第40話 接待

2005年03月26日 21時15分22秒 | Weblog

和敬静寂、一期一会、一杯のお茶の為、心を尽くしておもてなしをする茶道が好きだった。

モテなせる女に憧れる。シチュエーションとしては、「旦那の友人、新居を訪ねる」の巻。
待ち人を思いながら、部屋を整え、身を整え、心を整え準備する。
部屋の温度はほどよく、お香をたいておく。
夜なら玄関の電気は惜しみなくつけておく。
夏なら、グラスを冷凍庫でひやしておく。
できればお皿もお料理の温度にあわせて、ひやしておく OR あたためておく。

待ち人、来たる。
玄関まで出迎える。
客人がテーブルの上の布(あえて味のある手ぬぐい)に気づく。
「ああ、それ、可愛いでしょう?京都で買ったの。ナプキンかわりに使えるかな~と思って…」
ここは無地ではなく、意表をついて柄入りのものを用意したい。
お料理は小皿でいくつか用意したい。大皿の上に小さな小皿をいくつか飾ってもいい。
そこに季節や色彩、遊び心、どれか仕掛けておきたい。
お料理は…この先期待の大きい発展途上?いやいや大器晩成型というべきか?
ま、ま、そういう訳なので、メイン料理は鍋にさせてもらうとしよう。
鍋も後半、手がベトベトに…そんな時は用意したレモンを持ってくる。
客人の手に絞る。手をあわせてこすってもらい、おしぼりでふく。あら、不思議?
手に残っていた匂いが消えて、レモンの香りがかすかに残る。客人、すっきり。
雑炊を作る。
この時、作り手に視線が浴びてしまうことを忘れず、といた卵も箸を使って、品よく入れていく。
会話とおなかのほどよいタイミングで、デザートを出す。

客人のお帰り。
玄関に明かりを灯し、お見送りに立つ。
見送った後もそのまま…しばらくそうしてから、鍵を閉める音。

気がつけば、私はいつも何か待っている。
同じ待つなら、こういう待ち時間を過ごせる女性になりたいものである。


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