トリノ・エジプト展

昨日、雨の中、夫と行って来た。雨でも、並ばなくても良かったが、沢山の人が入っていた。

説明を読みながら、ユックリと進む。

写真や絵で見た事のある彫像や石棺や石碑。そして布で撒かれたミイラ。でも、やっぱり実物には圧倒される。

あらゆる所に書かれたヒエログリフ。これを読み解く事が出来たからこそ、神々や王達の名前と当時の事を私達も知る事が出来た。読み方の説明書を見ながら、改めて凄いなと思う。

そして、すべてが“死と再生”を物語っている。説明に「古代の人々には死は未知の経験。だから、再生の為に全てが費やされた」と。

何千年後の現代でも、人間にとって“死は未知の経験”。この世に再生した人は皆無なのだ。

確かに再生する為には、この世に肉体が必要だと考えるだろう。火葬にしてしまえば本人として再生する事は出来ないから。だから、王は自分の死後に再生する為にもあらゆる手を尽くす。

会社勤めをしていた時、博識の同僚が言っていた。「古代人も現代人も考える事にそう違いは無い。違うのは蓄積してきた知識を学べるからだ」と。

古代エジプトの遺産を見ながら、人間は人間としてどれだけ進歩したのだろうかと考えてしまう。宇宙に行く事も、高層ビルも、飛行機も、ありとあらゆる物や事がコンピューターによって出来るようになったし、生活する為に便利になった。

でも、生まれて、大きくなって、子供を育てて、そして寿命が尽きて死んで行く事は変わらない。これからも、未来永劫に変わらないだろう。時の権力者は、どれだけ永遠の命を願った事か。でも、やっぱり、この摂理は変わらなかった。

人間の代わりに何千年と生きて来た、これら石像の王や神達は、まだまだ、未来に向けて、私達の移りゆく文明を見つめ続けて行くのだろう。そして、何千年後、私達の世界はどうなっているのだろう。私も見てみたいと思う。