ふみさんの日々雑感

生活の事、家族の事、大好きなサッカーの事・・・日々いろいろ

文庫「ダーク」桐野夏生著

2006-06-10 20:30:18 | 映画・ドラマ・小説・マンガ
面白かった。この人の書く女性の内面のダークな面は、本当にここまでと言う程書き込まれて面白い。「OUT」「グロテスク」もそうだった。

あの渋い村膳さんが、ああいうタイプの女性と人生の最後の生活を共にするとは・・・。盲目で大女で執着心は並外れて強い久恵。復讐の為なら韓国までもミロを追って行く。どんなに悲惨な目にあっても絶対に立ち上がって復讐のために、ミロさんを追って歩いて行く。3人の男にレイプされても、それでもその男の弱みを握り拳銃を売らせる久恵。

カッコ良くてクールでナルシストで自分の周りを好きなブランドで固めた、新宿2丁目の麗しい住人のホモのトモさん。そのトモさんが自分の為なら、なりふりかまわず裏切りも嘘つきも殺人の手伝いも何だってする。あんなに美しさが心情だったトモさんが、もっとも忌み嫌う外見の盲目の久恵に犯され(?)信じられないほど、ビジュアル的に落ちてしまった生活を出来るとは。

何と言っても、主人公のミロさん。40才になったら死ぬと決めていたミロさん。ヤクザやトモさん、盲目の久恵達に追われ、韓国に逃げて行き殺人までする。

ミロさんも含めて、すべてが悪の人々。ミロさんを騙して、レイプした男を殺すシーンの可笑しさ。そして、トモさんを脅して、久恵を殺人犯に仕立て上げるシーンの可笑しさ。そして、生きて行くという事の、男と女の滑稽さ。

隠れて子供を産み育てるのを助けてくれた二人の老婆も犯罪者。子供をダシにヤクザを騙し大金を持って、たまたま南行きの飛行機に乗り沖縄に行く。

登場人物が何らかの悪人達。東京から北海道へ。そして逃げて逃げて大阪、韓国、東京、大阪、そして沖縄へ。正義のないハードボイルドな内容で、皆がミロさんによってとことん自分の本音を剥き出しにしてお互いを利用して裏切って行く。

いつか、沖縄でのその後のミロさんを読んでみたい。
コメント
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