残念なお知らせ
築地菊栄ビル(旧松竹キネマ本社)
所在地:中央区新富2-7 Google Map
建設年:1927(昭和2)
構造・階数:RC、5F・B1F(6Fは後年の増築)
2013.11~2014.4に解体予定
Photo 2013.10.13
新富町の南端、築地橋のたもとにある菊栄ビルは、菊正宗酒造株式会社の東京支店として使われている建物で、昔は松竹キネマの本社だったそうだ。
この界隈は明治初期には新島原遊廓が置かれた場所で、その後、新富座という芝居小屋を核として花街が成立して賑わった場所だという。現在は普通の、どちらかというとやや静かな商業地にしか見えない場所に松竹キネマの本社があったことは意外に感じられるが、芝居小屋や花街があった場所でかなり繁華な場所だったと知れば納得がいく。
新富座は、菊栄ビルの北側(写真の左隣)、現在京橋税務署がある場所で興行をしていた。東銀座に歌舞伎座が出来てそちらに人気を奪われていたこともあり、関東大震災で被災した後、再建されずそのまま営業をやめたそうだ。震災前に既に松竹が経営権を握っていたこともあり、震災後はここに松竹の別館が置かれたという。
1Fはスクラッチタイル張りで、建物の西南側角に玄関がある。2F以上の外壁にはほとんど装飾がない。昭和初期の近代建築としてはモダンな造りだ。
ちょっと珍しいというか変わっているのは、腰壁が外に向かって傾斜していること。窓台部分では外に張り出し、下の階の窓上の庇部分はあまり出っ張っていない。雨が壁面に当たりにくくなるので汚れが付きにくいなどの現実的な機能や理由があったのかもしれないが、地味になりがちなモダニズム系デザインを微妙に個性的なものにしている。
玄関まわりのディテール
Photo 2013.10.13
角地に面した玄関上部にはアールデコ的な幾何学模様を施した装飾が付けられている。
解体工事のお知らせ標示
Photo 2013.10.13
11月23日から解体工事の予定とのこと。
ネットで見ると、今年の7月頃時点まではテナント募集がされたりしていたようで、もしかするとその時点では存続の方向を探っていたのかもしれないが、結局、解体されることになったようだ。発注者が三菱地所レジデンスとのことなので、跡地にはやはり高層マンションが建つのだろうか。
関根要太郎研究室@はこだて
> 東京新富町の旧松竹キネマ本社(昭和モダン建築探訪)
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Tokyo Lost Architecture
#失われた建物 中央区 #近代建築
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