今回のテーマは山
悩んだけれど、今回二つの原稿を寄稿することに。
結局。最初に書き始めていた話がボツになった。
こうしたテーマ創作。
初めの頃は戸惑ったけれど、今では楽しい。
自分の中の思わぬ引出しを開けてくれる効果がある。
そんな気がする。
せっかくだから、ボツ原稿を載せておこう。
「マッターホルン」
ツアーに新婚旅行のような組み合わせは我が家だけ。少し不安になりながらの旅程。スイス七泊八日の旅。その旅程で、マッターホルンハイキングが組み込まれていた。
まず、目に付いたのが「エーデルワイス」。ツェルマットの登山電車駅から少し離れたホテルの敷地の一角に、素敵な花を咲かせていた。旅行に行く前から調べ、一度は見てみたいと思っていた花。その後の旅程で見られなかったので、これまた素晴らしい偶然の出会い。一目見て、妻と二人で足を止め、朝早くの待ち時間を花を見ながら過ごした。
登山電車で山頂(ゴルナーグラート)へ。空気が薄くて、驚いたのを思いだす。
人生一度きりの快晴登山。マッターホルンを見ながらのハイキング。雲一つない快晴で、一生忘れがたい風景だった。
山の天気は変わりやすいそう。スイスについてからガイドの人に聞くまで、不覚にも知らなかったが、一緒に来ていた60代のご夫婦が5度目の挑戦で初めて見えたと感激していて、自分たちの幸運に感謝したこと。忘れない。
ハイキングの終点付近に差し掛かり、これまた「雲ひとつない青空でないと、綺麗に山が写り込まない」とガイドさんが説明する中、見事な逆さマッターホルンを見ることが出来た。
麓で探し出して購入したおにぎり弁当を、妻と二人で食べたのは良い思い出。日本で食べる何倍も美味しく感じて、感動したのを覚えている。
なんだか、自分たちでも驚くほど幸運だった。
あの時の記憶は、今も私たち夫婦をいろんな場面で助けてくれるような気がしている。
そういえば、ハイキングをしていて、車椅子を押しながら山道を歩く人が普通にいて、驚いたのを思い出す。当たり前のバリアフリー。日本ではおよそ考えられないが、スイスでは本当に当たり前だった。あの景色、あの光景。バリアフリーを考えるとき、一つの理想があそこにはあった気がした。
スイス。日本とはいろんなところが違うけれど、ユニバーサルデザインが当たり前になっているところが、最も違うように思う。
娘と一緒に旅行しても、あまり困らないような気が今でもするスイス。あまり知られていないけれど、山が多い我が国が大いに見習うべき財産を持つ国のように思うのだ。