その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

ブロムシュテット祭 最終日: N響10月Cプロ、指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット、シューベルト交響曲第7番/第8番

2024-10-29 07:30:24 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

10月のブロムシュテット祭もいよいよ最終プログラム。この1カ月、トラブル無く完走頂いたことに感謝の気持ちで一杯だ。もっとも団員さんのポストだと、「団員は厳しいリハーサルに疲労困憊になっていく一方で、マエストロは日増しに元気になっていく」、ということらしいので、どういうメンタルとフィジカルを持ったかたなのだろう。ドジャースの大谷翔平くんも翁には叶わない。

Cプログラムはシューベルトの交響曲7番〈未完成〉と8番<ザ・グレート>のカップリング。私の音楽を聴く力と筆力では、書けば書くほど原体験が損なわれるので、多くは書けないが、今回の「祭」の最終を飾るに相応しいプログラムであり、演奏であった。2曲とも、音楽ってこんなに純粋で、美しく、深遠なんだと、感じさせてくれた。感情と構造の調和、一音一音に籠められた意思が現れる力強さ、そして紡がれる音楽の若々しさ。道を究めて、悟りを開きながらも、更に高みを目指す。そんな姿勢も見て取れる。

N響の演奏も憑かれたような集中力を示していた。川崎コンマスの力強いリードとともに、弦陣のアンサンブルはただ美しいとか、揃っているとかとは別物の一体感あって、有機的で前向きな動きを感じた。8番での吉村さんのオーボエソロを始め、管陣の音色も音の中に自らが溶けこんでいくような感覚になる。弦・管・打それぞれが嚙み合って音楽が流れて行く交響楽の醍醐味だった。

〈ザ・グレート〉の第4楽章はフィナーレに向かう翁とオケの気合が最高潮に達して、異次元の空間が生まれる。聴いている者にもこみ上げるものがある。繰り返しは、ずーっと何度も繰り返してほしい。この幸せな時間が終わってほしくない、そんな気持ちだった。

満員のNHKホールは、満員とは思えない静まりの中でステージを見つめ、耳を傾ける。これだけステージと聴衆が一体となった空間は本当に素晴らしい。終演後の拍手は演奏への感動以上に、感謝の気持ちが一杯につまったもので、翁にとっても、旅の思い出としてしっかり持って帰って頂けるのではと思った。

来年のプログラムにも既に翁の名前は記されている。健康第一で。その次で良いので、来年の再会を心から待ち望みたい。

 

定期公演 2024-2025シーズンCプログラム
第2021回 定期公演 Cプログラム
2024年10月26日(土) 開演 2:00pm [ 開場 1:00pm ]

NHKホール

PROGRAM 曲目
シューベルト/交響曲 第7番 ロ短調 D. 759「未完成」
シューベルト/交響曲 第8番 ハ長調 D. 944「ザ・グレート」

指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット

Subscription Concerts 2024-2025Program C
No. 2021 Subscription (Program C)
Saturday, October 26, 2024 2:00pm [ Doors Open 1:00pm ]

NHK Hall

Program
Schubert / Symphony No. 7 B Minor D. 759, Unvollendete (Unifinished Symphony)
Schubert / Symphony No. 8 C Major D. 944, Große (The Great)

Conductor
Herbert Blomstedt

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経験の無いブーイングの嵐・・・東京二期会/コンヴィチュニーの『影のない女』(R.シュトラウス、指揮:アレホ・ペレス)

2024-10-25 07:52:38 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

東京二期会『影のない女』を鑑賞に東京文化会館へ。上演前からX(旧ツイッター)上で、その改変が物議を醸していたが、私はオリジナル作品を見てないし、ワールドプレミアでもあるこのオペラを0ベースで楽しむつもりで出かけた。2010年5月にフィレンツェ五月音楽祭で、ズ―ビン・メータ指揮でのチケットも確保したのに劇場のストライキで涙のキャンセルとなった、私には因縁の作品でもある。

終演後は、私の日本でのオペラ鑑賞歴では経験の無いブーイングや怒号の嵐で苦笑いだったが、このブーイングにはもろ手を上げて賛同できる演出であった。

私にとっての一番の難点は、今回の演出が音楽を損なっているように見えた点。初めて聞くオペラ・音楽だが、「サロメ」の緊張感と「ばらの騎士」の甘美さの双方を持ち合わせた音楽。だが、この舞台は、この楽曲の甘美さに全くそぐわず、音楽がむしろ損なわれる印象だったのが最も残念であった。

また、舞台上の斬新さや目新しさの主張が目立つ一方で、舞台設定の納得感なく、人物造形もよくわからなかった。霊界の皇帝の世界を地下駐車場、バラク夫婦が住む人間界を遺伝子操作研究の世界に置いたり、エピローグでの高層ビルでの高級展望レストランなど、設定にどういう意図を込めて、どういう効果を狙っているのかわからない。人物キャラの描き方も弱いと感じた。ついでだが、舞台そのものではないが、カーテンコールではバラクの妻が主役としてコールに応えていたのにも混乱した。

個々の表現も不快に感じるところが多い。出産での鉗子摘出シーンや露骨な性交シーンなども、「日本のオペラ愛好家は真面目過ぎる」とかいう問題ではなくて、作品のテーマを描く表現手段としての効果や意図がわからない。「舞台芸術として美しい」というポストをされている方もいらしたが、私には醜悪としか見えなかったのが正直なとこである。

音楽は素晴らしいので 途中から目をつぶって音楽と歌に集中したが、字幕は見たいので時折目を開けると、舞台が目に入ってしまう。そのたびにがっかりさせられる。現代読み替えとかの問題では全く無く、舞台として納得できないし、生理的にも合わなかった。オリジナルを知らない私がこの感想だから、オリジナルの四分の1を削っているというこの舞台に、オリジナル経験のある人が許しがたい気持ちを抱いたのも理解できる。

ピットに入ったアレホ・ペレスの指揮と東響の演奏は、そのドライブ感といい、緊張感と甘美さの表現といい素晴らしかった。チェロの独奏や低弦部の合奏、管楽器や打楽器の炸裂、シュトラウスの世界全開で味合わせて貰った。歌手陣も熱演で舞台を盛り上げた。とりわけ、皇后役の冨平安希子と乳母役の藤井麻美の歌唱、演技が印象的。

終演後、私は演出家の術中にはまるような気もして、ブーイングは他の方にお任せし、相乗りしなかった。Xでの相互フォロワーさんから「炎上商法だから」と絶妙なワーディングを送っていただいたが、まさにその通りと思った。一方で 素晴らしかった東響とこの演出に「耐えた」歌手陣には大きな拍手とブラボーを送った。

日本ではここまで合わない舞台にお目にかかることは少ないが、ロンドン在住時にはロンドンやドイツの歌劇場でしばしばこうした残念な舞台に遭遇した。矛盾するようだが、こうしたサプライズやがっかりも観劇体験の面白さといえば面白さである。ある意味記憶に残る観劇体験であった。

(いくつか自分のための追記)
・ブ―イングは幕が下りた時と演出者が登場した際に吹き荒れた。特に、幕が下りた時は、怒号と併せて騒然とした雰囲気であった。歌手陣や指揮者・オケに対しては、素直なブラボーと拍手が飛んだ。この聴衆の気持ちは演者に届いたと思う。ただ、幕が上がって最初のコールを受けた歌手さんたちは、幕が下りた際のブーイングの興奮の余韻が聴衆に残っていて、賞賛と入り混じった拍手となり、お気の毒であった。

・個人的な話だが、4階左サイド1列目に陣取ったが、となりのおじさんは上演時間の95%は完睡していた。終幕直前に起き上がり、カーテンコールではスマフォで写真撮りまくって、さっさと帰っていった。不思議な方であった。カーテンコールの写真はOKということを知らず、写真を撮り漏れた自分は残念組。

 

影のない女
〈ワールドプレミエ〉

オペラ全3幕 op.65
日本語および英語字幕付原語(ドイツ語)上演

台本:フーゴ・フォン・ホフマンスタール
作曲:リヒャルト・シュトラウス

公演日時:2024.10.24 (木) 17:00開場 / 18:00開演
会場:東京文化会館 大ホール

指揮:アレホ・ペレス
演出:ペーター・コンヴィチュニー
舞台美術:ヨハネス・ライアカー
照明:グイド・ペツォルト
ドラマトゥルク:ベッティーナ・バルツ
合唱指揮:大島義彰
演出助手:太田麻衣子、森川太郎
舞台監督:幸泉浩司
公演監督:佐々木典子
公演監督補:大野徹也

10.24(木)

Der Kaiser 皇帝:伊藤達人
Die Kaiserin 皇后:冨平安希子
Die Amme乳母:藤井麻美
Der Geisterbote伝令使    :友清 崇 (全日出演)、髙田智士 (全日出演)、宮城島 康 ※(全日出演)
Erscheinung eines Jünglings若い男の声 :高柳 圭
Die Stimme desFalken鷹の声       :宮地江奈
Barak, der Färberバラク :大沼 徹
Sein Weibバラクの妻:板波利加
Des Färbers Brüder バラクの兄弟:児玉和弘、岩田健志、水島正樹 ※

Chorus合唱:二期会合唱団
Orchestra管弦楽:東京交響楽団

DIE FRAU OHNE SCHATTEN
Opera in three acts
Sung in the original language (German) with Japanese and English supertitles

Libretto by Hugo von Hofmannsthal
Music by RICHARD STRAUSS

Thu , 24 Oct ,2024 17:00 Open/18:00 Start

Venue: Tokyo Bunka Kaikan

staff
Conductor: Alejo PÉREZ
Stage Director: Peter KONWITSCHNY
Set & Costume Designer: Johannes LEIACKER
Lighting Designer: Guido PETZOLD
Dramaturg: Bettina BARTZ
Chorus Master: Yoshiaki OSHIMA
Assistant Stage Directors: Maiko OTA, Taro MORIKAWA
Stage Manager: Hiroshi KOIZUMI
Production Director: Noriko SASAKI
Associate Production Director: Tetsuya ONO
Conductor: Alejo PÉREZ
Stage Director: Peter KONWITSCHNY

CAST

Thu,24Oct

Der Kaiser: Tatsundo ITO
Die Kaiserin: Akiko TOMIHIRA
Die Amme: Asami FUJII
Der Geisterbote: takashi TOMOKIYO (all days), Satoshi TAKADA (all days), Ko MIYAGISHIMA (all days)
Erscheinung eines Jünglings: Kei TAKAYANAGI
Die Stimme des Falken: Ena MIYACHI
Barak, der Färber: Toru ONUMA
Sein Weib: Rika ITANAMI
Des Färbers Brüder: Kazuhiro KODAMA, Takeshi IWATA, Masaki MIZUSHIMA,

Chorus: Nikikai Chorus Group
Orchestra: Tokyo Symphony Orchestra

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ブロムシュテット祭り2公演目:N響10月A定期、ブラームス交響曲第4番ほか

2024-10-21 07:30:47 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

ブロムシュテットさん(以下、敬意を込めて翁)月間の第2弾の演奏会。NHKホールは満員の大入り。開演前から熱気でむんむんです。

この日のコンサートマスター川崎さんに支えられて、楽団員と一緒に入場する翁。先週のサントリーホールよりステージが1.5倍は広いので大変そうです。会場は感謝と歓迎の気持ちに溢れた拍手に包まれました。

プログラムはオネゲル交響曲第3番とブラームス交響曲第4番の組み合わせ。後半のブラームスが圧巻でした。

3階席から視覚的に印象的だったのは、川崎コンマスを筆頭にした弦陣の動き。翁の指揮に併せて、音楽と一体となったメンバーは前のめりに体で音楽を表現するかのよう。第1楽章後半や第4楽章では波が繰り返しうねっているかのようでした。そして、弦陣だけでなくオーケストラ全体から、この演奏に全身全霊で向き合う「気」が痛い程伝わってきました。

ただ、それでも、紡がれる音楽は熱量が前面に出るというようよりは、熱量を内に秘めながらも、純粋で清々しく聴こえました。ホールに来る前に代々木公園を歩いていた時に見上げた秋真っただ中の青空のように曇りがない。指揮者や演奏者の意図というよりも、音楽そのものの良さが最大限に引き出されていると感じます。

第2楽章の美しさは、何回もこの曲の演奏を聴いているはずなのに、まるで初めてのように、ハッとさせられる場面もいくつか。そして、第4楽章は、力の籠った演奏に負けじと前のめりで聴くのですが、終わりに向かってどんどんと突き進んでいくのがなんとも悲しい。少しでも、この幸福な時間が長く続いて欲しいと思っていたのは私だけでは無いのでは。

前半のオネゲルの交響曲第3番は全く初体験でした。曲タイトル通り、第1楽章<怒りの日>は厳しさに溢れる音楽でしたが、第2楽章<深い淵から>は美しいメロディにうっとり。言い訳っぽいですが、美しく優しい旋律に、軽く意識を失いかけました。そして、第3楽章はぐいぐいと堂々とした音楽が展開しつつ、終盤は再び美しく優美なメディに回帰しました。曲や演奏を、コメントする力はありませんが、神聖で魂に訴えてくるものを感じた音楽でした。

余談ですが、この日はNHKホールを埋め尽くした聴衆も素晴らしかったです。もちろん、咳などの生理現象が全くなくなるわけではないですが、演奏中の集中度や演奏後の静寂は、とても満員のホールとは思えないほど。聴衆の皆さんがこの演奏会を非常に大切なものとして、この場に向き合っているのが良く分かった気がします。

ブロムシュテット祭りもいよいよ来週のシューベルトプログラムを残すのみ。毎回が奇跡を目前で観ているような瞬間の連続です。最後、私も集中力マックスで、その場に居合わせる幸運を噛みしめたいと思います。

定期公演 2024-2025シーズンAプログラム
第2020回 定期公演 Aプログラム
2024年10月20日(日) 開演 2:00pm [ 開場 1:00pm ]

NHKホール

オネゲル/交響曲 第3番「典礼風」
ブラームス/交響曲 第4番 ホ短調 作品98

指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット

 

Subscription Concerts 2024-2025Program A
No. 2020 Subscription (Program A)
Sunday, October 20, 2024 2:00pm [ Doors Open 1:00pm ]

NHK Hall

Honegger / Symphony No. 3, Liturgique
Brahms / Symphony No. 4 E Minor Op. 98

Conductor: Herbert Blomstedt


(翁への参賀(ソロ・カーテンコール)が終わった直後。こんなにお客さんの残ってます)

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新国立オペラ、素晴らしいシーズンスタート! ベッリーニ「夢遊病の女」

2024-10-15 07:24:37 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

新国立オペラのシーズン開幕公演の最終日に鑑賞。Xのポストは絶賛ポストが溢れてたし、私自身、舞台付きオペラは今年の5月以来でうきうき気分。

評判通りの素晴らしい公演だった。歌手陣、合唱、オケ、演出がハイレベルに統合され、ベルカントオペラの醍醐味を味わった。

アリーナ役のクラウディア・ムスキオは透明感あって、繊細な歌声。容姿の美しさもあって、まさにはまり役であった。舞台映えする歌手で、これからが楽しみだ。エルヴィーノのアントニーノ・シラグーザは伸びやかで聴き惚れるテノール。この人、1964年生まれというから今年還暦なのだが、とてもそうは見えない外見と若々しい歌声。この二人がしっかりとした軸になっていたので、舞台の安定感が抜群だった。

脇を固める日本人歌手陣もすばらしい。外国人歌手陣に引けを取らず、ロドルフォ伯爵役の妻屋秀和、リーザ役の伊藤晴、テレーザ役の谷口睦美らが、夫々の演技と歌の両面で舞台を盛り上げた。

いつもながらであるが、新国合唱団にる村人たちの合唱も美しい。これは演出の意図だと思うが、村人たちは終始無表情である。その無表情さを保ちながら美しい合唱が繰り出されるのは、却って不気味で、「個」の無い群衆を印象付けた。

ベニーニ指揮の東フィルの音楽も優しく抒情的で胸を打つ。オケが前面に出る機会はあまり無いが、歌唱と一体化した演奏はしっかりと全体を支え、さすが東フィルと唸らせる。現場の名匠のベニーニの手腕あっての今回のハイレベル公演と思う。

演出は所々、私には解釈不能なところもあったが、過度に主張しすぎることなく、出演者を支え、舞台効果を高めていた。ダンサーたちが、アミ―ナに絡んでいくのは、その意図は良く分からなかった(アミ―ナの深層意識を表現していたのだろうか?)が、ステージにダイナミックな活力を与えていたし、(4階席からなので奥は見切れているのだが)照明効果も美しかった。謎だったのは、第1幕で舞台中央に立つ高いもみの木のてっぺんに二体の男女の人形(血が出ているように見えた)がつるしてあったのだが、あれは何だったのだろう。リンチに遭った人体のようで気になった。

最終公演とあってか、カーテンコールでは舞台、観客席ともに熱い興奮で一杯だった。ムスキオ、シラグーザの二人も全公演を歌い切った充実感が溢れていた。観客も熱狂的なブラボー、ブラビー、拍手で、ここまでの熱い反応は、新国オペラではあまり記憶無いぐらい。私も手が痛くなるほど拍手を送った。シーズン開幕公演として大成功と言えよう。来月は長尺のウイリアムテルである。こちらも楽しみだ。

 

ヴィンチェンツォ・ベッリーニ
夢遊病の女<新制作>
La Sonnambula / Vincenzo Bellini

全2幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉
公演期間:2024年10月3日[木]~10月14日[月・祝]
予定上演時間:約3時間(第1幕85分 休憩30分 第2幕65分)

スタッフ
【指 揮】マウリツィオ・ベニーニ
【演 出】バルバラ・リュック
【美 術】クリストフ・ヘッツァー
【衣 裳】クララ・ペルッフォ
【照 明】ウルス・シェーネバウム
【振 付】イラッツェ・アンサ、イガール・バコヴィッチ
【演出補】アンナ・ポンセ
【舞台監督】髙橋尚史

キャスト
【ロドルフォ伯爵】妻屋秀和
【テレーザ】谷口睦美
【アミーナ】クラウディア・ムスキオ
【エルヴィーノ】アントニーノ・シラグーザ
【リーザ】伊藤 晴
【アレッシオ】近藤 圭
【公証人】渡辺正親

【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

共同制作:テアトロ・レアル、リセウ大劇場、パレルモ・マッシモ劇場

Co-production with Teatro Real of Madrid, Gran Teatre del Liceu, Teatro Massimo di Palermo

OPERA La Sonnambula
2024/2025 SEASONNew Production

Presented by New National Theatre Foundation, Japan Arts Council, Agency for Cultural Affairs, Government of Japan

Music by Vincenzo Bellini
Opera in 2 Acts
Sung in Italian with English and Japanese surtitles
OPERA PALACE

3 Oct - 14 Oct, 2024

CREATIVE TEAM
Conductor: Maurizio BENINI
Production: Bárbara LLUCH
Set Design: Christof HETZER
Costume Design: Clara PELUFFO
Lighting Design: Urs SCHÖNEBAUM
Choreographer: Iratxe ANSA, Igor BACOVICH
Associate Director: Anna PONCES

CAST
Il conte Rodolfo: TSUMAYA Hidekazu
Teresa: TANIGUCHI Mutsumi
Amina: Claudia MUSCHIO
Elvino: Antonino SIRAGUSA
Lisa: ITO Hare
Alessio: KONDO Kei
Un notaro: WATANABE Masachika

Chorus: New National Theatre Chorus
Orchestra: Tokyo Philharmonic Orchestra

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97歳ブロムシュテッド、極東の地に降臨 @サントリーホール

2024-10-13 07:30:35 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

ブロムシュテッドさん(以下、敬意を持って翁)が、郷古コンマスに支えられながら、団員と一緒にステージに現れる。指揮台に据え置かれた椅子に座るまで、どこかで滑りはしないか、固唾を飲んで見守られながら、椅子に座る。もう十分に名声を馳せた97歳になった翁が、10時間以上のフライトを経て、この極東の地を踏み、1月近くも滞在して6回もの演奏会を指揮する。このモチベーションはどこから湧いてくるのか。使命感なのか。そんな思いはどうでも良くて、ただただ、翁への感謝の気持ちあるのみ。そんな聴衆の思いは、歓迎の大拍手に明確に現れていた。

それからは、夢のような1時間40分だったのだが、とりわけ印象的だったのは後半のベルワルドの交響曲第4番。皆が見守る中、椅子に就いた翁が創り出す音楽は、瑞々しく、清明で、若々しい。P席から見る翁の表情は実に活き活きと、エネルギーに満ち溢れている。全く初めて聴く楽曲だが、ベートーヴェンの交響曲4番や8番のような小気味よい明るさを感じ、初めてとは思えないぐらい体にすんなりと浸み込んできた。

N響も力みなく、自発性を感じる演奏で、ポジティブな「気」がステージ上に舞い上がっていた。弦管打楽器の各プレイヤーが前のめりで、この瞬間をとっても大切なものとして感じているのも伝わってくる。濁りなく推進力を感じる演奏は、青天を衝くという表現が相応しい気がした。

前半も良かった。シベリウスの「ツゥオネラの白鳥」での池田さんのイングリッシュ・ホルンの独奏を聴くのは何年ぶりだろう(確か前回、N響が「四つの伝説」を演奏した際は、独奏は池田さんでは無かった覚えがある)。この日も、柔らかく、ふくよかで、抒情的な音色が耳に残る。

ニルセンのクラリネット協奏曲は伊藤圭さんの技巧が光った。正直、初めて聴く楽曲で、ついて行ったとはとても言えなかったのだが、目まぐるしく変化する音楽を伊藤さんはN響メンバーと息を合わせながら、吹き切った。

アンコールはN響のホルン今井さんとファゴット水谷さんも加わって、ニルセンの木管五重奏曲第2楽章から抜粋(フルート、オーボエ無し)。アットホームな雰囲気がなんとも魅力的であった。

来週はA定期でブラームス、再来週はC定期でシューベルト。まだまだ10月ブロムシュテッド祭りは続く。何卒、健康管理留意頂き、元気に残り四公演を完投頂きたいと、切に願う。

 

定期公演 2024-2025シーズンBプログラム
第2019回 定期公演 Bプログラム
2024年10月11日(金) 開演 7:00pm [ 開場 6:20pm ]

サントリーホール

シベリウス/交響詩「4つの伝説」作品22─「トゥオネラの白鳥」
ニルセン/クラリネット協奏曲 作品57
ベルワルド/交響曲 第4番 変ホ長調「ナイーヴ」

指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット
クラリネット:伊藤 圭(N響首席クラリネット奏者)

Subscription Concerts 2024-2025Program B
No. 2019 Subscription (Program B)
Friday, October 11, 2024 7:00pm [ Doors Open 6:20pm ]
Suntory Hall

Program
Sibelius / 4 Legends, sym. poem―The Swan of Tuonela
Nielsen / Clarinet Concerto Op. 57
Berwald / Symphony No. 4 E-flat Major, Sinfonie naïve

Artists
Conductor: Herbert Blomstedt
Clarinet: Kei Ito (Principal Clarinet, NHKSO)

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N響、9月Cプロ、指揮 尾高忠明、チャイコフスキー・プログラム

2024-09-30 07:32:09 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

Bプロは都合で行けず友人にチケットを譲ったので、今シーズン2回目のN響定期。正指揮者の尾高さんによるチャイコフスキー・プログラムです。

前半の<ロココ風の主題による変奏曲>は、チェロ独奏辻本さんの響きにうっとり。美しい音色がホール一杯に響きます。オーケストラとの息もぴったりで、優美なことこの上なし。幸福感一杯に包まれ、音楽を楽しみました。

アンコールではチェロ隊4名も参加してカタルーニャ民謡〈鳥の歌〉。N響のチェロチームの想いも伝わる演奏でした。

後半の〈白鳥の湖〉は、バレエ公演を一度経験しただけなので、有名な〈情景〉の曲ぐらいしか馴染みが無いのですが、さすがチャイコフスキー、どの音楽も美しく、耳に残る旋律にうっとりとさせられます。

N響の演奏も素晴らしく、ヴィオリン、オーボエ、トランペットなどなどのソロとともにアンサンブルの美しさが格別。フィナーレの「情景・終曲」のスケール感一杯で重層的な演奏には胸が一杯。

この日は何といっても、尾高さんのN響の力を最大限に発揮させる指揮ぶりが最も印象的でした。まさに職人芸で、匠のなせる技。ルイージさんのようなぐいぐいと引っ張る熱とは違った、いぶし銀の渋さに唸らせられた演奏会でした。

 

定期公演 2024-2025シーズンCプログラム
第2018回 定期公演 Cプログラム
2024年9月28日(土) 開演 2:00pm [ 開場 1:00pm ]

NHKホール

チャイコフスキー/ロココ風の主題による変奏曲 作品33(フィッツェンハーゲン版)*
チャイコフスキー/バレエ音楽「白鳥の湖」作品20(抜粋)

指揮:尾高忠明
チェロ:辻󠄀本 玲(N響首席チェロ奏者)*

Subscription Concerts 2024-2025Program C
No. 2018 Subscription (Program C)
Saturday, September 28, 2024 2:00pm [ Doors Open 1:00pm ]

NHK Hall

Tchaikovsky / Variation on a Rococo Theme, Op. 33 (Edited by Fitzenhagen) *
Tchaikovsky / The Swan Lake, ballet Op. 20 (Excerpts)

Conductor: Tadaaki Otaka
Cello: Rei Tsujimoto (Principal Cello, NHKSO)*

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今回も記憶に残る名演! チョン・ミョンフン/東フィル、ヴェルディ〈マクベス〉

2024-09-23 07:30:10 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

去年7月の記憶に残る〈オテロ〉からはや1年。今年のチョン・ミョンフン✕東フィルによるヴェルディのシェイクスピア・オペラは〈マクベス〉。このシリーズの最終回ということだ。〈マクベス〉は演劇の方はそれなりの数を観ているが、オペラは10年以上ぶりで、この日が待ち遠しくてしょうがなかった。

期待通りの素晴らしい公演だった。マエストロの指揮の元、独唱陣、合唱、オケが三位一体となって非の打ち所無いハイレベルなパフォーマンス。

冒頭の序曲から、東フィルの集中力溢れる演奏に痺れた。そして、全幕を通して刃の上を渡るような緊迫感と攻めの演奏が続く。弦・管・打各楽器がまとまりスコットランドの嵐のような圧を感じた。

外国人歌手を中心とした独唱陣も底力を見せつけた。題名役のセバスティアン・カターナとバンクォー役のアルベルト・ペーゼンドルファーは迫力の低音。マクベス夫人役のヴィットリア・イェオのソプラノも張りがあって美しい。夫を叱咤激励する強い妻であった。久しぶりのマクベスだったので、夫人に多くのアリアが与えられているのは新鮮だった。そして、マクダフ役のステファノ・セッコのテノールも高らかに響く。

更に、個人的に最も受けたのは、新国合唱団の合唱。合唱の美しさもさることながら、特に魔女たちの演技には大拍手。第3幕の舞台上での表情、動作のいかれ方がまさに魔女たちで、舞台装置なくとも魔界に引き込まれた気分であった。演奏会方式でここまでの迫真の演技があると、正直、舞台セットは無くても構わないと思ってしまうほどだ。

合唱指揮の冨平さんのポストによると、この場面、魔女たちをステージ最前線に配置して、演技まで入れたのは、練習の際にチョンさんから出た提案だという。劇的な効果を高めたこの演出に見事に応えた新国合唱団、さすが。

合唱団だけでなく、独唱陣にもしっかり演技が入る。また、照明も場面で変化し、舞台を盛り上げた。演奏会方式として、これ以上はあるまいと断言できるほどの、ステージが展開された。

終演後は、割れんばかりの大拍手と歓声に包まれた。3回の公演の最後ということもあってか、チョンさんを初め独唱歌手陣、合唱陣、オケの皆さん、大きな仕事を終えた安心感と充足感が表情に現れていた印象を受けた。私自身も、大きな満足感一杯で拍手を送り、帰路についた。

 

2024年9月19日(木)19:00
東京オペラシティ コンサートホール

第164回東京オペラシティ定期シリーズ 

指揮:チョン・ミョンフン(名誉音楽監督)
マクベス(バリトン):セバスティアン・カターナ
マクベス夫人(ソプラノ):ヴィットリア・イェオ
バンクォー(バス):アルベルト・ペーゼンドルファー
マクダフ(テノール):ステファノ・セッコ
マルコム(テノール):小原啓楼
侍女(メゾ・ソプラノ):但馬由香
医者(バス):伊藤貴之
マクベスの従者、刺客、伝令(バリトン):市川宥一郎
第一の幻影(バリトン):山本竜介
第二の幻影(ソプラノ):北原瑠美
第三の幻影(ソプラノ):吉田桃子

合唱:新国立劇場合唱団(合唱指揮:冨平恭平)

ヴェルディ/歌劇『マクベス』
全4幕・日本語字幕付き原語(イタリア語)上演
公演時間:約2時間45分(休憩含む)

September 19, 2024, Thu
19:00
Tokyo Opera City (Concert Hall)

The 164th Subscription Concert in Tokyo Opera City Concert Hall
Conductor: Myung-Whun Chung (Honorary Music Director)
Macbeth: Sebastian Catana
Lady Macbeth: Vittoria Yeo
Banquo: Albert Pesendorfer
Macduff, thane of Fife: Stefano Secco
Malcolm, Duncan's son: Keiroh Ohara
Lady-in-waiting to Lady Macbeth: Yuka Tajima
A Doctor: Takayuki Ito
Servant of Macbeth/Murderer/Herald: Yuichiro Ichikawa
Apparition 1: Ryusuke Yamamoto
Apparition 2: Rumi Kitahara
Apparition 3: Momoko Yoshida

Chorus: New National Theatre Chorus (Chorusmaster: Kyohei Tomihira)

Verdi: Opera "Macbeth" in concert style

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N響、新シーズン好発進!:F.ルイージ指揮、 ブルックナー交響曲第8番

2024-09-16 07:15:11 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

いよいよ24-25年シーズンのスタート。例年であれば、代々木公園の木々が秋の装いを始めている時期だが、今年はまだその気配全くなし。

シーズン開幕演奏会は首席指揮者ルイージさんが登壇。オーケストラの顔がしっかりオープニングを務めるって、とっても大事だと思う。プログラムは生誕200年を祝って、ブルックナー交響曲第8番の一本勝負。NHKホールは満員に近い入りで、熱気でむんむん。この雰囲気はとっても好き。

今回は初稿を利用とのことだが、生で8番を聴くのは2回目だし、ブルックナー沼はいつも畔で眺めているだけの私には、稿の相違は関係なし。ただ、90分にも及ぶブルックナーの交響曲ということで、前日の睡眠は十分、この日の午前中は家でまったりと、万全の体調で臨んだ。

90分の楽曲は背筋を伸ばして聴いている間に「もう?」という感じで終わってしまった。楽章を通じて、ルイージさんとオケの気迫が3階席までひしひしと伝わってくる。ブルックナーの交響曲らしい、精巧に作り込まれた楽曲の構成や機能の美しさはもちろんのこと、ルイージさんの指揮は加えて、ヒューマンタッチな感情に触れるように感じる音楽作りだった。

第2楽章の強烈なスケルツォの厳しさや険しさは、波となって大きく覆いかぶさってきた。第3楽章の優雅さは美と優しさが溶けあって天にも昇る感覚、そして第4楽章の壮大なフィナーレにも圧倒される。各楽章が素晴らしく、毎楽章ごとに拍手したくてたまらなかった。

オケは、管弦打楽器、どのパートも奏者もすばらしい。とりわけ、金管陣は出色で、大きなNHKホールをものともせず音が稲妻のごとく響いたし、弱音部分も盤石の安定感。管楽器もフルート、オーボエの要所要所でのソロが美しい。弦はコンマス郷古さんの元、前のめりでN響らしい重厚なアンサンブルを奏でる。ハーブの音色は天上のもの。ティンパニー、シンバルの強烈な打音は高揚感の極致だった。

終演後は割れんばかりの大拍手に包まれる会場。ルイージさん、オケのメンバーもしっかりと仕事をやり遂げた達成感で一杯の様子が伺えた。集中してこの大曲の素晴らしい演奏を聴き終えた私も満足感と感謝の気持ちで一杯だった。

今シーズンも数々の名演を期待しています!

 

定期公演 2024-2025シーズンAプログラム
第2016回 定期公演 Aプログラム
― ブルックナー生誕200年 ―

2024年9月15日(日) 開演 2:00pm [ 開場 1:00pm ]
NHKホール

曲目
ブルックナー/交響曲 第8番 ハ短調(初稿/1887年)

指揮
ファビオ・ルイージ

 

Subscription Concerts 2024-2025Program A
No. 2016 Subscription (Program A)
- The 200th Anniversary of Anton Bruckner’s Birth -

Sunday, September 15, 2024 2:00pm [ Doors Open 1:00pm ]

NHK Hall

Program
Bruckner / Symphony No. 8 C Minor (First Version/1887)


Conductor: Fabio Luisi


(まだまだ真夏)

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ブルックナー誕生日に交響曲7番を聴く: 都響A定期、指揮 大野和士 @東京文化会館

2024-09-06 10:08:05 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

1ヶ月ぶりの音楽会でワクワク感一杯で上野へ向かう。この日は、なんとブルックナーの生誕200年記念日とのことである。そんな日にブルックナー交響曲7番をメインに据えたプラグラム。ブルックナーのお誕生会にお呼ばれされたような気分だ。しかも前半はポール・ルイスによるベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番。B&Bの鉄板の横綱プログラムと言える。

ポール・ルイスは聴いたことあると思い込んでいたのだが、個人記録を辿ってみても見つからないので初めてのようだ。実に洗練された演奏だった。強奏するわけでもないし、加飾があるわけでもない。端正で、この楽曲そのものの素晴らしさを自然に伝えてくれる。ピアノの音は柔らかいというよりはやや硬質に聴こえたが、これはホールのせいだろうか。いずれにしても、音が体に素直に溶けて行く、そんな快感を味わった。

アンコールはシューベルトのピアノ・ソナタ 第21番から第3楽章。こちらは軽快で、優しい。清涼剤のようなピースであった。

休憩後のブルックナー交響曲第7番。私自身はブルックナー・ファンとは言わないが、7番はおそらく最も実演に接している。冒頭から、チェロの厚い響きに震えた。全般的に、過去に聴いた演奏の印象と比較すると、角の取れた柔らかめで、ロマンティックとまでは行かないが、構造美を打ち出したものとは異なる演奏に聴こえた。

矢部コンマスのもと、弦陣の前のめりで重厚なアンサンブルは聴き応え十分で、ホールで聴くブルックナーならでは。フルートら木管の調べも美しい。ちょっと残念だったのは金管。揃っての強奏の迫力は素晴らしいものだったが、弱音部分など、不安定というか緩いというか、がっかりさせられること何度か。

熱演であったことは間違いないし、演奏も一部を除きとっても良かったのだが、何故かブルックナーを聴いた時の没入感や体を貫かれるような衝撃までは、今回感じられなかった。大野さんが訴えようとしたことが、私には理解できていなかったのだろう。なので、終演後も手が痛くなるほどの拍手までは至らなかった。

そんな感想を持ちはしたものの、久しぶりの演奏会を堪能し、終演後の充実感を味わった。やっぱり、生音は最高だ。9月に入って、演奏会シーズンが再開。ルーティンにならず、新鮮な気持ちを維持して、一期一会を楽しみたい。

第1007回定期演奏会Aシリーズ
日時:2024年9月4日(水) 19:00開演(18:00開場)
場所:東京文化会館 

【ブルックナー生誕200年記念】
指揮/大野和士
ピアノ/ポール・ルイス

曲 目
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番 ハ短調 op.37           
ブルックナー:交響曲第7番 ホ長調 WAB107(ノヴァーク版)      

【ソリスト・アンコール】
シューベルト :ピアノ・ソナタ 第21番 変ロ長調 D.960より 第3楽章
 (ピアノ/ポール・ルイス)

Subscription Concert No.1007 A Series
This concert is over. Date: Wed. 4. September 2024 19:00 (18:00)
Venue: Tokyo Bunka Kaikan 

[Bruckner 200]
Kazushi ONO, Conductor
Paul LEWIS, Piano

Program
Beethoven: Piano Concerto No.3 in C minor, op.37             
Bruckner: Symphony No.7 in E major, WAB107(Nowak edition)

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フェスタサマーミューザ KAWASAKI2024 読売日本交響楽団 〈沖澤のどかが鮮やかに描く、壮厳なる音物語〉

2024-08-11 07:17:06 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

毎年7,8月は演奏会に行く機会が減るのですが、今年は7月が2回で8月は0。期間が空くと、久しぶりの演奏会はルーティンとならず、集中して聴けるのでこういうメリハリもあっていいのかな。

今年の私のサマーミューザは、6月のN響を指揮した沖澤のどかさんが読響を振るこの1本。後期ロマン派で固めたプログラムも魅力です。のどかさんのプレトークを楽しみにしていたのですが、夏風邪で声が不調ということで、阪田さんが代役を務めました。代役とは思えない慣れた感じのトークで、流石だなと感心。

冒頭の「ドン・ファン」も情景が浮かぶ演奏が素晴らしかったのですが、続くリストのピアノ協奏曲第2番と後半のサン=サーンス:交響曲第3番が私自身の収穫が大きかったです。

阪田知樹さんのピアノは初めての実演に接しましたが、堂々たる演奏でした。ダイナミックさと優雅でロマンティックさが共存し、聴きごたえたっぷり。リストのピアノ協奏曲第2番を生で聴くのも3度目くらいですが、初めて、こういう音楽だったんだと、少し楽曲にお近づきになれた気がしました。

後半のサン=サーンスの交響曲第3番。こちらも目が開かせられる演奏。沖澤さんの指揮、読響の演奏は、直球ど真ん中で、変なアクセントや癖がありません。それ故か、音楽が体に染み込むように吸収されます。楽曲の素晴らしさを自然に語らせるような指揮ぶりです。

この曲、昨年11月にニューヨークでNYPの演奏を聴いたのですが、旅の疲れもあって、終盤の畳みかけるスケール感ぐらいしか印象に残っていません。今回初めて、曲の構成や第1楽章後半の美しさなど、様々な気づきがありました。読響の前のめりの演奏も素晴らしかった。

終演後は私も含めてホールの隅々から大拍手。のどかさんも何度も呼び戻されていましたが、体調不調に加えて、ご妊娠中のようで、少々しんどそうでしたが、拍手に応えてました。

数を減らしているの中で、こんな演奏会を聴いてしまうと、「もっと行きたい/行かねば」ということになってしまいますね。

 

2024.7.31(水)
ミューザ川崎シンフォニーホール

指揮:沖澤のどか
ピアノ:阪田知樹*サン=サーンス:交響曲第3番
パイプオルガン:大木麻理☆

R.シュトラウス:交響詩『ドン・ファン』op. 20
リスト:ピアノ協奏曲第2番 イ長調 S125/R456*
サン=サーンス:交響曲第3番 ハ短調 op. 78『オルガン付き』☆

  • フォーレ:ネル(阪田知樹編曲)

Wed 31 Jul 2024
19:00|18:00 Doors open | 18:20-18:40 Pre-concert Talk

MUZA Kawasaki Symphony Hall

Nodoka Okisawa, Conductor
Tomoki Sakata, Piano*
Mari Ohki, Pipe Organ✩

  1. Strauss: Don Juan, op. 20
    Liszt: Piano Concerto No. 2 in A major, S125/R456*
    Saint-Saëns: Symphony No. 3 in c minor, op. 78, "Organ"✩
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都響/アラン・ギルバート: リムスキー・コルサコフ〈シェヘラザード〉ほか @東京文化会館

2024-07-27 07:30:20 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

1カ月ぶりの生音。アラン・ギルバートと都響コンビ、プログラムには久しぶりの〈シェヘラザード〉とあって、楽しみにしていた演奏会。

前半2曲は全く初めて聴く曲。マグヌス・リンドベルイのEXPOは変化に富み、SFの映画音楽のような趣もあり楽しめた。2曲目のエドゥアルド・トゥビンのコントラバス協奏曲も耳になじみやすい音楽。コントラバスソロの池松さんの豊かな音に身を任せていたら、危うくあっちの世界に行きそうになった。カーテンコールでは、還暦を迎えられた池松氏が団員から赤のちゃんちゃんこをプレゼントされる一幕があり、アンコールはそれを着てハープの吉野直子さんとも入ってジャズ風のアメイジング・グレイス。味わい深く、ハープとの組み合わせも美しく、しみじみい聴いた。

後半の〈シェヘラザード〉は圧巻。いや~、都響ってこんなに上手なんだと感嘆しきり。コンマス矢部さんの深みがあって、愁いを帯びた美しいヴァイオリンはもちろん特筆ものだが、木管をはじめとした各パートのソロの響きもうっとり聞かせる。そして、オケが一体となっての合奏はうねりがあって、ドラマチックでスケール大きい。「隙が無い」とはこういう演奏を言うのではというほど、素晴らしいものだった。

アランと都響の相互の信頼感から、こうした演奏が引き出されているのだろう。ステージを見ていて、アランの指示に応えつつ、それに終始することなくメンバーが夫々の自分の色を出そうとする余裕のようなものも感じたのは気のせいだろうか。このコンビの底時からを見た気がする。

終演後はブラボーの掛け声も含めて大拍手。団員引き上げ後も続く拍手に、アランは矢部さんを伴って登場し応えてくれた。前週のベートヴェンの〈運命〉を聴きに行けなかったのは実に悔やまれるが、今後もこのコンビは必聴だ。

 

第1005回定期演奏会Aシリーズ
 日時:2024年7月24日(水) 19:00開演(18:00開場)

出 演
指揮/アラン・ギルバート
コントラバス/池松 宏(都響首席奏者)

曲 目
マグヌス・リンドベルイ:EXPO(2009) 
エドゥアルド・トゥビン:コントラバス協奏曲 ETW22(1948)     
リムスキー=コルサコフ:交響組曲《シェヘラザード》 op.35(ヴァイオリン独奏/矢部達哉)         

【ソリスト・アンコール】
アメイジング・グレイス(安田 芙充央 編曲)
(コントラバス/池松 宏、ハープ/吉野直子)

 

 

Subscription Concert No.1005 A Series
Date: Wed. 24. July 2024 19:00 (18:00)

Artists
Alan GILBERT, Conductor
Hiroshi IKEMATSU, Contrabass

Program
Magnus Lindberg: EXPO(2009)             
Eduard Tubin: Double Bass Concerto ETW22 (1948)          
Rimsky-Korsakov: Sheherazade, op.35     

【Soloist Encore】(7/24up)
Amazing Grace(arr by Fumio YASUDA)
(Hiroshi IKEMATSU, Contrabass、Naoko YOSHINO,Harp)

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鈴木優人×イザベル・ファウスト NHK交響楽団 @調布国際音楽祭

2024-06-24 07:11:54 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

昨年は都合つかず訪れること叶わなかったけど、12年目を迎えるという調布の音楽祭に今年は参戦です。有料の演奏会も年々充実し、選ぶのに迷ってしまうのですが、今年はイザベル・ファーストさんが出演されることもあり、この音楽祭の顔でありエグゼクティブプロデューサーである鈴木優人さん指揮のN響の演奏会へ。

初っ端から、今日の目玉とも言えるファウストさんが登場。数日前にB定期のサントリホールで聴いたばかりですが、その時はシューンベルグのヴァイオリン協奏曲が私には難しすぎて、せっかくのファウストさんの真価も堪能し切れず。今回はベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲。聴き慣れた曲でもあり、期待大でした。

そして、期待通りの素晴らしい演奏でした。ファウストさんのヴァイオリンの音色は繊細で、様々な要素の最高のバランスの上に成り立っているように聴こえます。とっても知的でありながら、情熱的でもある。柔らかくもあれば、堅実さを見せることもある。愁いがあれば、歓びにも満ちている。発せられる一音一音に耳をそばだてます。音が不思議なほど素直に、体の中にしみ渡って行くような感覚でした。

彼女にとってはこれまで何百回、何千回と演奏した曲だとは思うのですが(それでも譜面台に楽譜が置いてあったのはちょっと不思議でした)、私にはまさに一期一会のファウストさんによるベートーヴェンのヴィオリン協奏曲。背筋伸ばして、手を握りしめて聴きました。

N響の演奏も素晴らしい。特にファウストのヴィオリンと木管陣の柔らかな音色が、ホール内で溶け合う化学反応にはうっとりと別次元に連れて行かれるようでした。第一楽章後半のカデンツァではティンパニーの伴奏が入りました。

終演後はこのホールでは聞いたことのないボリュームでの、賞賛と感動の拍手で会場は覆われました。ファウストさん、ヴァイオリンの素晴らしさは言うまでもありませんが、拍手に応える姿やオーケストラへの賞賛などの仕草もとってもチャーミング。大拍手に応えてアンコールはシャルル・オーギュスト・ド・ベリオ作曲12の情景作品109第12番コンソレーション(なぐさめ)でした。

後半は、B定期と同じ曲目ですが、私は定期の後半を聴けなかったので、丁度良かった。ラストのシューベルト交響曲第5番は全く初めて聴く曲でしたが、構造もはっきりして、音楽としてもとっても聴き易い楽曲。N響の弦のアンサンブル力や管楽器の美しい音色を堪能しました。

鈴木Jr.(お父さんも聴きに来られてました)もご自身がエグゼクティブプロディーサーとなっている調布国際音楽祭で、N響を自ら指揮されるということで、いつも以上に気合入っているように見えました。マルチな才能を見せる鈴木さん、これからも音楽祭の充実を期待したいと思います。

蛇足ですが、今回、ファーストさんということで、最高ランク席を購入。前から10列目という両席だったこともあり、市民ホールではありますが、細部のニュアンスを含めとっても良く聴こえました。正確に数えたことは無いけど、N響には過去100回以上の演奏会に足を運んでいるはずですが、指定席はNHKホールの3階席とサントリーの舞台後ろ席なので、う~ん、やっぱり高い席は高い席ならではのことがあると納得。回数減らして良席を取りに行くのが良いのか、安席で回数を楽しむのか、悩んじゃいますね。

 

鈴木優人×イザベル・ファウスト
NHK交響楽団 in Chofu

2024年6月23日(日)開演 2:00pm [開場 1:15pm]
調布市グリーンホール 大ホール

ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61
バッハ(ウェーベルン編)/リチェルカータ
シューベルト/交響曲 第5番 変ロ長調 D. 485

指揮:鈴木優人
ヴァイオリン:イザベル・ファウスト

Sunday, June 23, 2024 2:00p.m.
Chofu City Green Hall, Large Hall

Conductor : Masato Suzuki
Violin : Isabelle Faust

Beethoven / Violin Concerto D Major Op. 61
S. Bach / Webern / Ricercata
Schubert / Symphony No. 5 B-flat Major D. 485

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6月N響B定期:日本人若手指揮者競演シリーズ、第3弾は鈴木優人さんのウイーンプログラム(前半のみ)

2024-06-21 17:40:43 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

(公開するほどの内容でも無いのですが、記録のため)

本シーズン最後のN響定期であり、6月定期日本人若手指揮者競演シリーズ第3弾。鈴木Jr.の登場でしたが、残念ながら所要により前半のみ参加。

この日はウィーン所縁の作曲家のプログラムで、前半はウエーベルンとシューンベルグの20世紀の作品。

個人的には最近でも類を見ない大苦行となりました。私には音楽が難しすぎて、理屈としても感覚としても、私の理解の範疇超えていて、無条件降伏状態。シューンベルグのヴァイオリン協奏曲は、イザベル・ファーストさんが奏でるヴァイオリンの美音やハイレベルな技巧は感じ取れましたが、感想を言葉にするには難易度高すぎで、手も足も出ない見逃し三振。

鈴木ジュニア、N響、ファウストさんのコンビは週末に調布国際音楽祭に行くので、そこでリベンジ予定。ヴァイオリン協奏曲もシューンベルグからベートーヴェンに変わりますので、まだこちらの方は楽しめそう。

今シーズンもN響には大変お世話になりました。ルイージさんとのコンビも更に成熟度が上がっていると思ったし、コープマンさん、ソヒエフさん、エラス・カサドさん、ヤノフスキさん、エッシェンバッハさんらの名だたる欧米指揮者、尾高さん、ミッキー、原田さん、沖澤さんらの日本人指揮者など、バライティに富んだ出演者で毎回、異なった楽しみを味合わせてくれました。来シーズン、かなりの値上げとなったのはお財布にかなり応えますが、値上げに相応しい更なる満足度高い定期演奏会を期待したいと思います。

 

定期公演 2023-24シーズン
第2015回 定期公演Bプログラム
2024年6月20日(木)開演 7:00pm

サントリーホール

ウェーベルン/パッサカリア 作品1
シェーンベルク/ヴァイオリン協奏曲 作品36
バッハ(ウェーベルン編)/リチェルカータ
シューベルト/交響曲 第5番 変ロ長調 D. 485

アンコール
6/20:ルイ=ガブリエル・ギユマン/無伴奏ヴァイオリンのためのアミュズマン 作品18 ー 第12曲 アルトロ
ヴァイオリン:イザベル・ファウスト

指揮 : 鈴木優人
ヴァイオリン : イザベル・ファウスト

 

No. 2015 Subscription (Program B)
Thursday, June 20, 2024 7:00pm
Suntory Hall

Conductor : Masato Suzuki
Violin : Isabelle Faust

Webern / Passacaglia Op. 1
Schönberg / Violin Concerto Op. 36
S. Bach / Webern / Ricercata
Schubert / Symphony No. 5 B-flat Major D. 485

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6月N響C定期:日本人若手指揮者競演シリーズ、第2弾は沖澤のどかさんのフランスプログラム

2024-06-18 07:20:19 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

6月のN響、若手日本人指揮者競演シリーズ第2弾は、初めて実演に接する沖澤まどかさん。フランスもののプログラムも魅力的で、楽しみにしていました。

ステージに現れた沖澤さん、想像以上に小柄な方でしたが、姿勢よく堂々とされています。そして、指揮ぶりも自信あって迷いを一切感じさせない確信に満ちたものでした。古いですが漫画「ドカベン」の里中投手につけられた「小さな巨人」というニックネームを思い出すほど。

イベール<寄港地>は冒頭から香るようなオーケストラの優雅な響きにうっとり。ちょっと私自身が夏バテ気味の体調もあって、あまりの心地よさにかなり意識が遠のくほどでした。第2曲の吉村さんのオーボエも異国情緒満載で美しい。全曲通じて、まさに各寄港地の情景が脳裏に浮かんでくる演奏でした。

2曲目のラヴェルの<左手のためのピアノ協奏曲>は過去に2回は生で聴いていますが、未だ聴きどころ良く分かっていません。それでも、デニス・コジュヒンさんのピアノは、左手だけとは思えない力強さがあり、1音1音がとっても明瞭に聞こえてきました。オーケストラとの呼吸もぴったり。

そして、3曲目はドビュッシー〈夜想曲〉。1曲〈雲〉では、タイトルそのものですが、雲の上に横になって空中をのんびりとくつろいでいるような浮揚感。イングリッシュホルンの愁いを帯びた音色も夢の中で遠くから聞こえて来るやまびこのようでした。第2曲〈祭〉は切れよくワクワク。N響の金管、打楽器の活躍も光ります。第3曲〈シレーヌ〉は美しい女声合唱とともに、N響がキラキラと眩いような神秘的な世界を見せてくれました。

1時間ちょっとの演奏会ですが、無理無く自然体で、体に染み込むように吸収される純粋な音楽をN響と創り上げた沖澤さんの指揮ぶりは、本人の比較的淡々としているように見えた終演後の様子と併せて、返って凄みを感じるものでした。是非、もっといろんな楽曲を聴いてみたい方です。

定期公演 2023-2024シーズンCプログラム
第2014回 定期公演 Cプログラム
2024年6月15日(土) 開演 2:00pm(休憩なし) [ 開場 1:00pm ]

NHKホール

イベール/寄港地
ラヴェル/左手のためのピアノ協奏曲
ドビュッシー/夜想曲*

指揮:沖澤のどか
ピアノ:デニス・コジュヒン
女声合唱:東京混声合唱団*

Subscription Concerts 2023-2024Program C
No. 2014 Subscription (Program C)
Saturday, June 15, 2024 2:00pm [ Doors Open 1:00pm ]

NHK Hall

Ibert / Escales (Ports of Call)
Ravel / Piano Concerto for the Left Hand
Debussy / Nocturnes*

Conductor: Nodoka Okisawa
Piano: Denis Kozhukhin
Female chorus: The Philharmonic Chorus of Tokyo*

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6月N響定期は日本人「若手」指揮者競演 ~原田慶太楼のオール・スクリャービン・プログラム~

2024-06-11 07:46:09 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

今月のN響定期は「若手」日本人指揮者による3本立て。どれも魅力ある共演者と組み合わせた楽しみな演奏会が続きます。

先頭バッターは原田慶太楼さんで、プログラムはスクリャービンの初期の作品から3本。最初の「夢想」を除いては、過去にN響定期で聴いたことがありますが、残念ながらあまり記憶に残っていません(ピアノ協奏曲は指揮がヴェデルニコフさん、ピアノがコロベイニコフさん。交響曲2番がパーヴォさん)。ピアノ独奏の反田さん効果か、このマニアックなプログラムなのにNHKホールは完売です!

反田恭平さんは、ご自身でオーケストラ立ち上げたり、ラジオのパーソナリティ等も行い、幅広く活躍されてます。今回のスクリャービンのピアノ協奏曲は初めての演奏とのことですが、微塵も感じさせない堂々たるものでした。楽曲もスクリャービンでも初期の作品と言うことで、耳になじみやすいものです。ショパンの影響を強く受けているということが、プログラムノートに書かれていましたが、ショパンの優美さに、さらにロシア的な雄大さを感じる音楽でした。反田さんのピアノは打鍵が強いのか、優しい弱音も含めて3階席迄はっきりと音が届きます。不覚にも第2楽章はオーケストラとピアノの絶妙なアンサンブルの美しさにちょっとウトウトしてしまったほど。第3楽章はロシア的なスケール感一杯の聴きごたえ満点の演奏でした。

後半の交響曲第2番は、5楽章構成ですが、第1と第2楽章、第4と第5楽章は続けて演奏されるので、3部構成とも言えます。第2楽章の美しさはとびきりで、うっとり。第4、5楽章は畳みかけるスケール感一杯の音楽。楽曲としてはやや冗長に聞こえてしまうところはありましたが、原田さん指揮のN響は、集中力途切れることなく充実した演奏です。フルート、クラリネットのソロにも耳をそばだてます。

原田さんとN響のコンビに接するのは3度目ですが、相互に信頼感が確立して安定した関係になっている印象を持ちました(最初に見た時は原田さんが随分と緊張されていたのが、よくわかったぐらい)。続く、沖澤さん、鈴木さんとの聴き比べも楽しみです。

定期公演 2023-2024シーズンAプログラム
第2013回 定期公演 Aプログラム
2024年6月9日(日) 開演 2:00pm [ 開場 1:00pm ]

NHKホール

曲目
スクリャービン/夢想 作品24
スクリャービン/ピアノ協奏曲 嬰ヘ短調 作品20
スクリャービン/交響曲 第2番 ハ短調 作品29

[アンコール曲]

6/9:ショパン/マズルカ 第34番 ハ長調 作品56-2
ピアノ:反田恭平

指揮:原田慶太楼
ピアノ:反田恭平

 

Subscription Concerts 2023-2024Program A
No. 2013 Subscription (Program A)
Sunday, June 9, 2024 2:00pm [ Doors Open 1:00pm ]

NHK Hall

Program
Scriabin / Rêverie, Op. 24
Scriabin / Piano Concerto F-sharp Minor Op. 20
Scriabin / Symphony No. 2 C Minor Op. 29
[Encore]
June 9: Chopin / Mazurka No. 34 C Major Op. 56-2
Piano: Kyohei Sorita

Artists 
Conductor: Keitaro Harada
Piano: Kyohei Sorita

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