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都市徘徊blog

徒然まちあるき日記

刑部邸 1

2008-07-28 | 新宿区  

 実家に絵が飾ってあったため、私が勝手に御縁を感じていたお家は一昨年無くなった。

刑部邸・別棟
所在地:新宿区中井 2-19-7
構造・階数:木2
林芙美子邸東側、2006.4 二棟とも解体
Photo 2006.2.19

 刑部人氏はかなり前に亡くなっていたけど、お家はまだあるんだよ、という話を母にしてからしばらくして、その刑部邸自体が無くなるということを知った。後悔先に立たず。結局、私が刑部邸をまじまじと眺めたのは1、2回だけで終わってしまった。ただ考えようによっては、全く知らずに見ないまま終わったのでなく、外からだけだが見ることができたのは幸いだったのかもしれない。

 写真は林芙美子邸の東側、四の坂の道を隔てたすぐ隣にあった建物。スパニッシュスタイルの刑部人アトリエの建物の西側にあったもので、別棟だという。門は大谷石で屋根付きのどっしりとした構え。庭には多くの木があり、建物は門のあたりからしか見えない。

林芙美子邸の庭から

 記念館として公開されている林芙美子邸の庭からも、小さな竹藪越しにハーフティンバーの瀟洒な洋館が見えていた。小豆色の瓦屋根が落ち着いた中に少しの華やぎを与えている。このように、隣のお家が庭木越しに垣間見える風景は、美しく良質な住宅街の一つの条件だろう。自分の家の庭がきれいでも、隣がマンションだったりするとがっかりする。

 落合、中井界隈は大正期までは郊外の田舎だった場所。大正後期に目白文化村が開発・分譲され、震災後の昭和の初めには西武新宿線ができ、急速に宅地化が進んだそうだが、それでも緑が多い武蔵野の郊外住宅地だったのだろう。刑部邸は往時のそのような雰囲気を残すお家だった。

屋根部分

 木製の窓が美しい。観音開きの雨戸にスリットが入り、美しい影を落としている。

刑部人の風景画   刑部邸 2

Tokyo Lost Architecture   #失われた建物 新宿区  #近代建築  #洋館・洋風住宅 
コメント (2)
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