平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

龍馬伝 第16回「勝麟太郎」

2010年04月19日 | 大河ドラマ・時代劇
★長い<自分探し>の果てについに自分を見出した龍馬(福山雅治)。
 ラストの咸臨丸に乗った龍馬の歓喜!興奮!
 光に溢れ、風に吹かれ。
 身も震えるような感激というのはこういうことを言うのでしょうね。
 龍馬にとっては人生最高の瞬間と言ってもいいでしょう。
 お竜さんとの結婚、亀山社中の結成、薩長同盟、大政奉還など、龍馬は今後もこういう感激の瞬間を積み重ねて「面白い人生」を生きていくんでしょうね。

★日本はいかにあるべきか、あるべき日本のために自分はどう行動すべきか。
 この答えを勝麟太郎(武田鉄矢)に語らせるのではなく、龍馬に考えさせたのは、脚本・福田靖さんの見事な独創。
 これまで龍馬は何度も剣術で敵を追い払ってきましたが、今回導き出された答え(=強力な海軍で敵に攻め込まれないようにする)はすでに龍馬の中にあったんですね。
 勝はそれを引き出す役割をした。
 脳科学者の茂木健一郎さんふうに言えば「アハ体験」。
 無意識から意識へ、混沌から秩序へ。
 脚本の福田さんは、他人に左右されることなく<自分の行動は自分で考えて決めろ>と言っているようです。
 以蔵(佐藤健)は、龍馬とは対照的に、考えを武市(大森南朋)に委ね、考えることを放棄してしまっていますからね。

★松平春嶽(夏八木勲)との対話では、龍馬は「坂本龍馬である」と言った。
 いわゆるオンリーワン宣言。
 土佐藩士であること、攘夷論者であること、侍であること、これらでは集団の中のひとりでしかない。
 だが龍馬はこれらを否定して、「坂本龍馬である」と言う。
 龍馬はあくまで自分自身であろうとする。
 敢えて龍馬を集団のひとりとして括るなら<日本人である>ということだろうが、基本的に龍馬は組織や集団の論理に従わない。
 これも龍馬の画期的なところ。
 そのオンリーワンの生き方の継承者は岩崎弥太郎(香川照之)。
 彼もまた独自の生き方を模索する。

★「自分は何ちゃあ成し遂げとらんがです」と言ったのも龍馬。
 龍馬には「何かを成し遂げる」「何者かになる」という意識が強い。
 これは普通では満足できない、創業者・立身出世タイプ。
 これには違和感を感じる人もいるかもしれない。
 佐那(貫地谷しほり)さんは可哀想だし、「無理をして何者かにならなくてもいいじゃない」という香山リカさんの考え方もあることだし。
 最近、僕もカツマーよりはカヤマーかなと思っているし。

 だが、一方でまんじゅう屋の長次郎(大泉洋)。
 長次郎は言う。
 「日本が危機にあることを知って、いてもたってもいられなくなったとです」
 幕末もそうだが、現在の日本も結構危機。
 八百兆を超える国の借金、政治不信、先が見えない不況、格差社会、家族間の凶悪犯罪、高齢化社会、環境破壊。
 さあ、長次郎や龍馬の叫びをどう受けとめるか?


コメント (4)
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