小児アレルギー科医の視線

医療・医学関連本の感想やネット情報を書き留めました(本棚2)。

おたふくかぜにおける「自然感染 vs. ワクチン」

2017年10月29日 11時23分16秒 | 予防接種
 おたふくかぜワクチンはまだ定期接種化していません。
 小児科学会では以前から政府に要望していますが、なしのつぶて。
 そんな中、先日耳鼻科学会から「自然感染すると難聴の合併症が1000人に1人発生する」という衝撃的な調査結果が報告されました。
 そしてその難聴に治療法はありません。
 2年間で300人以上の難聴者が発生し、そのうち8割は生活に支障が出るレベル、16人は両側難聴、つまり音のない世界で一生過ごすことになります。

■ 学童期に多発「ムンプス難聴」 8割に高度の後遺症
2017年10月27日:教育新聞

発症年齢と人数(平成27-28年発症)

 おたふくかぜワクチンはその昔、日本で定期接種になったことがあります。
 現在のMRワクチン(麻疹・風疹)は、開始当初はMMRワクチン(麻疹・おたふくかぜ・風疹)だったのです。
 しかし副反応として無菌性髄膜炎が想定外に多く発生し、数年で姿を消しました。
 その原因は、製薬会社がワクチン製造方法を勝手にアレンジしたためと判明しています。
 近年も化血研他、世間を騒がせていますが、昔からの体質のようです。

 とういわけで、現行ワクチンは単独接種になります。
 MMRで問題になった無菌性髄膜炎発生率は低い株が採用されています。

 自然感染では難聴の合併症が今まで思っていたより多い、しかしワクチンの副反応も消えたわけではなく心配。
 ワクチンを接種すべきか否か・・・悩ましい。

 ここでクイズを出します。
 下の表は、現行の二種類のワクチンを比較したものです。
 効果の高い、でも副反応の多いAワクチン。
 効果が今ひとつ、でも副反応の少ないBワクチン。
 あなたはどちらを選択しますか?



 勘のするどい方は、提示した表のAワクチンとBワクチンのカラクリがわかってしまったかな。
 そうです、「Aワクチン=自然感染」「Bワクチン=現行ワクチン」なのです。
 自然感染は100%免疫がつきますが、合併症も多く重篤であり、「最強&最悪のワクチン」と評価することもできます。
 それを避けるために開発されたワクチン、合併症(≒副反応)は自然感染より軽く少なくなりますがゼロではありません。効果も1回で80%、2回接種しても90%と自然感染にはかないません。

 でも、これが現実なのです。
 この事実を知った上で、ワクチンを接種すべきかどうか、各自考えていただきたいと思います。
 医者任せでは「こんなはずじゃなかった・・・」と後悔します。
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