東京女子医科大学 1号館
所在地:新宿区 河田町 8
構造 :RC
階数 :5+R1
設計 :増田清
建設年:1930(昭和5)
解体年:2016(平成28)
Photo 2009.4.18
十字型平面の病院建築。
下記、東京女子医科大学の記事によれば、設計した増田清が機能的で合理的な設計として、日本で初めて「十字放射型病院建築」プランを提案したという。十字放射型プランは、①壁面が多いため多くの窓が設置でき採光や風通しがよい、②エレベーターを用いた効率のよい動線計画が可能、③交差部から各病室への目配りがしやすい、④増築がしやすい、などのメリットがある。
創立者の吉岡彌生は「学校の附属病院は、暗い冷たい部屋が一つもないように、理想的な病院をつくりたいと思い、十字形放射状という面白い設計を選んでみた」と述べていたという。
Photo 2003.9.25
見る方角によっては1枚目のようにシンメトリーになり、両翼が手前に広がる形に見えるが、別の位置から見ると真っ直ぐな建物から出っ張りが手前に出る形に見えるなど、少々意外な見え方をする建物だった。
機能的に当時としては斬新な造りだったのだろうとは思うが、外見だけを見ると十字型が上手く生かされていたのかよく分からない感じに思われた。勝手なことを言ってしまうと、十字のそれぞれの腕(翼部)がもう少し長ければ壮麗で格好良いプロポーションに見えたのではないだろうか。敷地の広さの制約もあるので無理な話ではあるのだが。
Photo 2009.4.18
正面玄関の庇には、校章をモチーフとしたテラコッタ製のレリーフが付けられていた。またその庇から連なる1階と2階の境や屋上のパラペット部分にも、帯状にテラコッタの細長いタイルが張られ、外観のアクセントになっていた。
Photo 2009.4.18
外壁全体はスクラッチタイルだが、1階の壁面には大きめで出っ張りのある他では見掛けないタイルが張られていた。
跡地には2020年に彌生記念教育棟が完成した。新棟には旧校舎にあった特徴的なタイルやアーチ型の窓のデザインが継承されている。
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