財務省と文部科学省が、互いの公式サイトでそれぞれの主張を真っ向から戦わせています。予算を削り込みたい財務省が我が国の教育や研究に対し国が支出している額が欧米諸国と比べてもトップクラスの高水準にある、と主張すれば、文科省がデータの見方は色々ある、と我が国の研究費はとてもトップクラスとは言えない、と主張されていて、見ているだけで結構面白いものがあります。
財務省側は「平成22年度予算編成上の主な個別論点」、文科省側は「財務省公表資料「平成22年度予算編成上の主な個別論点(文部科学省予算について)」(平成21年12月3日)に対する文部科学省の見解」 にそれぞれ詳しい内容がありますが、とりあえず科学振興関連の話に絞ってみてみましたところ、まず財務省の方を見ると、なるほど、科学技術振興費は平成以後3倍に増加、民間・政府を合わせた研究開発費が対GDP比で見るとアメリカの1.5倍、政府の出す研究費が政府支出に占める割合も、アメリカの3倍以上、今、政府系研究開発費の中心になっている競争的資金は、提示してあるグラフだけぱっと見ると、平成13年から21年までの間に、ざっと5倍以上に伸びています・・・???
よく見ると、平成13年の数字が3,265に対し、平成21年が4,912。1.5倍にはなっていますが、見た目のように数倍には成っていません。おかしいな、と思って横軸を見てわかりました。本来、0であるべき左下隅の始点が、3,000に成っていたのです。よくぞまあ、今時こんな古典的な統計のマジックを使ったグラフを作って公開するとは、流石に呆れかえります。こんなグラフ作らなくても、数字は1.5倍も伸びているんですから十分それで主張すればいいのに、なんともバカバカしいものを出してしまったものです。それまでなんとなく財務省の言い分にも一理あるのかな、と思っておりましたのに、いっぺんに信用できなくなりました。このグラフを見て、こんなものを公開して見せる財務省の姑息さと国民を愚弄しているとしか思えない姿勢に大いに疑問を覚えるばかりです。
翻って文科省のデータを見ますと、財務省と同じく始点が0でないグラフも幾つかありましたが、総じて見せ方は良心的に感じました。少なくとも、1.5倍増の数字を数倍になっているかのごとく見せるモノはなかったと思います。それに、財務省の姑息さを更に掘り起こすことも書いてありました。財務省のデータでは、政府負担の研究費がアメリカよりも多いように見えるデータが提示されていましたが、国防関連の研究費が入っていない、という注釈が、小さく書かれていたのです。文科省側はその点を補足し、国防関連研究費を加えるとアメリカに全く及ばない事がわかるデータを提示しております。アメリカの国防関連研究費が結構巨額で広範な科学技術振興に使われていることはよく知られていることですが、財務省はその点を恣意的に除外して話をしようとしているのです。
こうしてざっと両方の話を見てみますと、どう見ても文科省の方が説得力のある内容であると感じました。結局は政府がどう判断するかなのでしょうけれど、財務省はもう少し正直にデータを扱う姿勢を見せないと、何時まで経っても、小役人が姑息で卑怯な手を駆使して裏で暗躍しているようにしか見えず、それだけで世論形成という点では大いに損だと思います。官僚の中でも最優秀の官僚が集っているはずの組織なのですから、もっと堂々と正当な姿勢を見せて欲しいものです。
財務省側は「平成22年度予算編成上の主な個別論点」、文科省側は「財務省公表資料「平成22年度予算編成上の主な個別論点(文部科学省予算について)」(平成21年12月3日)に対する文部科学省の見解」 にそれぞれ詳しい内容がありますが、とりあえず科学振興関連の話に絞ってみてみましたところ、まず財務省の方を見ると、なるほど、科学技術振興費は平成以後3倍に増加、民間・政府を合わせた研究開発費が対GDP比で見るとアメリカの1.5倍、政府の出す研究費が政府支出に占める割合も、アメリカの3倍以上、今、政府系研究開発費の中心になっている競争的資金は、提示してあるグラフだけぱっと見ると、平成13年から21年までの間に、ざっと5倍以上に伸びています・・・???
よく見ると、平成13年の数字が3,265に対し、平成21年が4,912。1.5倍にはなっていますが、見た目のように数倍には成っていません。おかしいな、と思って横軸を見てわかりました。本来、0であるべき左下隅の始点が、3,000に成っていたのです。よくぞまあ、今時こんな古典的な統計のマジックを使ったグラフを作って公開するとは、流石に呆れかえります。こんなグラフ作らなくても、数字は1.5倍も伸びているんですから十分それで主張すればいいのに、なんともバカバカしいものを出してしまったものです。それまでなんとなく財務省の言い分にも一理あるのかな、と思っておりましたのに、いっぺんに信用できなくなりました。このグラフを見て、こんなものを公開して見せる財務省の姑息さと国民を愚弄しているとしか思えない姿勢に大いに疑問を覚えるばかりです。
翻って文科省のデータを見ますと、財務省と同じく始点が0でないグラフも幾つかありましたが、総じて見せ方は良心的に感じました。少なくとも、1.5倍増の数字を数倍になっているかのごとく見せるモノはなかったと思います。それに、財務省の姑息さを更に掘り起こすことも書いてありました。財務省のデータでは、政府負担の研究費がアメリカよりも多いように見えるデータが提示されていましたが、国防関連の研究費が入っていない、という注釈が、小さく書かれていたのです。文科省側はその点を補足し、国防関連研究費を加えるとアメリカに全く及ばない事がわかるデータを提示しております。アメリカの国防関連研究費が結構巨額で広範な科学技術振興に使われていることはよく知られていることですが、財務省はその点を恣意的に除外して話をしようとしているのです。
こうしてざっと両方の話を見てみますと、どう見ても文科省の方が説得力のある内容であると感じました。結局は政府がどう判断するかなのでしょうけれど、財務省はもう少し正直にデータを扱う姿勢を見せないと、何時まで経っても、小役人が姑息で卑怯な手を駆使して裏で暗躍しているようにしか見えず、それだけで世論形成という点では大いに損だと思います。官僚の中でも最優秀の官僚が集っているはずの組織なのですから、もっと堂々と正当な姿勢を見せて欲しいものです。