かっこうのつれづれ

麗夢同盟橿原支部の日記。日々の雑事や思いを並べる極私的テキスト

外部侵入者ならともかく、内部の人間がやらかすことは、基本的に防ぐのはムズカシイと思います。

2010-06-23 22:48:40 | Weblog
 大阪市立大学大学院の院生が、実験用試薬のアクリルアミドを飲んで自殺したのだそうな。アクリルアミドは劇物指定で、厚労省通知では鍵をかけて保管することが定められているとのことで、大学でも、粉末状態のものは鍵付きロッカーに保管していたそうですが、実験で使用するために作成した水溶液は鍵のついていない冷蔵庫に入れていたということで、大学は「管理が不適切だった」と陳謝したとのことです。
 鍵付きの冷蔵庫、というのは確かに研究用にはあって、家庭用冷蔵庫の半分以下の容量しか無くて一台数十万円、なんていうのがざらなのですが、そんな装置を購入しているところがはたしてどれだけあるのか、少々疑問です。多分ですが、日常的に毒物や劇物を大量に使用して研究するようなところで備えているくらいではないでしょうか? そもそも備品で冷蔵庫なんて、なかなか購入させてもらえないです。国の予算を苦労して取ってきても、買ってもいいのは研究に直接関係あるモノだけ、それ以外にも使えそうな汎用性のある機械類は買っちゃダメ、というのが普通で、冷蔵庫などは間違いなくそれに該当します。でも、冷蔵庫がなくては仕事にならないことも確かで、仕方無しに家庭用冷蔵庫を予算をやりくりして購入したりして、日常的なお仕事はそれでこなしている研究施設がおおかたなんじゃないでしょうか? 
 それに、そもそもこの場合鍵があったとして何の役に立ったのか、というのも疑問があります。自殺した院生さんはその研究室のヒトで、ということは日常的にそこの研究室で実験しているヒトなわけで、院生ともなると先生たちとほぼ同等に鍵の管理などをしていたり、少なくとも鍵の保管場所を知ってたりするんじゃないか、と思います。でないと、大学の研究室の日頃の実験は主に彼らがやるんですから、会議だなんだで大忙しの大学の先生達にいちいち鍵を借受にいかねばならなくなったりしたら実験そのものが停滞してしまいます。つまり、仮に冷蔵庫に鍵をかけてあろうがこの院生にはなんの障碍にもなり得なかったと推測されるわけです。いや、だから大学が陳謝するのはヘンだ、というわけでもないのですが、まるで鍵があれば良かった、何故鍵をつけてなかったんだ、と言わぬばかりな記事の有り様に、もっと研究現場の実態を理解されてはいかが? と口を挟みたくなっただけです。

コメント
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