国立新美術館で開催中のTate美術館展に足を運びました。「光」をテーマにターナーから現代美術に至るまでの多種多様な作品の展示です。
ロンドンのTate Britainは大ファンなのですが、今回はTate Moern等の作品等も含め展示の半分は現代美術と聞いていたのと、2200円の入場料に少々尻込みをしていました。が、思い切って行って大正解でした。
前半は18,19世紀の絵画で、Tateらしくイギリス人画家中心の展示です。ターナー、ウイリアム・ブレイク、コンスタブルからミレイ、バーン・ジョーンズ、ハントなどのラファエロ前派などの作品が並び、見ごたえありました。私が好きなコンスタブルも、彼の原画を元にした版画((彫版(デイヴィッド・ルーカス))が展示されていて、イギリスの風景が懐かしかった。光と言えば、印象派は避けて通れないので、モネ、シスレー、ピサロなどの作品も展示されてあるのですが、脇役的な配置になっていたのは、Tateらしく苦笑い。
ウイリアム・ブレイク<善の天使と悪の天使>1795‐1805年頃 色刷り、インク、水彩/紙 43.2×59.4
ジョン・コンスタブル<ハムステッド・ヒースのブランチ・ヒル・ポンド、土手に掛ける少年>1825年頃、油彩、カンヴァス、32.7×50.2
ジョン・エヴァレット・ミレイ<霜に濡れたハニエダシダ>1889-90、油彩/カンヴァス、173.2×123
余談ですが、このコンスタブル原画の風景版画(↓)きっと、2011年12月に訪れたコンスタブル・カントリーの写真と同じ風景。200年近く立っても変わらない村の風景って、驚きです。
ジョン・コンスタブル<製粉所わきの小川>1831年刊、メゾチント/紙、14.1×19
詳細は、弊ブログ記事<コンスタブル・カントリーを歩く>2011.12.11投稿
現代ものは、リヒターなどの絵画に加え、写真やオブジェなど様々な表現形態の作品が展示されています。色付きの台車を並べただけに見えるデイヴィッド・バチェラー「私が愛するキングス・クロス駅、私を愛するキングス・クロス駅」とか正直、何故これが芸術なのか全く意味不明な作品もありましたが、これはこれで楽しめます。時間限定展示であるオラファー・エリアソン《黄色vs紫》はエンターテイメントとしての驚きもありました。
デイヴィッド・バチェラー「私が愛するキングス・クロス駅、私を愛するキングス・クロス駅」2002-2007
光と色彩が密接に結びついていて、モチーフをどう表現するか。自然の中の光や色と都会のそれらはどう違うのか。普段、考えることもない切り口です。芸術家たちの様々な創意工夫を凝らした作品を観て、驚かされたり、感心したり、はたまた理解不能で首を傾げたり、作品それぞれに自分の反応が違うのも楽しい。脳のいろんな領域がチクチクと刺激される感覚でした。Tate美術館はロンドン以外にもリバプールやコーンウォールとかにもあったのですが、現代もの中心だったので敬遠していたことを少々後悔。
一部の撮影禁止作品を除いては、基本撮影OK。8月に訪れた古代メキシコ文明展もそうでしたが、撮影OKは良し悪しあります。というのは、スマフォ撮影OKだとどうしても写真撮影に気を取られるところが出てきて、作品を目に焼き付けるぞ~という気合が弱まるんですよね。また、撮影する人に気を遣って、作品近くで鑑賞するのを遠慮してしまうのも、なんか違う感じがします。段々と新様式に慣れていくのかな。
東京では10月2日まで開催です。閉幕間もないですが、おすすめします。
2023年9月8日訪問