鈴鹿市議会議員 中西だいすけの活動日誌

鈴鹿市議会議員として年齢も含め5期目のベテランになりました。日々の活動や感じたこと、議会での動きなどをつづります。

一般質問から②~ 子どもの権利学習を学校で

2019年12月04日 12時30分34秒 | Weblog

12月の一般質問のふたつめの項目は、「子どもの権利学習を学校で」として、鈴鹿市の小中学校、全学年で発達段階に応じた学びの実践を問いました。

質問につなげた意図と考えは、子ども条例の勉強会を行ったことや、倉敷市、明石市、尼崎市、泉南市で子どもに関係する条例の視察経験、第三者による子どもの相談機関の設置などの研修、議会での発達障害や児童虐待などの勉強会での学びから、これらの取り組みを支える下地は、子どもが自分の権利について知り、考え、言葉を発したり、行動できるようになることであり、そのために、子どもが「子どもの権利」を学ぶことだということに思い至ったからです。子どもに関する条例を、鈴鹿市でつくるべきという考えはもちろん持っていますが、そのためにも学びの部分が重要と考えています。

そこで、質問時間が限られ短い時間でしたが、以下のように市教育委員会に問いました。文面はほぼ質問の通りです。

『 子どもの権利について、鈴鹿市の小中学校の全学年で、普遍的な学びとして、発達段階に応じて内容を変え、年に1回、1時間から2時間程度、学習の時間を持ってはどうかと提案します。内容は現在の取り組みの中にも入っている事なので、大きな負担にならないと考えるところです。 

 実施することで期待できることは、子どもが自分の権利について気付きを持つことで、自分たちの思いを声にできるようになり、それが社会参加への意識の向上だけでなく、自分たちの身を守ること、ひいては虐待の未然抑止につながるのではないか、などが考えられます。また学びの中で、誰もに同じように権利があると知り、お互いの権利を尊重する意識が育てられれば、いじめなどの課題も減少すると思います。そして、学んだ子どもたちが大人になったとき、次の世代へと引き継ぐ形になり、安心して暮らせる社会、鈴鹿へとつながるでしょう。

 あわせて、学校で学習を実践する過程や、子どもの権利に沿って、生徒を主体にしながら、校則などの見直しや、部活の見直しなどに取り組むことを行えば、子供たちだけではなくて、先生方も取り組みの中で権利を考えることになり、そこでの気付きで、先生も変わっていくのではないでしょうか。

 また、小中学校での子どもの権利学習とあわせ、乳幼児健診などの機会に、保護者の方にも子どもの権利を伝える機会を持つことも考えられるでしょう。泉南市ではこのような取組で、親自身が子どもに対する意識が変わったという声もあったとお聞きしました。さまざまな取組を通じて、子どもの権利について意識を持った職員、大人を増やすことが大切と考えるところです。

 ただ、このような取組は強制力で行うものではなく、子どもも大人も、自発的な意志を尊重するものであるべきと考えますし、権利の濫用があるのではないか、ということについては、それを抑制することも、学びの重要な要素に入れるべきと考えます。

 もう一度お聞きします。鈴鹿市の小中学校の全学年で、子どもの権利学習を、人権学習もしくは総合の時間等の中で、普遍的な学びとして、発達段階に応じて内容を変え、年に1回、1時間から2時間程度、持つことは可能でしょうか。また、改定される鈴鹿市教育基本方針で、子供の権利学習を、基本事業の中に位置付けて頂きたいと考えますが、市の考えをお聞きしたいと思います。 』

議場での質問ですので、主旨聞き取りなどで担当課と意見交換をしたことよりも、内容は整理するなどして抑えている部分はあります。しかし、質問に至る過程でも、かなりの部分、私の意図や思いは伝わっていた感覚がありました。答弁の前でしたが、質問に至る過程で、答えに直結はしなくても共感してもらい、一緒に考えてもらえるようになることは大切だと考えているので、良かったと感じた部分でした。この質問に対する答弁の要旨は以下の通りになります。

『 子どもたちが自分たちの持っている権利を理解することは、他者の人権を尊重し、自分の人権を守るために、意見や考えを伝えたり、他社と共同したりして課題や問題を解決する力の育成につながると考えている。

 質問の内容について、子どもの権利について学習することは大切なことであり、教育活動全体を通じて取り組むことであると認識している。

 今後も、学校に年間を通した授業の中で、児童生徒の実態に応じながら、総合的な学習の時間や道徳、社会科などの教科学習の中で、意識的に取り上げていくように周知したい。

 改訂される教育振興基本計画の中でも引き続き明記したい。人権学習の中に取り入れることを検討したい。 』

このように答弁が出たことで、ひとつのステップを越えた感があります。また、質問に対する教育委員会、担当課の真摯な検討も感じるところで、質問につなげてよかったと感じました。この後は、来年早々に教育振興基本計画がパブリックコメントに出てくると思いますので、そこでのチェックと、今後の鈴鹿市教育委員会に取り組みに注目したいと思います。

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一般質問から①~ 公共施設・インフラの維持更新

2019年12月04日 08時09分58秒 | Weblog

12月の一般質問のひとつめは「公共施設・インフラの維持更新について」、論点はFM(ファシリティマネジメント)とPPP(公民連携)に取り組む専門部署の設置と、FM基金の設置です。

まず取り組みの現状から。①公共施設等総合管理計画の現状と取り組みの方向性。②鈴鹿市舗装維持管理計画の内容について、市道の延長距離、計画対象の距離、コストの考え。③橋梁長寿命化修繕計画の内容。④鈴鹿市上下水道経営戦略から、上水道と下水道の管路更新の考えと状況。それぞれコスト面も含めて、簡潔に考えを聞きました。対する答弁の要旨は以下の通り。

『① 公共施設等総合管理計画について、2037年までに5%の床面積削減の目標に対して、3年経過の平成30年末で0.62%の削減。行政経営課の設置を行い、個別施設計画の策定に取り組んでいる。長寿命化と複合化の進めるうえでの大きな方向性は、小学校もしくは小学校区を考えている。公民連携の活用を検討している。

② 舗装維持管理計画について、市道約1800キロのうち、計画対象は主要幹線道路となる233路線、延長約240キロ。今後40年間で総額120億円、年約3億円が必要な舗装修繕費用として想定している。

③ 橋梁長寿命化計画について、全907橋の1順目の法定点検が終了、これから予防的かつ計画的な補修を目的とした計画を策定、そこで費用を試算することにしている。

④ 上下水道の更新等について、上水道について管路更新に年約13億円を投資する予定、下水道について年約19億円を投資する予定、農業集落排水事業について年約4億円を投資する予定している。』

上記のように答弁がありました。実際にはこれらの他にも、公園施設や消防施設などもあり、それらも含めると相当な課題があることは明らかです。これらの点については、わからなかったから質問したということではなく、課題ということを表に出すための質問でした。

次に財政面について。質疑についてのブログでも取り上げましたが、総合計画2023後期計画(案)で資料として出された市の財政見通しから、財政調整基金からの繰り入れをしない場合、毎年度約2.5億から11億円の財源不足が見込まれ、4年間で累計約23億円が不足することを取り上げました。そこで、総合計画2023後期基本計画(案)の単位施策2532で、公共施設の長寿命化と更新により市債の増大が見込まれ、将来負担比率について35%以内に抑制することが目標にされていることについて、この数字の根拠と、金額ベースで考えるといくらかと、今後1年あたり、どれだけの投資的経費がかかると想定し、うち市負担分はどの程度になるのかを確認しました。対する答弁の要旨は以下の通り。

『 財政見通しでは、今後4年間の投資的経費について、1億円以上のハコモノ事業費を除いた、過去5年間の平均、約42億円で固定し、国と県支出金を除いた、約32億円が市負担となると想定され、それに今後4年間分のハコモノ等の更新や長寿命化にかかる分を上乗せすると、相当規模の事業費が追加されることになる。仮に、一律75%の充当率で市債を発行すると、過去5年平均の市債発行額約18億円の2倍強を、単年度に市債発行することになるため、計画的な財政運営を進めていくに当たり、臨時財政対策債を除く市債発行額を、4年間で約133億円以内に収めていきたい。 』

端的にいえば、相当な市債発行を前提としなければ、現状の政策の維持と公共施設等の維持更新には取り組めないということではないでしょうか。公共施設への地方債発行については、受益による負担を世代間で公平化する観点もあり、一定理解できるところですが、将来負担を増やすことは、将来世代の財布をあてにしている部分もあり、人口減少と厳しい社会が予想される中、鈴鹿市の課題として看過できないと思います。また、議案質疑でわかったことですが、12月議会で提出された議案がすべて通過すると、次年度以降、人件費が約1億円増加することにもなり、今後の財政運営について不安が出てきます。

ここまで整理した行政側の取り組みについて、公共施設マネジメント白書の作成から、行政経営課の設置もそうですが、国からの要請があったりするとはいっても、市議会からの意見なども取り入れられながら進められており、評価のできるものだと思っていますし、実際に普段の議員活動の中でも、担当課とかなり意見交換もしています。しかし、今後、住民・市民の方々との合意形成なども考えると、現在の体制を再構築して、より強力に進める必要が出てきていると考えます。また、公共施設とインフラの課題に取り組むにあたっては、運営管理の適正化を軸に、適正な保有量の検討や、長寿命化の推進を考えあわせ、ファシリティマネジメントの観点で取り組むことが、よりよい進め方と考えています。

そこで提案したのが、ファシリティマネジメントと公民連携を所管する部門を、現在の行政経営課、管財課、住宅政策課の公共施設部門を統合し、設置することです。

この提案に対する答弁要約は以下の通りです。

『 公共施設に対する取り組みについて、津山市のような財産活用課による一元管理の形と、尼崎市のように財政担当部にFM推進担当を置き、それとは別に公共施設保全担当を置くといった二元管理とを、人口規模やメリット・デメリットなどについて比較検証し、鈴鹿市にあった体制を検討する。引き続き、先行事例の研究等を重ねる。 』

ということで、日ごろの意見交換や質問の聞き取りの過程を通じて、提案に対する課題や考え方の共有はある程度できたと感じました。ただ、状況の変化は速いため、研究を重ねることから、行動に早急にうつすことを意見として添えました。

もうひとつの論点、ファシリティマネジメントのための基金設置について。特定目的基金のうち公共施設整備基金を、公共施設の大規模改修のための基金とし、小規模修繕などのために、仮称ですが「FM・ファシリティマネジメント基金」といった名目で基金を設置し、一定額を確保してはどうかと問いました。このことについて、財政調基金のままでは「財政調整基金がある=余裕がある」と勘違いされる方もいるため、将来世代に向けて確保することが、今の世代の責任と考えるからです。この提案に対する答弁要約は以下の通りです。

『 消費的経費にあたる小修繕系の工事について、計画的で効果的な仕組みを検討したり、公共施設整備基金での運用等を検討していく。 』

この答弁に対して、公共施設整備基金での運用を検討するという部分について、実際のところ今後10年程度の間には、各学校、文化会館、図書館、各給食センター、考古博物館などをはじめとして、大規模改修が想定される施設は相当数あるので、小修繕もこちらに入れるとなると、相当きびしい運用になるでしょう。ですので、やはり小修繕系は別枠にしたほうが良いと意見をしました。

現在、広報すずかでも公共施設の課題について、特集を組んでいます。11月5日は第1回、12月5日号は第2回が掲載されています。ぜひ一緒に考えて頂きたいと思うところです。そうすると、聞こえのいい話ばかりは言えないことも気づいていただけるかと思いますし、なにより、公共施設のこれからのあり方と、鈴鹿市のまちのあり方を考える大きなきっかけになると思います。

■広報すずか11月5日号・特集

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