かっこうのつれづれ

麗夢同盟橿原支部の日記。日々の雑事や思いを並べる極私的テキスト

食べ物の「味」は著作権で保護されないと、欧州司法裁判所が判断を下したそうです。

2019-01-20 19:42:42 | Weblog
 今朝の奈良市の最低気温は4.2℃、最高気温は9.9℃、五條市の最低気温は3℃、最高気温は9.4℃でした。今日は朝から雨が降ってきました。降り出すのはもう少し昼近くになってから、と思いこんでいたので、早い降り始めには少し驚きましたが、特段今日は出かける予定もないので、静かに雨音を聞きながら午前中は過ごしました。その雨も午後には止みましたが、日差しはありませんでした。その割には高めの気温ですが、週間予報では週後半はやや低くなるようですので、ようやく冬らしい気候になるのかもしれません。

 さて、仕事関係のメールマガジンで、面白いニュースがありました。オランダでの出来事ですが、ある企業が2007年にクリームチーズとハーブを混ぜたぬるチーズを開発、「魔女のチーズ」として販売を始めたところ、2014年になって、別の企業がよく似た素材を使って「賢明な女性のチーズ」と命名して売り出しました。懸命な女性というのは魔女を意味する言葉だそうですが、最初に開発した企業が、後から真似をしたと思われる企業を訴えました。被告の企業のチーズは原告のチーズと同じ味であり、これは著作権の侵害である、と訴えたのです。この裁判では、「食べ物の味は著作権で保護されるのか?」
を巡り争われましたが、2018年11月13日、欧州司法裁判所は「味は著作権で保護できない」との結論を下し、原告の訴えを却下しました。

 裁判所によると、著作権を主張するには、味が「作品』として分類できる必要があり、更にそれが、「著作者自身の知的創作物であるという意味で独創的であること」、「著作者自身の知的創作物の表現を形成する創造物のみが保護されること」という2つの案件を満たしていなければならない、としました。著作権の基本的要件として、アイデア、方法、レシピ、方法などでなく、明確な表現のみが保護の対象である。「味」に関しては、個人によって味覚が異なるという極めて主観的なものであって、客観性や正確性に欠けるため著作権の範疇にないと判断されました。欧州司法裁判所は、食べ物の味が同じとか違うとかいう事を客観的かつ正確に判別する技術的手段は、現時点の科学では開発できない、としています。逆に言えば、味を客観的かつ正確に判別できれば著作権の対象になりうるということなのだろうと思われますが、「味」の判別は確かに今の所決定的な方法は無いように思われます。実際食品会社とかでもヒトが味見して商品開発を進める官能評価が基本でしょうし、香りや味を特に重視するコーヒーなどのメーカーの開発部門では、入社するとまず徹底的にコーヒーに対する味覚を鍛えるところから始められると聞いたことがあります。「味」は、舌の味蕾で感知できる糖などの化学物質で主として構成されますが、実際にはその食べ物の温度や硬さ、匂いなどで味が違って感じられますし、体調によっても変化します。更にこく味や渋味など、味蕾とは関係のない味成分があり、それらの関与する物質は何千種類にも及び、その無数にある組み合わせで「味」が構成されるとなると、到底分析などできるものではありません。ここ20年ばかりの間に、「味覚センサー」という分析装置が出来て少しずつ普及していますが、どんな食品でも、どんな味でも分析できるというわけではないので、正確性を問われるとまだまだ弱いものがあるでしょう。いずれ「味」でも著作権が認められる時代が来るかも知れませんが、どんな方法でそれを実現するのか、ちょっと想像がつきません。面白そうですが、とてつもなく難しい技術開発になるでしょうね。




 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする