その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

堅実でとっても満足感高い演奏会:小泉和裕/都響 ドビュッシー 交響詩〈海〉ほか

2025-01-25 07:59:26 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

今年の演奏会初めです。昨年最後の演奏会から1月以上空いて、随分お久し振りな感覚です。この日のプログラムはフォーレとドビュッシーというフランス人作曲家の組曲と交響詩の間に、モーツァルトのピアノ協奏曲が挟まれるという、バランス良く魅力的な構成です。

冒頭のフォーレの「ペレアスとメリザンド」組曲。昨年、同じコンビでシューンベルグによる同名の組曲を聴いています。私はフォーレの全曲を生で聴くのは初めてでしたが、繊細で柔らかな第一曲からその美しさに魅了されました。都響の弦陣のアンサンブルや管陣が創り出す世界に浸りました。

2曲目のモーツァルトピアノ協奏曲第21番も音楽の明るさ、伸びやかさが抜群で素晴らしい演奏でした。ピアノ独奏のミシェル・ダルベルトさんは初めて聴くピアニストです。ピアノの音が明瞭で弾けるようで、躍動感が引き立ちます。聴いていて自然と体が動き出しそうになるので抑えるのに一苦労。やっぱりモーツァルトの音楽は人の本能の訴える力があるわ。

アンコールのドビュッシーの〈月の光〉を演奏してくれました。私には夜露の雫が葉っぱから滴り落ちるような繊細で柔らかな演奏で、このおかわりの満足感は凄い。

休憩後はドビュッシーの組曲〈海〉。久し振りに生で聴く気がしますが、小泉さんの〈海〉は楷書体の実に正々堂々とした作りです。第二楽章の波のうねりそのものに感じる音楽の抑揚が印象的。第三楽章のダイナミックな演奏にも圧倒されました。東京文化会館ならではの乾いた響きが、個々の楽器の美音をクリアに届けてくれました。

ホールの入りは8割弱という感じでしたが、終演後は熱い拍手と歓声が舞いました。派手なところは無いですが、シュアにハイレベルな演奏を聴かせてくれるこのコンビさすがです。久し振りのコンサート体験。やっぱり音楽は素晴らしいと再認識してホールを後にしました。

2025年1月24日

 

第1015回定期演奏会Aシリーズ
日時:2025年1月24日(金) 19:00開演(18:00開場)
場所:東京文化会館 

出 演
指揮/小泉和裕
ピアノ/ミシェル・ダルベルト


曲 目
フォーレ:組曲《ペレアスとメリザンド》op.80 
モーツァルト:ピアノ協奏曲第21番 ハ長調 K.467 
ドビュッシー:交響詩《海》-3つの交響的スケッチ 
【ソリスト・アンコール】(1/24up)
ドビュッシー:月の光
 (ピアノ/ミシェル・ダルベルト)


Subscription Concert No.1015 A Series
This concert is over. Date: Fri. 24. January 2025 19:00 (18:00)
Venue: Tokyo Bunka Kaikan 

Artists
KOIZUMI Kazuhiro 
Kazuhiro KOIZUMI, Conductor
Michel DALBERTO, Piano


Program
Fauré: Pelléas et Mélisande, Suite, op.80 
Mozart: Piano Concerto No.21 in C major, K.467 
Debussy: La mer – Trois esquisses symphoniques 
【Soloist Encore】(1/24up)
Debussy:Clair de lune
 (Michel DALBERTO, Piano)

 

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 姫路・神戸の旅(2):驚き... | トップ | マロさん最後のコンマスの定... »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。