲なので、じゃあこれをどう弾いたらそのぱちもん精神が生かされるかというね、今度は弾く側の問題が難しいというかおもしろいというか。

ちょっと弾いてみたんですけど、そしたら17.は見た目よりむっちゃ難しくて弾きにくい、どういう指使いで弾けばいいかもよくわかんない。

森下氏が17.のところの解説で書いているけど
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ピアノに限らず、ある楽器を熟知した名人による曲は、その楽器の奏者にとっては特別なものです。わかってる者同士にだけ生まれる一体感がある。一見、無茶な技術を要求するように見える真っ黒な譜面だったとしても、名人の書いた譜面なら信頼できる。決して本当の無茶は書いていないからです。

それだけでなく、指使いや身体の動かし方までも譜面から間違いようもなく読み取れたりする。そういった身体性は感情表現に直結していることも多くて、作曲家と演奏家は単なる音楽理論を超えた部分でたくさんの情報を共有できるわけです。
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ってまぁ、ほんとうにそうだとは思うんですよね。たとえば、ショパンは案外弾きやすくシューベルトは案外弾きにくいとか、あるじゃないですか、あれは明らかにシューベルトはショパンほどピアノうまくないからだよね。

アルカンについていえば
「アルカンのピアノの腕前は私が保証いたします」(by 森下)

だそうで、それはそうなのかもしれないけど、素人が弾きやすい曲を作ろうって方向には発揮されなかったようだ(-_-;;

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