「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

        ”古いアルバムめくり有難うとつぶやいた”

2012-02-17 07:36:33 | Weblog
”古いアルバムめくり有難うとつぶやいた”(涙そうそう)-昨日の誕生日、なにか無性に過去が恋しくなり、仕舞っておいた古いアルバムを持ち出した。そのうちの一冊は亡父が僕の誕生を記念して作ったもの(写真)で、昭和6年から18年まで毎年、誕生日に僕を写真館へ連れてゆき撮ったものを年代順に貼ってある。48歳という遅い子持ちだったので、亡父は子供を持った親の喜びがよほど大きかったのだろう。

「戦前昭和」の時代、一般の日本の家庭ではあまりカメラは普及していなかった。わが家には六桜社(現在のコダック)のパーレットという国産のカメラがあった。たしかベスト版の12枚撮りのジャバラが飛び出す古めかしいものだった。が、意外にこれで撮った写真はアルバムに残っていない。理由はわからないが、現在のカメラと違って撮影者によって写真の出来不出来が大きかったためかもしれない。きちんとした写真は専門の写真屋に頼んで撮ってもらった。

亡父は自分の一生を別の一冊のアルバムに残している。明治17年東京下谷で生まれた直後の写真から昭和43年亡くなるまでの写真を晩年、一冊のアルバムに貼り直し、物語風のキャプションを付けている。自分の生きてきた節目節目を写真で表現したものだ。ほとんどが集合写真だが、亡父の生きてきた時代もわかり興味深い。

僕も亡父と同じ年代になり、同じように一生をアルバムにしようと思ったこともあるが、戦争から戦争直後は写真を撮る余裕がなく、この間が空白である。そして逆に昭和40年代に入って、いわゆる”バカチョン”カメラの普及からかそれ以後の写真が多すぎて整理がしにくい。それに今はパソコンの時代で、アルバムに貼らないでも写真は保存できる。しかし、古いアルバムをめくり、ありがとうと言う感激は将来なくなってくるかもしれない。