権力者の傲慢と孤独。
世の中の頂に立った者は孤独だという。
リーダーとして自分の政策を推し進めるために、時には非道なこともしなければならない。
リーダーは自分の政策が民を幸せにすると信じている。
だから間違いだとはわかっていても、やらなくてはならない非道。
しかし、人はその非道を非難する。
足を引っ張ろうとする敵もいる。
だから権力者は孤独なのだ。
自分の行動が我欲でないと信じているから、誰にも理解されない孤独は尚更。
その孤独を表現したのが、清盛(松山ケンイチ)の次のせりふだ。
「わかるまい、お前にも兎丸にも誰にも……」
一方で権力者は孤独ゆえ、ズレてくる。
自分に固執するあまり、自分を客観的に見られなくなってくる。
自分の体が歪んでいるのに気づかないように。
そんな清盛を今回は西行(藤木直人)と兎丸(加藤浩次)が指摘した。
西行は世捨て人であるため、物事を客観的に見ることができる。
だから「清盛は生き急いでいる」と評した。
兎丸は常に民と共にいる。
だから民の視点で物事を見られる。
だからこう叫ぶ。
「ついにイカれたか?」
「何のための泊や!?」
「お前の国造りは、盗賊が物盗むのと同じや!」
清盛ほどの人物でも、力を持つと自分を客観的に見られなくなるんですね。
信長しかり、秀吉しかり。
どんな高邁な理想も変質し、権力は腐っていく。
かつての清盛はすべてを人の力で乗り切ろうとした。
厳島神社にお経を奉納に行く時、嵐に遭った清盛は人柱もお経を海に投げ入れることもしなかった。あくまで人の力で乗り越えた。
しかし、今回は<人柱>を容認する。<人柱>を<さまつなこと>と言い捨てる。
清盛は変わってしまった。
その変化の理由のひとつは白河院(伊東四朗)の血ゆえなのか?
かつて白河院は病に倒れた清盛の夢の中でこう語った。
「今まで見たことのない景色を見るだろう」
おそらく今回の清盛が見たものが、そのひとつ。
それは<権力者の孤独>であり<狂気にとらわれていく自分>。
今回は、兎丸の死が何とか清盛を正常に戻してくれたが、いつ再びズレ出すか?
最後に禿。
ぼくは兎丸は泊の普請の際に事故などで亡くなるのだろうと予想していたが、まさか禿とは!
それから禿の不気味さ。
自分たちは絶対的に正しい、何をしても許されるという無邪気な<純粋さ>、あるいは洗脳にも似た<自分喪失>、これらは実に不気味だ。
彼らは完全に人間でなくなっている。
人間とは、迷い、悩み、疑い、自分の頭で考えながら生きていく存在。
このことを忘れてはいけないと思う。
世の中の頂に立った者は孤独だという。
リーダーとして自分の政策を推し進めるために、時には非道なこともしなければならない。
リーダーは自分の政策が民を幸せにすると信じている。
だから間違いだとはわかっていても、やらなくてはならない非道。
しかし、人はその非道を非難する。
足を引っ張ろうとする敵もいる。
だから権力者は孤独なのだ。
自分の行動が我欲でないと信じているから、誰にも理解されない孤独は尚更。
その孤独を表現したのが、清盛(松山ケンイチ)の次のせりふだ。
「わかるまい、お前にも兎丸にも誰にも……」
一方で権力者は孤独ゆえ、ズレてくる。
自分に固執するあまり、自分を客観的に見られなくなってくる。
自分の体が歪んでいるのに気づかないように。
そんな清盛を今回は西行(藤木直人)と兎丸(加藤浩次)が指摘した。
西行は世捨て人であるため、物事を客観的に見ることができる。
だから「清盛は生き急いでいる」と評した。
兎丸は常に民と共にいる。
だから民の視点で物事を見られる。
だからこう叫ぶ。
「ついにイカれたか?」
「何のための泊や!?」
「お前の国造りは、盗賊が物盗むのと同じや!」
清盛ほどの人物でも、力を持つと自分を客観的に見られなくなるんですね。
信長しかり、秀吉しかり。
どんな高邁な理想も変質し、権力は腐っていく。
かつての清盛はすべてを人の力で乗り切ろうとした。
厳島神社にお経を奉納に行く時、嵐に遭った清盛は人柱もお経を海に投げ入れることもしなかった。あくまで人の力で乗り越えた。
しかし、今回は<人柱>を容認する。<人柱>を<さまつなこと>と言い捨てる。
清盛は変わってしまった。
その変化の理由のひとつは白河院(伊東四朗)の血ゆえなのか?
かつて白河院は病に倒れた清盛の夢の中でこう語った。
「今まで見たことのない景色を見るだろう」
おそらく今回の清盛が見たものが、そのひとつ。
それは<権力者の孤独>であり<狂気にとらわれていく自分>。
今回は、兎丸の死が何とか清盛を正常に戻してくれたが、いつ再びズレ出すか?
最後に禿。
ぼくは兎丸は泊の普請の際に事故などで亡くなるのだろうと予想していたが、まさか禿とは!
それから禿の不気味さ。
自分たちは絶対的に正しい、何をしても許されるという無邪気な<純粋さ>、あるいは洗脳にも似た<自分喪失>、これらは実に不気味だ。
彼らは完全に人間でなくなっている。
人間とは、迷い、悩み、疑い、自分の頭で考えながら生きていく存在。
このことを忘れてはいけないと思う。