その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

変幻自在! ソヒエフ/N響: ドビュッシー 交響詩「海」ほか

2023-01-28 08:11:10 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

2023年1月のソヒエフ/N響定期シリーズの最終回。ドイツもの、ロシアものと続いたプログラムは今回は東欧+フランス系。ソヒエフさんのレパートリーの広さを感じますが、フランスのオーケストラのシェフも務めたソヒエフさんのフランスものを据えた今回は、個人的には一番楽しみにしていたプログラムです。

そして、期待通りと言うか、期待を上回る「ダフニスとクロエ」と「海」でした。ソヒエフさんが創る音は実に多彩でぴちぴち。生きているという表現がぴったり。眩かったり、飛び跳ねてたり、うねったり、どこでどういう変化をするのか耳をダンボにして聴きました。各楽器の音の個々の主張と管弦楽全体のバランスが抜群で、オーケストラの醍醐味を体全体でも受け止めます。「ダフニスとクロエ」では、艶めかしい色気までを感じるほどでした。

P席からソヒエフさんの指揮ぶりをガン見しながら、この豊かな表現はこの指揮のどこから来るのか驚嘆の思いでした。そして、それに応えるN響の各奏者も素晴らしい。とりわけこの日はフルートの甲斐さんの活躍はひときわでした。

冒頭のバルトーク/ヴィオラ協奏曲は全く初めて聞く楽曲。音楽自体は私にはちょっとつかみどころが分からないまま進んでしまった感がありましたが、アミハイ・グロスさんの多彩なヴィオラの音に魅せられました。第3楽章の委嘱者の出身地を意識したであろうというバグタイプ風のエピソード(プログラムノートより)など、パーツパーツでぐぐっと引き込まれるところもありました。

珍しかったのは、アンコールでのN響ヴィオラ首席佐々木さんを誘ってのデュオ。こちらも全く初めて耳にする音楽でしたが、名手2人が揃ってのヴィオラのデリケートな音色を楽しみました。

1月の定期はA,B,Cすべてのプログラムが出色の出来。2023年の音楽鑑賞は最高の出だしとなりました。


〈甲斐さんを伴っての一般参賀〉

第1976回 定期公演 Bプログラム
2023年1月26日(木) 開演 7:00pm [ 開場 6:20pm ]
サントリーホール

曲目
バルトーク/ヴィオラ協奏曲(シェルイ版)
ラヴェル/「ダフニスとクロエ」組曲 第1番、第2番
ドビュッシー/交響詩「海」

[アンコール曲]
1/25:バルトーク(ペーテル・バルトーク編)/44のヴァイオリン二重奏曲(ヴィオラ版)―第37番「プレリュードとカノン」
(ヴィオラ/アミハイ・グロス 、佐々木亮)

指揮:トゥガン・ソヒエフ
ヴィオラ:アミハイ・グロス

No. 1976 Subscription (Program B)
Thursday, January 26, 2023 7:00pm [ 6:20pm ]
Suntory Hall

Program
Bartók / Viola Concerto (Serly Version)
Ravel / Daphnis et Chloé, suite Nos. 1 & 2
Debussy / La mer, three symphonic sketches

Conductor: Tugan Sokhiev
Viola: Amihai Grosz

コメント
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