「Inside/Outside」というのは、石川ひとみさんの4枚目のオリジナルアルバムで1980年10月の発売。翌年は「まちぶせ」がヒットして紅白歌合戦にも出場しましたが、これはその前年でシングル曲としては「秋が燃える」が収録されています。(この曲はご存じない方が多いでしょうが…)
まずはこのアルバムの収録曲ですが、曲目と作者は以下の通り。実にいろんな人が曲を書いてます。
1.思いがけない序章(作詞:武衛尚子、作曲:芳野藤丸、編曲:大村雅朗)
2.私はかもめ(作詞:たかたかし、作曲:佐瀬寿一、編曲:渡辺茂樹)
3.さよならGood-bye(作詞:たかたかし、作曲:井上鑑、編曲:渡辺茂樹)
4.気まぐれフィーリング(作詞:武衛尚子、作曲・編曲:水谷公生)
5.Blue Dancing(作詞:島エリナ、作曲:Paul Fantasia、編曲:渡辺茂樹)
6.シャイニング スカイ(作詞:竜真知子、作曲:水谷公生、編曲:船山基紀)
7.秋が燃える(作詞:岡田冨美子、作曲:佐瀬寿一、編曲:渡辺茂樹)
8.愛のたずねびと(作詞:竜真知子、作曲・編曲:後藤次利)
9.一枚の写真(作詞・作曲:鹿島豪也、編曲:渡辺茂樹)
10.海のようなやさしさで…(作詞:武衛尚子、作曲:和泉常寛、編曲:渡辺茂樹)
そして、このアルバムは石川ひとみさんのオリジナルアルバムの中で唯一参加ミュージシャンのクレジットがあります。曲ごとにはわからないのですが、それを並べてみましょう。(注:原文はすべてローマ字なのですがわかりやすいように漢字にしています。)
E.guitar:芳野藤丸、水谷公生、松原正樹
A.guitar:吉川忠英、笛吹利明
keyboards:大谷和夫、佐藤準、羽田健太郎、田代真紀子、渋井博
bass:長岡道夫、岡沢茂、高水健司、金田一昌吾
drums:菊池丈夫、森谷順、島村英二、山木秀夫
percussion:斉藤ノブ、穴井忠臣、石井コータロー
Tp:数原グループ、荒木敏男
A.sax:Jake
T.sax:谷口和典、村岡建、三森一郎
B.sax:砂原俊三
Tb:三田治美、平内保夫、岡田澄雄、井口秀夫
Cl:MASAAKI SAKANO(この方だけ漢字がわからず…)
flute:旭孝、衛藤幸雄
harp:山川恵子
strings:加藤グループ、多グループ
chorus:MINTS、FREEZER
日本のスタジオミュージシャンに詳しい人は、これを見るだけでクラクラッと来てしまうほど豪華なメンバーなのではないでしょうか。そもそもアレンジャーが大村雅朗さん、渡辺茂樹さん、船山基紀さん、後藤次利さんなので、それぞれが指名したミュージシャンなのでしょうが。
ギターなんぞは「こんな四番バッターばっかり集めてどうするの?」と思うほど。当時の歌謡界は、この方々と矢島賢さんがほとんどという感じではあります。ただし藤丸師匠は当時SHOGUNで活動中でしたので、もしかしたら自身の作曲の「思いがけない序章」しか弾いてないかも。とはいえ、この曲は大村雅朗先生のアレンジなので、この人の曲は松原正樹さんが多いようなイメージもあるのでその辺わかりません。
藤丸師匠については、この年の新人の岩崎良美さんにはデビュー曲の「赤と黒」をはじめ何曲も提供してたし、彼女の1stアルバムもSHOGUNが何曲も演奏を担当してます。このアルバムでもSHOGUNの大谷和夫さん、ミッチー長岡さんが参加されてますから、そのメンバーで何曲かやってるのかもしれません。
ちなみに藤丸師匠は物凄い数のレコーディングに参加されてますが、一般で有名なのは「いちご白書をもう一度」、「木綿のハンカチーフ」(シングルバージョン?)、「ひとり咲き」、「ヒゲのテーマ」、「天城越え」などなど。(ほんの一部ですが)
水谷公生先生は2曲作曲してその片方でアレンジされてますから、「気まぐれフィーリング」の間奏のギターソロはそうなのかも。しかし、「愛のたずねびと」を作編曲してる後藤次利氏はベース弾いておらず、渡辺茂樹さんもこのアルバムではキーボード弾いてないので、アレンジしたから自分が弾くとも限らないと。逆に「Blue Dancing」のギンギンに歪んだギターは水谷先生かと思ったり。う~む。
なお、水谷公生さんも数え切れないほどのレコーディングに参加されてるそうで、尾崎紀世彦の「また逢う日まで」、ちあきなおみの「喝采」などレコード大賞受賞曲でも弾いてて(まぁこれらは特にギターは目立ちませんが)、印象に残るのはキャンディーズの「春一番」。誰でも知ってるソロではないかと。キャンディーズの曲はこの人多いようですね。「年下の男の子」とか。
そしてもう一人が松原正樹先生。実際ソロはほとんどこの人ではないかと思うのですが、松原先生は変幻自在なのでどれもそのように思うし、どれも違うかもと思ったりでその辺はわかりません。「一枚の写真」のソロは多分そうではないかと。さらに「海のようなやさしさで…」もそうだと私は信じてます。あれは石川ひとみ曲のギターソロでは私は最も好きで、穏やかな海が一瞬荒れたけどまた静かになって波が引いていくような間奏は鳥肌が立つほど。その中心となるギターソロは音色といいフレーズといい、最後に消え入るところのディレイかリバーブの感じまで絶妙です。このアルバムはBOXセット以外ではCD化されておらず現在入手できないのですが、この曲は昨年発売された40周年記念ベストアルバムに収録されています。ギター弾く人には是非聞いて欲しい曲ですね。
と、あれこれ書いてますが、ギターの話だけで長くなりましたので今日はこの辺で。明日に続きます。