La Mamma Morta - from Philadelphia
アメリカ映画「フィラデフィア」で話題になったジョルダーノのオペラ「アンドレア・シェニエ」から、貴族の令嬢マッダレーナがフランス革命で落ちぶれ、貴族出身であることを隠しながら困窮を極める生活とその中で詩人シェニエの言葉が生きる勇気を与えたことを語る。
歌はマリア・カラス・・・この歌は私もラジオからのレコード放送(もちろん、廊下です)で高校時代に聴き、我を忘れて感動したものだった。解説も丁寧だった。
映画では不治の病に苦しむ患者が、この歌を聴き、その感動を医師に語る。医師は興味なく聴いていたがだんだん患者の心にひきこまれる。
<歌詞和訳>
亡くなった母を運ぶ人々が
私の部屋の前にやって来ました
母は死んで私を守ったのです
それから深夜、ベルシとともに家を出ました
途端に閃光が道を照らし
振り返れば、家が炎に包まれていました
こうして孤独になり、全てを失くし、
飢餓、惨状、
貧困、危険、
さらに病魔
優しく清らかなベルシは
私のためにその清らかな美しさを売りました・・・(ベルシはマッダレーナの家庭教師だった女性)
私は大切な人まで巻き添えにしました
そのような苦しみの時
私に愛が訪れたのです
美しい声が
語りかけてきます
もう一度生きなさい
私がその命となろう
私の瞳の中に君の姿が見えるだろう
君は一人じゃない
君の涙は私が拭おう
君の先に立ち導こう
笑って、希望を持ちなさい
私は愛です
全てが血と泥ばかりだと言うのか?
私は神聖、
私は忘却、
私は神、
この地上に楽園を作るため
天から降りてきた
私は愛、私が愛なのです
Antonietta Stella, La mamma morte
そして、実際のオペラ「アンドレア・シェニエ」から、イタリアのプリマドンナ、アントニエッタ・ステッラによる同じ曲。
敗戦後苦しんでいたイタリアで、オペラ復興、ステッラの劇的な表現は感動させる。
バリトンでジェラールを歌うのは、タッデイ。
ジェラールはマッダレーナ一家に仕えた召使いであったが、フランス革命後の今はロベスピエールの片腕といわれる政治家。
そしてマッダレーナにあこがれているが、彼女は自分とひきかえに詩人シェニエを助けてほしいと願い、彼女を愛するジェラールはその大きな愛に絶望し、また、シェニエを心ひそかに尊敬していただけに、彼女を励まし、シェニエの弁護をする決意をする。ここには出ていないがこの時のシェニエはマリオ・デル・モナコであった。
アメリカ映画「フィラデフィア」で話題になったジョルダーノのオペラ「アンドレア・シェニエ」から、貴族の令嬢マッダレーナがフランス革命で落ちぶれ、貴族出身であることを隠しながら困窮を極める生活とその中で詩人シェニエの言葉が生きる勇気を与えたことを語る。
歌はマリア・カラス・・・この歌は私もラジオからのレコード放送(もちろん、廊下です)で高校時代に聴き、我を忘れて感動したものだった。解説も丁寧だった。
映画では不治の病に苦しむ患者が、この歌を聴き、その感動を医師に語る。医師は興味なく聴いていたがだんだん患者の心にひきこまれる。
<歌詞和訳>
亡くなった母を運ぶ人々が
私の部屋の前にやって来ました
母は死んで私を守ったのです
それから深夜、ベルシとともに家を出ました
途端に閃光が道を照らし
振り返れば、家が炎に包まれていました
こうして孤独になり、全てを失くし、
飢餓、惨状、
貧困、危険、
さらに病魔
優しく清らかなベルシは
私のためにその清らかな美しさを売りました・・・(ベルシはマッダレーナの家庭教師だった女性)
私は大切な人まで巻き添えにしました
そのような苦しみの時
私に愛が訪れたのです
美しい声が
語りかけてきます
もう一度生きなさい
私がその命となろう
私の瞳の中に君の姿が見えるだろう
君は一人じゃない
君の涙は私が拭おう
君の先に立ち導こう
笑って、希望を持ちなさい
私は愛です
全てが血と泥ばかりだと言うのか?
私は神聖、
私は忘却、
私は神、
この地上に楽園を作るため
天から降りてきた
私は愛、私が愛なのです
Antonietta Stella, La mamma morte
そして、実際のオペラ「アンドレア・シェニエ」から、イタリアのプリマドンナ、アントニエッタ・ステッラによる同じ曲。
敗戦後苦しんでいたイタリアで、オペラ復興、ステッラの劇的な表現は感動させる。
バリトンでジェラールを歌うのは、タッデイ。
ジェラールはマッダレーナ一家に仕えた召使いであったが、フランス革命後の今はロベスピエールの片腕といわれる政治家。
そしてマッダレーナにあこがれているが、彼女は自分とひきかえに詩人シェニエを助けてほしいと願い、彼女を愛するジェラールはその大きな愛に絶望し、また、シェニエを心ひそかに尊敬していただけに、彼女を励まし、シェニエの弁護をする決意をする。ここには出ていないがこの時のシェニエはマリオ・デル・モナコであった。
わたしはこのアリアが大好きです。
愛を歌ったアリアの最高峰だと思います。
「生き延びよ」という声。
それは「命」であり「愛」の声だった。
力強い歌です。
先月、亡くなってしまった祖父はラバウルで一度死に掛けたとき、光の中で、生き延びよ、という声をきいた。
それは戦友たちの、祖母の、愛の声だったのかもしれないと思いました。
軍服を着て棺に収まり、わたしの「海ゆかば」で送られた祖父は、戦友に、そして祖母に会えたでしょうか。
以前は意識を取り戻されたとおききしており、ホッとしたのですが・・・お辛いことでしょう。
「海軍陸戦隊ジャングルに消ゆ」は、素晴らしい本でした。ご祖父さまの戦場でのことが、どんな状況にあっても誇り高く書かれており、さすがと思いました。
「生き延びよ」という大きな光をご覧になったこと、これは戦場で多くの戦士が経験したこと、不思議なことです。
そして「アンドレア・シェニエ」の没落した貴族の令嬢マッダレーナのこのアリア、後半はシェニエの言葉、これが困窮したマッダレーナの言葉となる時、ジェラールはもちろんシェニエの言葉として聴き、恋には破れるも、尊敬するシェニエの弁護をすることを強く決意する、この場面、もうすごいとしかいいようがありません。
フランス革命は暴政となり、群衆は血に飢えた猛獣のようになってしまった。
その革命裁判でシェニエは堂々と祖国愛を歌い、ジェラールは「今の祖国は剣や斧で人を殺す祖国だ、祖国の詩人を殺してはならない」と人々を説得する命がけの場面、シェニエとジェラールという違った環境に生まれ育ったふたりが、祖国への思いで命をかけて一致し、やがて暴政に終焉を与えるという事実、感動です。
ご祖父さまのご冥福をお祈りします。
アマゾンのレビューですが、私のブログから出しておきました。
そのうち掲載されると思います。
しばらく時間がかかると書いていましたので。