6月17日(水)宿の車で摩周駅まで送ってもらう。今日は鈍行列車で1時間半かけて釧路に行く予定。切符を買いながら「混んではいないでしょう」と尋ねると人の良さそうな駅員は微笑みながらうなずいた。
8時37分の発時刻近くなると地元の人らしきが7~8人集まってきた。列車は1輌、丁度いいくらいの乗客で慌てず騒がず座席の向きを変えて3人が向いあって座った。途中塘路駅で上下線の待ち合わせがあり、10分ほど停車。釧路方面からの快速も一両編成だった。
釧路湿原を通るこのローカル列車は今回の旅行の目玉の一つで車窓からの湿原の景色を楽しんだ。病院列車の別名もあるらしいが、2時間に一本くらいしかない列車は病院通いのお年寄りの貴重なアシでもあるのだろう。
やってきた快速も一両編成。手前は野生化しているフランス菊
定刻の10時07分釧路着。30分に配車をお願いしてあった釧路個人タクシーはすでにプラカードを持って改札口に迎えてくれた。こちらの希望を一通り聞いて、釧網本線沿いの国道を北上した。通り過ぎてきた小さな駅舎を眺めたりしながら細岡展望台に着く。
ここからは釧路湿原の広大さとその中を見事に蛇行する釧路川を俯瞰できた。時の止まったような景観には言葉も無かった。
細岡展望台より蛇行している釧路川と釧路湿原を望む
かなり増水しながらゆったりと底に限りない力を秘めたように流れる釧路川。その河畔のカヌー発着場で休憩。対岸には一羽のアオサギが羽を休めていた。
コッタロ湿原展望台は駐車場から急な階段を登った。頂上からの眺めは原始の姿が残る景観とパンフにある。遠く広がるヨシ原の大小の池沼から緑の木々の平原に流れるともなく流れ出ている眼下の流れ、この悠久の眺めは息を切らせて登ってきた甲斐が充分すぎる景観だった。
目に飛び込んできた雄大な景色の十分の一も写せずカメラの無力を感じる
30分ほど移動して温根内自然探勝歩道に着く。時間的な制約でバリアフリー木道になっている近場しか散策できなかったが、湿原の植物や木々を観察できた。思わず「水芭蕉が咲いている」と言ってしまったヒメカイウ(姫海芋)、リンドウ科のミツガシワ、カヤツリグサ科のワタスゲ、キンポウゲ科のエゾカラマツ等の群生が木道の左右に見られた。
左:ミツガシワ 中央:エゾカラマツ 右:ヒメカイウ
その後北斗遺跡に立ち寄り、市内に戻って和商市場で遅めの昼食。観光名物の勝手丼をと思ったが、我々3人のものぐさを見破ったかのようなドライバーの「美味いのは生チラシの方が」との一言で寿司屋で済ませた。
丹頂鶴自然公園に急ぐ。園近くの道路わきの草はらにタンチョウ発見。お父さん(お母さんかも)らしきが道路際のブッシュの中にいる子供にしきりに呼び掛けていた。切符売場でその旨を話すと結構頻繁に現れているらしい。お陰で丹頂鶴公園に入らず引き返してしまう人もいるという。一時は絶滅の危機にあったのが今では1200羽くらいにまでに増えたようで、おかしな問題も出てくる。
今年生まれた雛と両親、丹頂の家族の絆は強いという
今回の旅行は不順な天候に災いされ北海道らしい雄大な景観はあまり見られなかったが最終日には釧路湿原を堪能した。
3人だけの旅行は初めてでやはり少し物足りない気もし、チャレンジ精神旺盛なSさんがいたら勝手丼を食べたかなとフト思った。