その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

今週も痺れた・・・N響定期演奏会 Cプロ/ パーヴォ・ヤルヴィ指揮/ ショスタコーヴィチ 交響曲 第5番 他

2015-02-15 17:03:15 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)


 自分の中では先週の興奮がまだ覚めやらぬ中でしたが、更なる高みを期待してNHKホールへ突撃。ヤルヴィさんの指揮に加え、この日は庄司紗矢香さんが登場するためか、チケットは1か月以上も前から売り切れ状態で、あの巨大ホールが満員です。

 その庄司紗矢香さんの独奏によるシベリウスのヴァイオリン協奏曲。庄司さんはN響デビューの時以来、(追いかけているわけでは無いですが)聴く機会が多く、昨年もロッテルダムフィルや都響との共演を聴いています。そして、この日の庄司さん、私には間違いなく今まで最高でした。赤の地に金の水玉のような柄の入ったドレスに身を包んだ庄司さんは、いつものとおりほっそりと華奢ですが、いざ弾き始めると燦然とオーラが湧きたちます。紡がれる音は、あの体格から出てくるとは思えないような芯のある骨太な音です。かと言って無骨ではない。繊細で、情感も籠っていて美しい。そんな音に身を浸す我々は何と幸せなことでしょうか。その求道者のごとく音を追及する姿を見て、私はMIDORI(五嶋みどり)さんに似てきているなあと感じました。着実に大きく成長されているのだと思います。

 そして、庄司さんを支えるN響の演奏がまた素晴らしかった。音を抑えるところは徹底的に抑え、爆発させるところは雄大に鳴らす。庄司さんとのバランスが絶妙です。こんなシベリウスのヴァイオリン協奏曲は欧州にいても滅多に聴けるものではありません。

 休憩後のショスタコーヴィチの交響曲第5番も前週のマーラーに勝るとも劣らず素晴らしいものでした。ヤルヴィさんの音楽は、柔と剛の使い分けがきわめて明確で、N響のハイレベルの演奏力がそれに応えます。聴衆として実に聴きごたえのある演奏です。特に、弦と木管のソロ陣の音の美しさが際だっていました。第3楽章の美しさなんぞは、もう涙です。ヤルヴィさんは、終演後は金管をまず立たせて賞賛していましたが、逆に私には金管は前週のマーラーの方が良く鳴っていたような気が・・・。

 前週のサプライズがあまりにも大きかったので、過去にないスーパーパフォーマンスにも少し慣れましたが、ヤルヴィ・N響の演奏は、この日も圧巻で、聴衆の拍手も先週に負けないものでした。この2回の演奏を聴いていると、このコンビはワールドメジャーオケと肩を並べるまで行くのではないかと期待が膨らみます。まあ、メジャーかどうかは私にはどうでも良いので、ただただより高いレベルに進化していくことが心底楽しみです。

 最後になりましたが、この日は長年コンサートマスターを務めてきた堀正文さんと第2ヴァイオリンの主席の永峰高志さんがご定年で最後の定演出演。終演後に大きな花束の贈呈がありました。私も、なんだかんだでN響とのお付き合いも長くなりましたので、このお二方が去られるのは感慨がひとしおです。お疲れ様でした。



《先週とは打って変わった冬晴れ》


《お疲れ様でした!》


《庄司さんのアンコール曲。弓を使わないピッチカートの曲です》


第1803回 定期公演 Cプログラム
2015年2月14日(土) 開場 2:00pm 開演 3:00pm

NHKホール

シベリウス/ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 作品47
ショスタコーヴィチ/交響曲 第5番 ニ短調 作品47

指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
ヴァイオリン:庄司紗矢香

No.1803 Subscription (Program C)
Saturday, February 14, 2015 3:00p.m. (doors open at 2:00p.m.)

NHK Hall

Sibelius / Violin Concerto d minor op.47
Shostakovich / Symphony No.5 d minor op.47

Paavo Järvi, conductor
Sayaka Shoji, violin
コメント (2)
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