中国大陸初の新型肺炎ウィルスが、中国国内で相当な広がりを見せ、世界的にも広がり、日本での症例も増えつつあります。今後の広がりなどに一抹の不安を感じています。
今回のようなウィルスが広がったときのリスクについては、強毒型の新型鳥インフルエンザの発生が予見され、社会的に騒動となったとき既に予見されていたはずで、その時は議会もそうですが、マスコミなどでもかなり取り上げられていたと思います。また同じようなウィルスで発生した2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)の際も、かなりマスコミなどで取り上げられていましたし、今回も取り上げられています。
つまり、ウィルスまん延によるリスクは予見できるものだったはずです。
しかし報道の当初は、中国が春節に入る時期ということもあってか、中国からの観光客による観光収入に目が向けられていたからなのか、中国の事情も絡み合いながらなのか、リスクを訴える報道が少なかったように思います。現在でも、日本国内でまん延した場合に、どれだけ社会的影響が出るのかということについて、強毒性の鳥インフルエンザ対策を参考に語るようなことが少ないように思います。
そういう意味では、リスクを低く見積もっている状況があるのではないかと思います。
リスクを低く見積もったり、リスクを意識していなかったりしたときに、どれだけ大変な状況が起こるのか、そのことを私たちは経験していないわけではないでしょう。想定外という言葉が使われた東日本大震災での津波被害は、それにあたるのではないでしょうか。
では、津波のリスクは予見できなかったのでしょうか?
日本では各地で津波による被害が、過去からこれまでに頻発しています。そのことは、映像が記録される時代では映像記録として、それ以前には文献記録や碑文、伝承などで知られていたことだったはずです。私は、自分の父親からチリ津波の話を子どものときに聞いたことがあり、津波というものが意識の中にありました。
そのような中で発生したのが、2004年のスマトラ沖地震での津波被害でした。個人が携帯やビデオカメラなどの機器を持ち、いろいろなところで被害を収めた映像は、津波の怖さを感じるには十分すぎるほどでした。当時、そのメカニズムなどを取り上げた番組がNHKなどでも放送されていたと記憶しています。
しかし、スマトラ沖から東日本大震災までの間に、どれだけ津波のリスクが意識されていたでしょうか。
東日本大震災の被災地では、そのことが意識された地域も多かったとは思います。しかし、日本全体ではどうだったでしょうか。低く見積もられていたか、他人事のようになっていたところが多かったのではないかと思います。
そのような状況が、今回のウィルス対策でも出ていたのではないかと考えています。
ですから、今からでも鳥インフル対策を参考に、もしもの場合の行動などを確認してはどうかと考えます。マスクをするなどの対策を、個人の意識に任せるのではなく、国や自治体として考え、予防的に早期に取り組むことを考えたほうがいいのではないかと思います。