ふみさんの日々雑感

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「敗因と」金子達仁、戸塚啓、木崎伸也著

2007-08-08 20:35:35 | 映画・ドラマ・小説・マンガ
友達が読んで思わず泣きそうになった、と言ったので読んでみた。

ドイツワールドカップがあんな無残な結果になったので、その手の本は手に取ろうと思わなかった。この間「中田英寿 誇り」を読んで、違う方向から何があったのか知りたくなり、買って読んでみた。

沢山の選手や関係者にインタビューをしてまとめられた本なので、ワールドカップの三試合が細かい所まで脳裏に蘇る。オーストラリア戦、クロアチア戦、ブラジル戦をドイツのテレビ局ZDFの実況放送を交えてのゲームの再現。読んでいても、思い出して辛くなる。

特に、ZDFの放送でブラジル戦の75分「もう、決着はついています。残り15分と少し、ブラジルのボールを使ったマジックを楽しみましょう」「4-1です。おめでとう、ロナウド!彼は本当に衰弱していました。6キロも痩せましたから。一人だけスゴイ選手がいるよりも、レベルの高い選手がたくさんいることが大事なのです。これで、日本のサポーターも分かるでしょう。テクニックが全然違いました」

確かに、ブラジルに2点差で勝つなんて、到底無理とは思っていた。でも、死力を尽くして戦う姿を見たかった。もう、頑張らなくてもいいんだよと、抱きしめてやりたくなるようなゲームを見たかった。だって、ワールドカップ最後の試合だったのだから。

私達が見たピッチでのゲームは腰の引けた、「勝てるのだろうか?どうしたらいいのだろう?」と、ただボールを追いかけている試合だった。

日本中のプロサッカー選手が夢にまで見る、ワールドカップへの出場。4年に一度しかチャンスが無い。それも、23人。それも、その時の監督が最高の選手だと認めた23人。彼らには、国の為にとは言わないが、選ばれなかった全てのサッカー選手の為に、自分の持ちえる最高のプレーをする義務があったのではないか。とても、100パーセント以上の力を出したとは思えない。

「ドーハの悲劇」は、負けた試合なのにどうして、私達は忘れないで時々「あの時は・・・」と語り合うのだろう。それは、彼らの戦う姿が、「どうしても、ワールドカップに行きたい!行くんだ」と言う気迫がTVのこっちにも伝わって来たからだろう。そして、ピッチに倒れ込んで起き上がれず泣いている選手達。一人一人を慰めるオフト監督。遥かに遠く離れていても、TVの前で私達も一緒に戦っていたように感じた。

同じ、敗戦でも、ドイツワールドカップは何も心に感動がない。虚無感とやるせなさ。あるとしたら、唯一、ヒデの泣いている姿だろう。ヒデは「今回のは02年のチームより明らかに力は上だと思う。選手個人の能力も、チームとして出来ることも、はるかに上。ただ、誰かがチームの為に犠牲になって走るとか、ミスをしたヤツの分まで必死になってカバーするとか、そういう気持ちみたいなのが全然なかった」と言う。そう言えば、オシムが言っていた“水を運ぶ人”が必要なんだと。

ヒデが「今回は自分の中で戦えたっていう満足感みたいなのがある」と前園に語り、前園は「アイツから“戦う”なんて言葉が出てくるなんて思わなかった」と言っている。

他の選手達はどうだったのだろう。敗戦の責任をすべてジーコに押し付けたようになっているが、戦うのは選手である。23人に選ばれて、そして、ほぼスタメン11人プラス3人に固定されて満足してはいなかったか。

最後まで、チームはバラバラで一つに成りえなかった。なぜ?どうして?ワールドカップで勝利するよりも、別の感情の方が優先されてしまったのか。

ZDFのアナウンサーの言葉「日本の前日練習を見て驚かされたのは、そのとてつもない静けさでした。前日練習ですよ!ピンのひとつでも落とそうものなら、聞こえるんじゃないか。そう思えてしまうぐらいでした。チームメイトとの間で、声をかける姿すらなかったです。異常な感じさえしましたね」。

結局、その言葉がすべてを語っているのだろう。日本チームの実態を。

中澤が言っている「トルシェが最後に僕ではなく、秋田さんや中山さんを呼んだのは、そういう事なんだなあって。こうやって自分がワールドカップを経験してみると、大先輩が試合に出られなくても声を出してくれるのが、大舞台には必要なのかなと。」と。30歳以上の選手は皆GKでフィールドプレーヤーには、一人もいなかった。もし、藤田俊哉か三浦淳宏がいたらどうだったのだろう。

私は思う。たとえ、監督が誰であろうと、システムがどうであろうと、チームメイトが誰であろうと、相手がどこであろうと、戦うのは選手達。ピッチに立ってしまえば、一致団結して勝利の為に戦うのが、プロではないか。大舞台で自分の実力を100パーセント以上が出せないのなら、日の丸を背負う資格は無いと思う。

これからも、直近では22日に、代表として戦う試合がある。気持ちの感じられない選手は、絶対に次には選ばないで欲しい。たとえ、日本のスーパースターと言われる選手でも。私達サポーターも、もっと、厳しい目を持たなくてはいけないのでは。
コメント (1)
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