今日のひとネタ

日常ふと浮かんだことを思いのままに。更新は基本的に毎日。笑っていただければ幸いです。

年末はタレント本三昧

2021年12月25日 | ブックレビュー
 
 いまも読書は幕末維新ものかタレント本が多いのですが、この年末は本当にタレント本三昧。今月読んだのは画像の三冊です。それぞれのレビューをば。

◇若くなるには時間がかかる/火野正平

 火野正平さんは、初めて見たのが多分大河ドラマの「国盗り物語」でしたが、印象が強いのは必殺シリーズ。近年は全国を自転車で回るBS番組が人気ですが、あれを放送してるとついつい見てしまいます。

 6年前の本ですが、その時点で「日本一チャーミングな66歳」でしたから、いまや日本一チャーミングな72歳でしょうか。これは多分語り下ろしでしょうから、ご本人がしゃべったことを本にしたのでしょうが、かなり個性的な方なので色々衝撃でした。しかし、役者として自分の生き方がしっかり筋が通ってる気がして、この人の人気があるのはわかります。「モテ男」とかそういうのは別にどうでもいいですが、確かにかっこいい人です。生き方を真似しようとは思いませんが、歳を取るのも悪くないかなぁと元気づけてくれますね。ちなみに「若くなるには時間がかかる」というのは、ピカソの言葉だとか。

◇ふられ虫の唄/武田鉄矢

 これは発売された頃に一度買った記憶がありますが、中学生くらいだったので当時は普通の単行本でした。読んだときは本当に爆笑してこの人のことは天才だと思いました。自分がかっこ悪くてもてなくて苦しんだ時期の事をあからさまに描けるあたり、思春期男子には訴えるものがありました。

 この後の鉄矢氏の事は特に好きではないというか、結構苦手なのですが、この本があるからなんとか許せるという部分はあります。当時買った単行本は実家にも見つからないので、久しぶりに読みたくて文庫の中古を買いました。

 文中では高校時代に体育の時間の女子のブルーマー姿を見て、友達が「たまらんねえ。ねぶりまわしたかねえ! あのモモば」とかいうセリフとか、クリスマスのダンスパーティーのチークダンスのあとに友達に「あんた、オレの三倍くらいたっとったやないね!」と言われたりするのがなんとも。久しぶりに読みましたが、やっぱり面白いです。


◇安井かずみのいた時代/島崎今日子

 この本を読むのは3回目くらいかもしれません。とにかく安井かずみがどういう人だったか知ってもらうために、すべての日本人に読んで欲しい本ではあります。英語もフランス語も堪能で海外に出かけることにはなんのためらいもなく、まだ「セレブ」なんて言葉がない時代でしたが、今の「セレブ」と言われる人など足元にも及ばない感じですね。お金持ってるだけじゃなくて、生き方も含めてどう使うかというのが桁違いで。

 あるときの対談では「一着や二着シャネルを買って、シャネルが好きなんて言わないでちょうだい。ラックの端から端までバーッとシャネル買ってから、シャネル好きだって言うのよ。」と言って、相手をシュン…とさせたとか。

 私のような一般男性からするとそれこそ考えられないような生き方ですが、この人がどういう人生を辿ったのかというのがよくわかります。この本はいろんな人の証言によって成り立っており、最初の旦那さんにも取材したりして、著者の島崎さんはかなり頑張ってますね。

 最初は生い立ちから始まって、それこそセレブ一本道という感じだったのが、加藤和彦さんとの結婚を経て病で倒れるまで、段々切なくなるというその構成の仕方が絶妙です。私としては吉田拓郎さんの話で、安井さんと加藤さんの関係はよく理解できたような気はしますが、その辺は思い入れの違いでしょう。私は安井さんのエッセイとかは一切読んだことがなく、本当に流行歌の作詞家としての印象しかなかったので、かえってするっと読めたのかもしれません。文庫で買えますので、これはお勧めです。内容は凄く濃いです。



 ということで、年末に読んだ本でした。何がどうかというと、今年の最後を鉄矢氏の本で締めくくるのが気が引けたので、安井かずみさんの本を読んだという(笑)