ベルリオーズのトロイア人を見に行きました。2回の30分休憩を含めて5時間半かかる一大スペクタクルオペラです。楽しみにしていた目玉歌手の一人であるテノールのカフマンがキャンセルしてしまったので、貴重な7月の日曜日の午後(Euro2012の決勝もあるし)をオペラに使うかどうかとっても迷ったのですが、夏シーズンの目玉公演でもあるし、パッパーノも今シーズン最後なので、思い切って行きました。が、行って正解でした。演奏、歌唱、プロダクションいずれもすばらしく、時間の長さを全く感じさせない、秀逸なパフォーマンスでした。
※トロイア人はあまり公演されないオペラなので、あらすじ等の概要を知りたい方はこちらへ→
(開演前)
この話、綺麗な起承転結になっているのですが、「起」にあたる1幕、2幕から圧倒されっぱなしでした。この日は、15ポンドの天井桟敷席からの観劇だったんですが、オーケストラ、コーラス、独唱、プロダクションの迫力とあふれる緊張感に肝を抜かれました。トロイの王女カサンドラー役のAnna Antonacciのソプラノがスゴい迫力。恋人のコロエブス役のFabio Capitanucciのテノールも美しく、声量もたっぷりでした。それにコーラスとオーケストラが畳み掛けます。2幕で登場するトロイの木馬は、メタルを使って組みたてた巨大な馬で、実際の火を使った仕掛けが舞台の緊張感を倍増させます。幕間になっても、心臓の鼓動が収まらないぐらいです。つまらなかったら途中で抜けてEUROの決勝を見にパブでもいこうかと思っていたのですが、それどころではありませんでした。
「承」の3幕では、カルタゴの女王ディードー役でエヴァ=マリア・ウェストブロック(Eva-Maria Westbroek)が登場します。ウェストブロックのソプラノは相変わらず芯の通った力強い美しさです。「転」の4幕では、延々と続くバレエは少々退屈でしたが、その後のディードーとアエネーアスの合唱は、今日これを聴いただけでも来た価値があったと思ったほどの美しさでした。アエネーアス役のカフマン代役のブライアン・ヒメル(Bryan Hymel)はルサルカ以来ですが、カフマンのことなんどはすっかり忘れてしまうほどの柔らかく包み込むように響く歌唱です。カルタゴの城壁を模したセットをバックにして、町の模型を舞台中央に置いたプロダクションもユニークでした。
そして「結」の第5幕はウェストブロックのほとんど一人舞台です。彼女の迫真の演技力がいかんなく発揮されて、完全にあっちの世界に行ってしまった感じです。見るものも釣られて彼女の世界に引き込まれてしまいます。すさまじい吸引力でした。
もうホントお腹いっぱい。こんな充実感と疲労感が両立したオペラ観劇は久しぶりでした。やっぱり、パッパーノの音楽には色気があるし、気持ちがグーっと入っています。この日は行けない可能性もあったので、安全サイドをとって天井桟敷にしたのですが、この席は音は良く聴こえるものの、舞台が三分の一ぐらい隠れてしまうのが悔やまれました。ケチらなきゃよかった。
(ろくな写真がないですが・・・)
(ROHのHPから拝借)
Les Troyens
Sunday 1 July 2012, 3.00pm
Main Stage
Les Troyens
David McVicar presents a new production of Berlioz's most ambitious work. The sheer scale of its story, music and staging make this a Royal Opera event of the decade.
Credits
Director David McVicar
Set designs Es Devlin
Costume designs Moritz Junge
Lighting design Wolfgang Göbbel
Choreography Andrew George
Performers
Conductor Antonio Pappano
Cassandre Anna Antonacci
Chorèbe Fabio Capitanucci
Enée Bryan Hymel
Didon Eva-Maria Westbroek
Narbal Brindley Sherratt
Anna Hanna Hipp
Ascagne Barbara Senator
Priam Robert Lloyd
Hécube Pamela Helen Stephen
Ghost of Hector Jihoon Kim
Panthée Ashley Holland
Hélénus Ji Hyun Kim
Greek Captain Lukas Jakobski
Trojan Soldier Daniel Grice
Iopas Ji-Min Park
First Soldier Adrian Clarke
Second Soldier Jeremy White
Hylas Ed Lyon
Chorus Royal Opera Chorus
Orchestra Orchestra of the Royal Opera House
※トロイア人はあまり公演されないオペラなので、あらすじ等の概要を知りたい方はこちらへ→
(開演前)
この話、綺麗な起承転結になっているのですが、「起」にあたる1幕、2幕から圧倒されっぱなしでした。この日は、15ポンドの天井桟敷席からの観劇だったんですが、オーケストラ、コーラス、独唱、プロダクションの迫力とあふれる緊張感に肝を抜かれました。トロイの王女カサンドラー役のAnna Antonacciのソプラノがスゴい迫力。恋人のコロエブス役のFabio Capitanucciのテノールも美しく、声量もたっぷりでした。それにコーラスとオーケストラが畳み掛けます。2幕で登場するトロイの木馬は、メタルを使って組みたてた巨大な馬で、実際の火を使った仕掛けが舞台の緊張感を倍増させます。幕間になっても、心臓の鼓動が収まらないぐらいです。つまらなかったら途中で抜けてEUROの決勝を見にパブでもいこうかと思っていたのですが、それどころではありませんでした。
「承」の3幕では、カルタゴの女王ディードー役でエヴァ=マリア・ウェストブロック(Eva-Maria Westbroek)が登場します。ウェストブロックのソプラノは相変わらず芯の通った力強い美しさです。「転」の4幕では、延々と続くバレエは少々退屈でしたが、その後のディードーとアエネーアスの合唱は、今日これを聴いただけでも来た価値があったと思ったほどの美しさでした。アエネーアス役のカフマン代役のブライアン・ヒメル(Bryan Hymel)はルサルカ以来ですが、カフマンのことなんどはすっかり忘れてしまうほどの柔らかく包み込むように響く歌唱です。カルタゴの城壁を模したセットをバックにして、町の模型を舞台中央に置いたプロダクションもユニークでした。
そして「結」の第5幕はウェストブロックのほとんど一人舞台です。彼女の迫真の演技力がいかんなく発揮されて、完全にあっちの世界に行ってしまった感じです。見るものも釣られて彼女の世界に引き込まれてしまいます。すさまじい吸引力でした。
もうホントお腹いっぱい。こんな充実感と疲労感が両立したオペラ観劇は久しぶりでした。やっぱり、パッパーノの音楽には色気があるし、気持ちがグーっと入っています。この日は行けない可能性もあったので、安全サイドをとって天井桟敷にしたのですが、この席は音は良く聴こえるものの、舞台が三分の一ぐらい隠れてしまうのが悔やまれました。ケチらなきゃよかった。
(ろくな写真がないですが・・・)
(ROHのHPから拝借)
Les Troyens
Sunday 1 July 2012, 3.00pm
Main Stage
Les Troyens
David McVicar presents a new production of Berlioz's most ambitious work. The sheer scale of its story, music and staging make this a Royal Opera event of the decade.
Credits
Director David McVicar
Set designs Es Devlin
Costume designs Moritz Junge
Lighting design Wolfgang Göbbel
Choreography Andrew George
Performers
Conductor Antonio Pappano
Cassandre Anna Antonacci
Chorèbe Fabio Capitanucci
Enée Bryan Hymel
Didon Eva-Maria Westbroek
Narbal Brindley Sherratt
Anna Hanna Hipp
Ascagne Barbara Senator
Priam Robert Lloyd
Hécube Pamela Helen Stephen
Ghost of Hector Jihoon Kim
Panthée Ashley Holland
Hélénus Ji Hyun Kim
Greek Captain Lukas Jakobski
Trojan Soldier Daniel Grice
Iopas Ji-Min Park
First Soldier Adrian Clarke
Second Soldier Jeremy White
Hylas Ed Lyon
Chorus Royal Opera Chorus
Orchestra Orchestra of the Royal Opera House