NHKの 記者として森友学園問題の取材にあたっていた相澤冬樹 記者による取材記録である。サブタイトルにあるような「安倍官邸対 NHK」について書かれたものではない(「はじめに」にお断りが書いてあるものの、このサブタイトルはかなりミスリーディングで、編集者の良心を疑う)。
文句なしに面白い点は、相澤氏の記者としての活動を詳細に追体験 できることだ。記者という仕事や森友学園問題の(相沢氏から見た)ファクトがよくわかる。取材にあたった記者の記録ならではのリアリティやディテールが抜群である。
また 相澤氏の強いパーソナリティが本書を際立たせている。「俺すごいだろ」的な自負心記述や自慢エピソードは、読んでいて白けるところがあるが、このぐらいの自信がないとネタ抜き合戦の中で生き残るのは難しいのだろう。
森友学園問題の全容にはほど遠いが、筆者の取材の全容として楽しめる本であった。