私が16歳になったばかりの頃の話だ。夏休み、後輩の中学生達がキャンプを
していると言うので、表敬訪問に行くことになった。
晴天の新月、闇夜のPM8時、馬車道から雑木林に入って行った。当時の懐中
電灯は足元を照らすのがせいいっぱいだった。いいとこ7㍍で、10㍍先は、お
化けが出るのにちょうど良い暗さで、恐くて長く見ていられない雰囲気に満ちて
いた。
ここは私の庭のようなもので、平らな部分が真っすぐ100㍍続く。真っすぐ進む
と10度ぐらいの斜面に突き当たる。そこを50㍍登ると尾根に出て、更にその尾
根を右に100㍍登ると踊り場のような、10畳ぐらいの広場がある。
ここに中学生が4人でキャンプをしているのだ。
ではメカニズムに移る。
私はドキドキしながら、5メートル先をにらみながら直進した。
「どうも自分は左に曲がる傾向があるようだ、注意しなければ。」と思いながら、
慎重に直進した。
これがメカニズムです。
知らず知らず、右に曲がっていたのです。本当は全然左には曲がっておらず、右、
右と少しづつ曲げていたのです。
私のばあいはひと回りして、どうも左側に見慣れた篠の薮があるので、もしかしたらと
思ってその薮を1メートルほど掻き分けたら、馬車道に出てしまった。と言うことなのだ。
更になんと、さっき入った薮の切れ目が5メートル先にあるではありませんか。
ここから純理系人がいかに凄いかがわかるのだ。つまり再度チャレンジして今度は成
功したのだ。
これが純文系だと、「そういえば後ろを振り替えたとき、なんか目のような物が光ったよ
うな気がするわ。」そうよきっと狐だわ。やったー。と言うことになるのだ。