ブッシュ政権時の副大統領を務めたディック・チェイニーを描いた伝記映画。リーマンショック時に逆張りして大儲けした投資家たちを描いた「マネーショート」のスタッフが制作。
この手の政界の表裏を描いたアメリカの政治映画はよくできた作品が多いが、本作もとっても面白い。私のみならず、ラムズフェルドと並んで「ネオコン」の悪者イメージがあると思うが、本作はそうしたステレロタイプ的な善人・悪人の色分けを超えて、人間ディックを描いている。
本作でゴールデングローブ賞主演男優賞を獲得したクリスチャン・ベールの演技が、ホンモノそっくり(とはいっても私もテレビでしか本人を見たことないが)かつ迫力が凄まじい。主人公のリーダーシップ、野心などが痛いほどに迫ってくる。
こうした米国の政界周りの権力闘争やエリートの権力意欲は、私のような日本の小市民には理解の範疇を大いに超えるが、政治にせよビジネスにせよ、グローバルの世界では、こうした肉食系の連中とやりあうのだから、日本人もっとしっかりせねばと思ってしまう。今の五輪のすったんもんだも、結局IOCとかの白人連中にやりたい放題言われているだけのように見えるし、G7会合での菅さんのぼっち姿はやりあう以前であまりにも哀れ。
こういう政治映画が邦画にはないのが残念。
監督・脚本
アダム・マッケイ
撮影
グレイグ・フレイザー
美術
パトリス・バーメット
衣装
スーザン・マシスン
出演
クリスチャン・ベール:ディック・チェイニー
エイミー・アダムス:リン・チェイニー
スティーブ・カレル:ドナルド・ラムズフェルド
サム・ロックウェル:ジョージ・W・ブッシュ
タイラー・ペリー:コリン・パウエル