カップッチッリが歌ったジョルダーノ『アンドレア・シェニエ』から「祖国の敵!」(「国を裏切る者」、とも訳される)
堂々たる日本公演だった。(日本語字幕あり)
聴いていて鳥肌がたった。
誰がこのように歌えるだろうか・・・孤高のカップッチッリ、「いぶし銀」の魅力、「漢カップッチッリ」だった。
フランス革命で、ロベスピエールの片腕となって活躍したが、革命は暴政へ、次から次へと「粛清」の嵐だった。
革命で多くの人々を貧しさから救おうとした理想は、全く別のものになった。
この苦しい心境を歌う革命の闘士だったジェラールは、やがてフランス革命を批判する詩人アンドレア・シェニエを革命裁判で護ろうとする。
そしてその三日後、ロベスピエールは失脚するのだった。
カップッチッリが歌うジェラールのモデルは、のちのパリ大学の総長の若き日だった・・・。
私の10代は、このオペラのレコードに夢中になり、これが青春だった。声楽を志したのもこのオペラがもとだった・・・。
後年、マリオ・デル・モナコに言った。
「私はマエストロのシェニエに感動しました」・・・でもそれはやがてカップッチッリに「ジェラールを熱唱されたのを聴き、感動し、言葉を失いました」
と言うことになった・・・。