藤井聡編集長『クライテリオン』11月号
総力特集「安倍晋三 この空虚な器」
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@・・・宮崎正弘氏のメールマガジンより転載
かつてラジオ番組対談で、ホストが鳥越俊太郎氏だった。
「小泉政治は靖国参拝でプラス百点。郵政改悪民営化でマイナス百点、ゆえにプラスマイナス零点です」と評者(宮崎)が答えたことを思い出した。
西尾幹二氏は小泉純一郎の政治を評して、「靖国でふっとわれわれに寄ってくるそぶりを見せる」だけだと、その欺瞞を早くから見抜き「狂人宰相」と名づけた。
また西尾氏は、安倍首相に関しても、もっとも早くから猛烈な批判を展開してきたことはつとに知られるだろう。
保守論壇は諸手を挙げて安倍首相を歓迎していた時期だったゆえに、西尾氏の安倍評価は、異形の激論と取られた。しかし昨今は保守論壇が分裂し、安倍批判派が増えた。それも急速に増えた。
理由は簡単である。
靖国神社参拝に行かなくなった。プーチンを二十数回も会談しながら、中味がない。北朝鮮の拉致問題は一歩も進まない。トランプのボチ化した。こともあろうに中国に「一帯一路に協力する」といいだし、日中友好を演出することに汲々となり、外国人移民を奨励した。極めつけが消費税10%導入だ。
財政出動が日本経済を救うのに、小泉ブレーンとして日本経済を破壊した竹中某を周辺において、経済政策を滅茶苦茶にしてしまった。あれほど反対論が渦巻いたのに、財務省にみごとに操られ、プライマリーバランスとかの怪しい理論に振り回される始末だった。改憲論議は奇妙な加憲議論とすり替えられ、どこにも理念は感じられなくなった。
要するに首相の器に非ず、期待は雲散霧消し、保守論壇の安倍評は冷え切っている。
それでもなお政権の座にあるのは、安倍に替わる政治家がいないからだが、この特集でも西尾氏が藤井編集長と対談し、替わりはいくらでもいるとし、安倍批判のダメ押しをしている。
政策とは、いかに思いつきが良くとも、予算化されて初めて実行されるのである。予算段階で、財務省の力は圧倒的につよく、防衛予算ばかりか、多くの景気刺激策をばさばさと削減された。反対に日本の景気がわるくなるように財務省は国民の生活が困窮化するような措置を講じた主犯である。
アベノミクス初期だけは経済効果をあげて株高を招いたものの、その後はさっぱり。
「鰻の蒲焼きの匂いはするが、結局、国民は蒲焼きを食べられずに終わりそうだ」と藤井教授が舌鋒鋭く比喩するのである。
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また藤井聡氏はメールマガジンで次のように述べています。
>まさしく「保守」を名乗っている『表現者クライテリオン』が、保守の、保守による、保守のための安倍晋三批判を一度徹底しておくべきではないか。それによって、言論における「スジ」を忘れた論壇の「空気」を批判しつつ、この「閉ざされた言語空間」を少しでも風通しのいいものにしておくべきではないか、まず、そういう思いがあります。
藤井▼そんな中で、今回の特集が準拠している大きな思想的な着想、ないしは仮説は、「安倍晋三・器論」というものです。この仮説は、本誌編集委員の浜崎洋介さんがあるTV番組で強調されていたもので、本誌特集の骨格を成す理論的想定、ということになります。
この仮説は、「安倍晋三」という存在は、世間で言われている事柄や回りの人たちが口にする様々なものが、その整合性や関連を度外視して、何でもかんでも入れ込まれる、一つの「空疎な器」なのではないか、というもの。
つまり、安倍首相が問題なのは、サヨクが言うように、彼が「戦前回帰を目論むナショナリスト」だからではなくて、むしろ「戦後そのもののように空虛、かつ幼稚」だからです。その「空虛な器」の中に、サヨク以外の全て、例えば安易すぎる対米追従とか、根拠なき改革主義とか、日本人のナルシシズムとか、保守的な気分とかを注ぎ込みながら、なお、それらがもたらす矛盾と危機について徹底的に鈍感でいられること、そのこと自体が、彼が支持され続けている理由であり、また、安倍晋三という人間の危うさなのではないかと。
【討論】表現者クライテリオン・スペシャル:安倍総理『器』論とは真実か?[桜R1/10/5](再掲)
◆表現者クライテリオン・スペシャル:安倍総理『器』論とは真実か?
パネリスト:
川端祐一郎(京都大学大学院助教)
小浜逸郎(評論家)
田村秀男(産経新聞特別記者・編集委員兼論説委員)
西尾幹二(評論家)
浜崎洋介(文芸批評家)
藤井聡(京都大学大学院教授)
室伏謙一(室伏政策研究室代表・政策コンサルタント)
富岡幸一郎(文芸評論家・関東学院大学教授)
司会:水島総
やっと全部視聴しました。西尾氏が一番迫力があり、実際にインテリの集団である「クライテリオン」はハッキリ発言しているけれど、中には???というお方もいました。
一番上にUPしている「メールマガジン」を読んでから再度見ましたが、西尾・藤井氏らは新鮮な討論でした。
安倍さんについての批評は「やっと取り上げてもらった」という感じですね。
それだけ発言するのに勇気が必要だったことでしょう。
しかしこの斬新な?「クライテリオン」のメンバーも、またその仲間のブログも私は知っていましたが、(藤井氏は別として)時として不快なことも感じましたが、もっと不快な事実は安倍首相が「器」でないのに、国益を損じることばかりしてきているのを許しているという事実です。その取り巻きも自由な批判を封じる集団でもありました。
今まで安倍批判の急先鋒だった西尾幹二氏は、その中でも筋が通っていて怒りがよく理解できます。
韓国のことについて、今まで日本は事なかれにして付け上がらせていましたが、やっと言えるようになった。
そして西尾氏は次の「パワーのあるリーダー」3名を挙げています。
河野太郎氏がその中に入っています。しかし経済問題で「反グローバル」の政治家が保守でほとんどいないことです。
「次世代の党」の三宅博先生は、その中の貴重な「反グローバル主義」でした。
今日はここまでにします。しっかり疲れをとらないとならない、日本はどこを向いても不安です。