かっこうのつれづれ

麗夢同盟橿原支部の日記。日々の雑事や思いを並べる極私的テキスト

一口に「理系」というのはどうも違和感ありまくりな気がしてなりませんでした。

2008-12-07 20:31:57 | Weblog
 今日は何故か朝から眩暈がして、一日ぼぉっと過ごしていました。もう10年以上になりますが、年に何度か、強い眩暈と軽い吐き気などの不快な症状が現れて一日苛まれる事があります。大抵一晩寝ると翌朝にはけろっとしてしまうのですが、その日は仕事も手がつかず、ほぼ台無しになってしまうので厄介なものです。こういう日はとりあえず薬を飲んで、黙って音楽でも聴きながら過ごすくらいしかできませんので、休日に当たったのは勿怪の幸いだったかもしれません。

 さて、そんな一日でしたので、まあ心身に負担のない読み物でも眺めながら過ごそう、ということで、こんなコミックスを選んでみました。



 以前、新聞広告にでかでかと載っていたのが目に留まり、少しばかり気になっていたのですが、先日購入したまま放置してあったのをこの機会に開いてみたのです。
 内容は、Web系エンジニア、SEと呼ばれる仕事についている作者の経験したつれづれなる事柄を、ユーモアあふれる筆致で主に4コマ漫画にまとめたもの、ということで、理系への『愛』に満ちた内容なのだそうです。私自身、理系と呼ばれるに足る仕事をしてきており、帯の情報などにもある程度期待もかきたてられて読んだのですが、一口に感想を述べるとしたら、期待はずれ、というのがぴったりだったような気がします。
 この種の内容は、書かれていることが多少オーバーだったにせよ、「ああ、こういうことあるある♪」とか、「知ってるやつにそっくり!」というような、何らかの親和的な感情移入があってはじめて面白いと感じられるんじゃないかと思います。しかし、一口に理系といってもその分野はあまりに広いものです。私自身は、研究現場こそ理系という認識でおりますが、そんな分野でも、生物学と化学と物理学ではまるで異なる種族になりますし、私が生息する生物学系でも、農学系と薬学系と理学系とではまるで違います。更に同じ農学でも遺伝子工学やってる連中と栽培技術やってる連中とか、同じ栽培でも米と花と野菜と果物とか、それぞれのレイヤーでそれぞれ独自の文化があり、共通の土台もありますが、互いに相容れない世界もあります。その上、純然たる研究から開発や製作といった現場まで、その立場や仕事内容によって多岐に渡るものです。
 というわけで、まことに残念なことに、作者の日常であるSEという現場と、私の日常である研究という現場では、ほとんど重なる部分のないそれぞれの「理系」な社会であり、このバラエティに富む世界を内容する「理系」という枠を、SEという世界から一方的に語られることに、どうしようもない違和感を感じてしまうのです。
 とまあ否定的なことは書きましたが、面白くなかった、というのではありません。前編115のエピソードの中で、3つか4つくらいは、「確かにあるある♪」とぷっと吹き出した、正にこの種の漫画に期待される反応を正しく喚起した話がありました。私としては、投じた999円に見合う楽しみをその3つ4つで得られたかどうか、を判断せざるを得ませんが、おそらく、世界観の良く似たところで仕事している人なら、もっと楽しめるのではないでしょうか。

・・・などというようなことをくどくど述べ立てないと気がすまないところなどは、やっぱり「理系」なのかもしれませんね(笑)。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする