その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

シーズン開幕は若き日のR.シュトラウス・プログラムで:ルイージ、N響、9月A定期

2023-09-11 12:19:52 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

N響の23−24シーズン幕開けは首席指揮者のルイージさんです。暦や仕事スケジュールと同様、毎年、N響シーズン開幕日は私にとって季節の節目になってます。夏の終わりであり、秋の始まりを告げる日です。

開幕演奏会は若き頃のR.シュトラウスからの3曲。冒頭の交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」以外は初めて聞く曲。なかなか無いユニークなプログラムだと思いますし、個人的な経験値も広がり有難いです。

交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」は15分程の小品ですが、物語に沿った変化があり楽しめます(岩波文庫の原作を演奏会3日前に図書館で借りたのですが、思いのほか分量あって断念)。主役の今井さんのホルンも冴えてました。

2曲目のブルレスケは全く未体験。ピアノ独奏のヘルムヒェンさんの演奏は軽快なタッチで気持ちいい。曲全体としては重厚な楽曲ですが、その分ピアノの音が飛び跳ねるように生き生きしています。(良い意味で)浮きたって聴こえました。アンコールはシューマンの「森の情景」から第7曲「予言の鳥」。こちらはしっとりと聴かせてくれました。

後半の交響的幻想曲〈イタリアから〉もお初。情景的でありながら、時として抒情性も感じる演奏でした。第1,3楽章は美しいアンサンブルが印象的。そして、第4楽章は体が動くような楽しさ。ヴェスヴィオ登山鉄道のテーマ歌《フニクリ・フニクラ》のメロディが軸になっているのですが、これは日本人なら誰でも知っているはずの「鬼のパンツ」。笑いをかみ殺しつつ、新たなトリビアでした。

会場は7割強ぐらいの入りに見えましたが、終演後の拍手はとっても大きいものでした。首席指揮者のポストも28年まで延長になったということで、しっかり腰落ち着けてもらい、今シーズンも大いに期待です。

 

定期公演 2023-2024シーズンAプログラム
第1989回 定期公演 Aプログラム

2023年9月10日(日) 開演 2:00pm [ 開場 1:00pm ]
NHKホール

  1. シュトラウス/ 交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」作品28
  2. シュトラウス/ブルレスケ ニ短調*
  3. シュトラウス/交響的幻想曲「イタリアから」作品16

指揮:ファビオ・ルイージ
ピアノ:マルティン・ヘルムヒェン

No. 1989 Subscription (Program A)

Conductor : Fabio Luisi
Piano : Martin Helmchen*

  1. Strauss / Till Eulenspiegels lustige Streiche, symphonic poem Op. 28 (Till Eulenspiegel’s Merry Pranks)
  2. Strauss / Burleske, D Minor*
  3. Strauss / Aus Italien, symphonic fantasy Op. 16 (From Italy)

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