「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

天皇陛下の「生前退位」報道の意図するもの

2016-07-15 05:39:39 | 2012・1・1
天皇陛下の「生前退位」の報道が突如出てきた。宮内庁は公式には否定しているが、各紙の報道によれば、陛下の「生前退位」へのご意向は強いようで、これを受けて政府は皇室典範の改定に乗り出したという。天皇陛下は82歳、皇后陛下も81歳というご高齢であり、しかも天皇陛下は、前立腺ガンの手術を受け、心臓バイパス手術までされている。

両陛下は「生前退位」のご意向として”日本国と日本国統合の象徴”(憲法前文)としての公務や皇室祭祀がしっかりと実施するのが難しくなってきたことをあげている。戦中戦前、わが国には不敬罪という法律があり、僕が新聞社に入社した昭和20年代後半でも、多少冗談混じりだったが、皇室関係の扱いは注意しろと先輩記者から強く言われたものだ。その意味では、こういった記事を書くことさえ昔はできなかったが。

「生前退位」が突如流れたタイミングである。天皇陛下は、先日死去した永六輔さんと同学年で、戦時中学童疎開され、戦後は食糧難を体験された。推測だが、天皇陛下は永六輔さんの死去に日頃、感じられてい事を改めて”関係者”にもらされたのかもしれない。各紙とも「生前退位」の報のニュースソースを明らかにしていないが、この”関係者”が参院選挙後の憲法改正機運に結びつけてマスコミを利用したのかもしれない。

現行の皇室典範には「生前退位」の規定はなく改正が必要で、その改正には憲法の解釈論議も必要になるかもしれない。よって国民の関心はどうしても憲法改定に向いてくる。思いすぎかもしれないが、国民の大半は、両陛下の「生前退位」に同情的であり、自然と憲法改定に目が向いてくる。ちなみに、僕は憲法改定に賛成派であるが。