平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

遅咲きのヒマワリ~自分を受け入れてくれる場所を見つけた時

2012年10月24日 | 学園・青春ドラマ
 こういう作品、好きです。
 地に足がついていて。
 もっとも現実はもっとシビアでモノトーンなんだろうけど、現実と虚構のブレンド具合が絶妙でいい感じ。
 たとえば派遣切りされる小平丈太郎(生田斗真)。
 派遣切りされた若者の姿が程よく描かれていると思う。
 つき合っていた彼女には別れを告げられ、市役所に勤める弟の同僚からは「派遣」と聞いて下に見られる。父親も堅実な弟の方を評価している様子。
 そこで丈太郎のモノローグ。
「俺は人生を選べる立場にない。俺を受け入れてくれるところに行くしかない」
 月9の『PRICELESS』の主人公・金田一も職を失う人間であるが、リアリティでは丈太郎の方がはるかに上。(まあ『PRICELESS』はコメディなんだと理解しましたが)

 大村郁子(倍賞美津子)を喪った後の、丈太郎の気づきもいい。
「俺、ここでの仕事、ただの雑用だと思ってました。だけど俺が雑用だって思ってた仕事は、この町の人が生きていくためにすっごく重要なことで……」
 丈太郎はすごく真面目でやさしい。
 それは、二階堂かほり(真木よう子)も、森下彩花(香椎由宇)も同じ。
 かほりは郁子の死で「この待ちの人の命を預かることの怖さ」を知り、彩花は「人間、死んじゃう時は死んじゃうんですから」と割り切っていながらもアパートに戻ると彼氏の前で「患者さん、死んじゃった」と泣く。

 脚本は橋部敦子さん。
 登場人物と真っ正面から向き合っている。
 丈太郎が引っ越して来て、はじめて郁子らお年寄りたちと心を通わせていくシーンなんかは、さりげないが実に上手い。

 この作品の見所は、登場人物たちのドラマであろうが、個人的にはあとふたつある。
 ひとつは女優さんたち。
 真木よう子さん、香椎由宇さん、そして今井春菜役の木村文乃さんが好き。
 真木さんがイスの上に片足を立てて、姉・さより(国仲涼子)と話すシーンなんかはカッコ良かった。
 同時に臨床経験のない医者の弱さやダメダメ具合、都落ちして傷つけられたプライド、何もない故郷に対しての反発など、さまざまなことを表現していた。
 また香椎さんは相変わらずミステリアスできれい!
 木村文乃さんの出番は少なかったが、不動産屋として丈太郎に家を受け渡した後、わざわざふり返って「バイバイ」と言うシーンなんかは最高だった。
 木村さんはこういう田舎の垢抜けない女の子がよく似合う←失礼!
 逆に香椎さんは逆に田舎とは不釣り合いな感じ。これがキャスティングの妙!
 そして、ふたつめの見所は何と言っても四万十の風景。
 この風景の中で描かれる青春群像劇。
 作品のロケーションというのは大事なんですね。


コメント (4)
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