その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

小川哲『嘘と正典』早川書房、2019

2023-01-03 07:20:20 | 

年末年始の読書シリーズ。友人からこの作家を勧められ、図書館で借りてみました。久しぶりのSF小説です。書き下ろしの表題作と雑誌「SFマガジン」等で発表された5作品を含む短編集。

いずれも時間を題材にした作品で、「未来/過去は変えられるか」、「過去の真実は何だったのか」をテーマ設定された物語。冗長さが全くなく、物語の中に引き込む筆力は鋭く、一話一話を一気読みしてしまいました。

表題作は、マルクス主義の生みの親の一人エンゲルスを、タイムトラベルで過去の裁判結果を変えることで、マルクス主義の誕生を阻止し、歴史を変えようとするCIAエージェントを巡る物語。物語の発想、スケール大きく楽しめます。

他の作品もいくつか読んでみたいと思います。


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