ある感染症に対して、そのワクチンが効いているのかどうか、
実はこれを判定するのは簡単なことではありません。
血液中の抗体価を測ればわかる、という意見もありますが、
その抗体が「感染を阻止する」とイコールとは限りませんし。
誰もが納得するデータとして“超過死亡”という数字があります。
これは、ワクチン接種者と非接種者を何万人、何十万人単位でその死亡数を比較し、
統計学的に有意差があるかどうか評価する方法です。
ワクチンを接種した10万人と
ワクチンを接種しない10万人、
この2つのグループを比較して、
死亡率に差があったかどうか?
・・・差がなければ「ワクチン無効」と言えますし、
ワクチン接種者で死亡率が低ければ「ワクチン有効」
ワクチン接種者で死亡率が高ければ「危険なワクチン」
と判断されます。
シンプルでわかりやすい。
そんな解析報告を扱う記事が目に留まりました。
結論は、
新型コロナウイルスワクチンによる死亡確率は、
デルタ変異株が流行した2021年7~9月で17.3%、
オミクロン変異株が流行した2022年1~6月で36.2%と100%を大きく下回り、
ワクチン接種に伴う死亡リスクの増加を認めることはありませんでした。
・・・つまりワクチンは有効であり安全、ということ。
▢ コロナワクチンと超過死亡との関係は? 米研究チームが専門誌で報告
青島周一/勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰
(2023/8/13:日刊ゲンダイ)より抜粋;
インターネット上では、「新型コロナウイルスワクチンの接種による超過死亡」といった情報をしばしば見かけます。超過死亡とは、集団の死亡率が一時的に増加し、本来的な死亡率の期待値を超えてしまう現象のことです。しかし、ワクチン接種と超過死亡の関連については、質の高い研究データが限られていました。そんな中、新型コロナウイルスワクチンの死亡リスクを調査した研究論文が、ワクチンに関する専門誌に2023年2月7日付で掲載されました。
一般的に、ワクチンを接種した人では、健康状態が良好な傾向にあり、ワクチンの効果とは無関係に死亡リスクが低く示されることがあります。そのため、この研究では単純な死亡率を比較せず、超過死亡に関するデータを用いて検討が行われました。
具体的には、米ウィスコンシン州のミルウォーキー郡において観察された新型コロナウイルス感染症による死亡率を、新型コロナウイルス感染症以外の原因による死亡率で割り、感染症による超過死亡の確率を算出しています。さらに、新型コロナウイルスワクチン接種者の超過死亡の確率を、未接種者の超過死亡の確率で割り、同ワクチンによる相対的な死亡確率が見積もられました。死亡確率が100%を上回れば、ワクチンによる死亡リスクの増加を認めることになります。
解析の結果、新型コロナウイルスワクチンによる死亡確率は、デルタ変異株が流行した2021年7~9月で17.3%、オミクロン変異株が流行した2022年1~6月で36.2%と、100%を大きく下回り、ワクチン接種に伴う死亡リスクの増加を認めることはありませんでした。
論文著者らは「死亡に対するワクチン接種の実質的な予防効果が認められた」と結論しています。
実は、ワクチンが超過死亡を減らしていたかどうかという検討は、
過去にインフルエンザワクチンでも行われています。
私が子どもの頃、インフルエンザワクチンは「定期接種」で、
集団接種するのが当たり前の時代でした。
しかしあるときから「ワクチン反対運動」が盛んになり、
1980年代に定期接種は中止に追い込まれました。
ワクチンの副反応を大々的に扱ったメディアの影響です。
その後、アメリカの研究者から研究報告が発表されました。
日本のワクチン定期接種期の超過死亡と、
日本のワクチン任意接種期の超過死亡を比較したのです。
もちろん、任意接種期は接種率が大きく低下していました。
すると、高齢者の超過死亡がワクチン定期接種期は低くなっていたことが判明しました。
つまり、子どもを中心とするワクチンの集団免疫により、
高齢者の命が守られていたのです。
この論文をこちらの記事で扱っていたので、一部を抜粋します;
かつてインフルエンザワクチンも罪悪視され根強い市民運動による反対の時代がありました。小生自身もそう思い患者さんにワクチン接種を勧めることはありませんでした。これがどのような結果を招いたか2001年のN Engl J Medに下記の米国の論文が掲載されました。原著論文(original article)で小生にとって人生最大の衝撃だったのがこの論文です。
かつて日本国内ではインフルエンザに対し小中学校でのワクチン接種が1987年まで義務となっていました。しかし副作用事例にマスコミや市民が過剰反応し、それ以降は任意接種となりました。厚生労働技官も人の子ですから批判に耐えられなかったのでしょう。
小生もインフルエンザワクチン接種は意味がないと思い込み患者さんに勧めることはありませんでした。日本の多くの医師も同様だったと思います。
これがどのような恐るべき結果を引き起こしたか、なんと米国の研究者によって発表されたのが上記の論文なのです。日本の厚労省の死亡統計を詳しく調べ上げて書かれた論文で「民主主義が常に正しいとは限らない」ということを小生痛感しました。
この論文の要点は次の3点です。
・ 日本では1962年から1987年まで小中学校でのインフルエンザワクチン接種が義務だった。
・ 1987年の中止により、日本の全死亡率および高齢者の肺炎死亡率が上昇した。
・ ワクチン強制接種はherd immunity(集団免疫)により、老人の死亡率を抑制していた。
・ 1987年の中止により、日本の全死亡率および高齢者の肺炎死亡率が上昇した。
・ ワクチン強制接種はherd immunity(集団免疫)により、老人の死亡率を抑制していた。
私たちがインフルエンザワクチンを小中学生にしなかったことにより集団免疫が起こらず多くの高齢者を死に追いやっていたのです。2001年にこのN Engl J Medの論文を読んだとき、小生これは国内で大問題になると思いました。しかしこの論文はマスコミからは完全に黙殺され話題になることはありませんでした。自分たちが音頭を取ったことの結末にマスコミは責任を取らなかったのです。このとき以来小生、日本のマスコミが信じられないのです。ニュースで疑問があるときは必ずBBC、CNN、France2などを確認しております。
私もこの記事を書いた医師同様、マスコミを信用しなくなりました。
読者の不安を煽る内容の方が発行部数が伸びるので、
ワクチンの効果を報道せず、副反応だけ強調して報道するのです。
医療界ではマスコミのことを“マスゴミ”と揶揄して呼んでいます。
近年では、HPVワクチン報道もありました。
副反応を強調して報道し、HPVワクチンは「積極的勧奨中止」に追い込まれました。
上記記事の中にこのような文言があります;
子宮頚がんワクチン反対運動によりこの10年で、
国内で子宮頸がんに10万人以上が罹患し、
3万人が無駄に亡くなったことになります。
この責任はマスコミに一部あることは明らかでしょう。
本来なら刑事告発されてもおかしくない、そう思います。
現在、ワクチンの効果を報道する際には、副反応も同時に報道する義務があるそうです。
賛成意見と反対意見を両方扱わなくてはいけないらしい。
ん、ワクチン副反応報道の際、ワクチンの効果をキチンと報道していたのですか?