その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

ケンブリッジ・シアター/ マチルダ (ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー)

2012-07-18 00:33:47 | ミュージカル、演劇
 ※昨日、ロンドンから戻りました。とりあえず、書きたまっているものをリリース。

 今年、ローレンス・オリビエ賞を総なめにした『マチルダ』を見に行ってきました。ミュージカルはTKTSで半額にならないと行かない私なのですが、マチルダはまだTKTSにチケットが廻ってこないほどの人気で、Webで見ても週末は数週間先で無いと取れません。私は偶然、前週末に劇場近くを通ったので、BOXオフィスに寄ったら、たまたま1枚だけリターンのチケットがあるということでした(でも、その後、ウインブルドン男子決勝にアンディ・マリーがでることになり、かなり後悔)。





 日曜日のマチネと言うことで7割がたはマチルダぐらいの子供(小学校1年生)を連れた家族づれでした。私のようなおじさんが一人で見に来ているのはまれで、完全に浮いています。ケンブリッジシアターは3層構造ですが、とてもこじんまりした劇場で、ステージなんぞは日本の小学校の体育館のステージの方がよっぽど大きいぐらいです。



このマチルダは、児童文学家ロアルド・ダール(「チャーリーとチョコレート工場」もこの人の作品)の原作で、イギリスの子供ならだれでもが読む児童文学だそうです。ストーリーは極めて優秀な女の子をめぐるお話です。

 ミュージカルのほうですが、さすがオリバー賞を総なめにするだけあって、すぐれものです。これは良く言われることですが、子供たちの演技や踊りや歌がうまいこと。よくまあ、こんな小さな子どもたちがここまで出来るものだと感心します。明るく、時々ドキドキ、そしてハッピーエンドのストーリーも、音楽に乗ってこれぞミュージカルと言う雰囲気で好感が持てます。プロダクションも派手な仕掛けはあまりありませんが、とても美しく楽しめました。

 ただ、ただ・・・、私には「ちょっと、これはお子ちゃま向けだなあ~」という感想が立ってしまいました。登場人物が、良いひとと悪いひとに完全に色分けされて、極めてシンプル。子供が主人公という意味ではビリー・エリオットもそうですが、ビリーにある現代社会の矛盾、大人の世界と子供の世界の葛藤というようなことはあまり描かれていません。また、子供向け童話が原作と言う意味では、「チャーリーとチョコレート工場」(映画を言っています)もそうですが、あの映画には、大人社会や子供の身勝手さへの強烈な皮肉が込められていましたが、このマチルダにはありません。完全懲悪的な極めて分かりやすい人物類型とストーリーです。

(本日のキャスト)




 まあ、これはミュージカルに何を求めるかだけの話なので、完全に個人の好みの問題です。ミュージカルとしてはとっても良く出来ていますので、興味のある方はまず1回は是非見て欲しいです。


 2012年7月8日
コメント (2)
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