その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

演奏会初めに相応しい! ソヒエフ/N響 ベートーヴェン交響曲第4番ほか 

2023-01-15 20:45:04 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

2023年演奏会初めです。1月は3年ぶりにソヒエフさんを迎え、A、B、C夫々の充実のプログラムです。まずはAプロでブラームス、ベートーヴェンという王道ものでスタート。

前半のブラームスのピアノ協奏曲第2番。独奏の30歳代前半のハオチェン・チャンを聴くのは初めてです。チャンのストレートで、気取りの無いピアノが私には好感度高かったです。安定して、余裕さえ感じる演奏姿も、世界で活躍する若手ピアニストの明るい将来を感じさせてくれました。

ソヒエフとN響の演奏も素晴らしい。前半の第1,2楽章は重厚なアンサンブルがピアノとうまく組み合わされて、いかにもブラームス的な響きを楽しみました。第3楽章はチェロの藤森さんの音色が哀愁帯びてうっとり。第4楽章は明るく軽快なピアノの演奏がオケともぴったり息が合って、交響曲のような大協奏曲がしっかりと締まりました。オーボエには吉井瑞穂さんが客演していて、存在感発揮していました。

アンコールはドビュッシーから前奏曲集 第1巻 ー 第8曲「亜麻色の髪の乙女」。朝露が葉から滴り落ちるようなしっとりした小品は大曲のあとのデザートにぴったり。口の中で爽やかに広がるマスカットのシャーベットのような後味でした。

後半のベートーヴェン交響曲第4番は、最後に生で聴いたのがいつかも思い出せないぐらい、久しぶりです。いや~、この交響曲、いいですね。プログラムノートには「闇が厳然と存在するがゆえの光の世界への希求が、この曲の全てを貫いている」と解説され、まさにその通りと思うのですが、今日のソヒエフ/N響の演奏は、この「光」の部分が眩しいぐらいにキラキラ輝いていました。ファゴット、クラリネットの木管陣を筆頭に、個人技とアンサンブルがしっかり噛み合って、切れがあって凝縮された演奏にグイグイと引き込まれました。新年の演奏会初めにこれほど相応しい曲があるのかと思った程です。終演後、晴れ晴れとした気持ちで大きな拍手を送りました。

N響のニュースリリースで発表されていましたが、第1コンサートマスターのマロさんが今月で退任し、4月から新たに「特別コンサートマスター」に就任するとのこと。同じくアシスタントが取れて、4月からゲスト・コンサートマスターに就任する郷古さんから花束を贈呈され、会場からも大きな労いの拍手が飛びました。私は、正月ボケか、この日スマートフォンを忘れてしまったので、この大事なシャッターチャンスを逃してしまい、残念至極。4月からも「特別」として来ていただけるようなので、引き続きよろしくお願いいたします。

 

第1974回 定期公演 Aプログラム
2023年1月15日(日) 開演 2:00pm [ 開場 1:00pm ]
NHKホール

曲目
ブラームス/ピアノ協奏曲 第2番 変ロ長調 作品83
ベートーヴェン/交響曲 第4番 変ロ長調 作品60

出演者
指揮:トゥガン・ソヒエフ
ピアノ:ハオチェン・チャン

No. 1974 Subscription (Program A)
Sunday, January 15, 2023 2:00pm [ 1:00pm ]
NHK Hall

Program
Brahms / Piano Concerto No. 2 B-flat Major Op. 83
Beethoven / Symphony No. 4 B-flat Major Op. 60

Artists
Conductor: Tugan Sokhiev
Piano: Haochen Zhang

コメント
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