実家に帰ると、いつも風を感ずる。子供の頃から、たえず色々な風が吹いていた。家の周りの沢山の高い杉の木。そして、北側の一部は竹林。
空に近い杉の梢だけを渡る風の音。竹林を揺らす風のささやき。田んぼの向こうの裏山でざわめく風の声が稲穂を波打たせ、家の周りを回って通り過ぎて行く。
初めて、今のマンションを見に来た時、風が無いのに、遠くで大きな木々の梢を渡る風の音を聞いた。それは、目の前に広がる里山からだった。懐かしい故郷と同じ空気の震えを感じた。私は、この風が棲む丘が気に入った。
この詩を読んだのはいつだったろう。思わず懐かしくて涙ぐんだ。私には死者からのメッセージというよりは、故郷の緑豊かな山、家の脇を流れる小川、柔らか色の空、稲穂たなびく田んぼ、そして、いつも耳に感じる七色の風の音。
私の心にしっかりと思い出として残っていている、優しい田舎の風景。今は、失われつつある故郷の原型。
友達や姉に「素敵な詩があるよ」と教えたけど、その時は興味無さそうだった。清々しい歌声が流れるようになって、大変なブームになった。姉さえもCDを買った。
私はまだまともにこの歌を聞いていない。なぜか私の心のイメージと違うような気がして…。
でも、作曲をした新井満氏の曲が出来るまでを読んで、ちゃんと聞いてみようかな、と思った。
彼が作曲した北海道の家の周りでは様々な色の、形の、大きさの風が吹いていた。なかなか曲が出来ず苦しんでいた時、ボーっと風の流れを見ていたら、すっと出来たという。
実家にいる間中、風の中に去年亡くなった父を感じていた。家の中に、自分で大切に刈り込んでいた庭木のそばに、緑に揺れる稲穂の中に、山菜やキノコを取りに行った裏山に。
たった一つの、私の父という風になって。父さん、また帰って来るから、風になって私を抱きしめてね。
《「ダーク・エンジェル」22巻にのっていた“あとに残された人へ1000の風”三五館刊》
私の墓石の前に立って涙を流さないでください
私はそこにはいません
眠ってなんかいません
私は1000の風になって吹きぬけています
私はダイヤモンドのように雪の上で輝いています
私は陽の光になって
熱した穀物にふりそそいでいます
秋にはやさしい雨になります
朝の静けさのなかであなたが目覚める時
私はすばやい流れとなって駆けあがり
鳥たちを空でくるくる舞わせています
夜には星になり私はそっと光っています
どうか その墓石の前で泣かないでください
私はそこにはいません
私は死んでないのです
空に近い杉の梢だけを渡る風の音。竹林を揺らす風のささやき。田んぼの向こうの裏山でざわめく風の声が稲穂を波打たせ、家の周りを回って通り過ぎて行く。
初めて、今のマンションを見に来た時、風が無いのに、遠くで大きな木々の梢を渡る風の音を聞いた。それは、目の前に広がる里山からだった。懐かしい故郷と同じ空気の震えを感じた。私は、この風が棲む丘が気に入った。
この詩を読んだのはいつだったろう。思わず懐かしくて涙ぐんだ。私には死者からのメッセージというよりは、故郷の緑豊かな山、家の脇を流れる小川、柔らか色の空、稲穂たなびく田んぼ、そして、いつも耳に感じる七色の風の音。
私の心にしっかりと思い出として残っていている、優しい田舎の風景。今は、失われつつある故郷の原型。
友達や姉に「素敵な詩があるよ」と教えたけど、その時は興味無さそうだった。清々しい歌声が流れるようになって、大変なブームになった。姉さえもCDを買った。
私はまだまともにこの歌を聞いていない。なぜか私の心のイメージと違うような気がして…。
でも、作曲をした新井満氏の曲が出来るまでを読んで、ちゃんと聞いてみようかな、と思った。
彼が作曲した北海道の家の周りでは様々な色の、形の、大きさの風が吹いていた。なかなか曲が出来ず苦しんでいた時、ボーっと風の流れを見ていたら、すっと出来たという。
実家にいる間中、風の中に去年亡くなった父を感じていた。家の中に、自分で大切に刈り込んでいた庭木のそばに、緑に揺れる稲穂の中に、山菜やキノコを取りに行った裏山に。
たった一つの、私の父という風になって。父さん、また帰って来るから、風になって私を抱きしめてね。
《「ダーク・エンジェル」22巻にのっていた“あとに残された人へ1000の風”三五館刊》
私の墓石の前に立って涙を流さないでください
私はそこにはいません
眠ってなんかいません
私は1000の風になって吹きぬけています
私はダイヤモンドのように雪の上で輝いています
私は陽の光になって
熱した穀物にふりそそいでいます
秋にはやさしい雨になります
朝の静けさのなかであなたが目覚める時
私はすばやい流れとなって駆けあがり
鳥たちを空でくるくる舞わせています
夜には星になり私はそっと光っています
どうか その墓石の前で泣かないでください
私はそこにはいません
私は死んでないのです