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平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

相棒11 ゴールデンボーイ~人を殴り殺した瞬間、あいつは何をなくしたかがわかった。

2012年10月25日 | 推理・サスペンスドラマ
 甲斐享(成宮寛貴)のキャラクターが少しずつ作られている。
 たとえば、こんなやりとり。
 享が推理を披露。
 すると右京(水谷豊)が「おや、君も気づいてましたか」
 享が返して「一応、警察官ですから」
 前回も書いたように、享って最初の推理は鋭いのに、その後が続かない。
 推理の詰め方は右京さんの下でしっかり学んだ方がいいですね(笑)

 享は、やさしく強いキャラクターでもあるようだ。
 ラスト、右京と甲斐峯秋(石坂浩二)は、ボクサー・荒木淳(趙和)を助けられなかったことに悩む享について次のように語った。
「自分の無力さを忘れない」「償えもしないことを忘れない」
 享は自分を責める。
 もし荒木の心の中を理解していたら、彼の自殺を食い止められていたのではないかと悔やむ。
 こうして享は刑事として成長していくんですね。
 荒木を救うために自分に何が足りなかったのか、このことを享は自分に問いかけているはず。
 <忘れない>ということも大事。
 普通の人間なら、自分を苦しめる出来事は忘れてしまおうと思う。
 しかし、享は心に刻む。自分への戒め、教訓とするために。荒木の死を無駄にしないために。
 これは享の強さでもある。

 享はいい刑事になりそうですね。
 気持ちや情熱の面では申し分ないし、右京の下で推理力・捜査力を鍛えられれば最強の刑事になるだろう。
 右京が享を引っ張ってきた理由はここにある。

 それから<甲斐享編>の特徴として、毎回彼の見せ場のシーンを作るようだ。
 前回はオークション。
 今回はボクシング。
 次回は何か?

 事件については、純粋な者が欲望まみれの邪悪に翻弄され、滅びてしまう話。
 ボクシングを愛し、チャンピオンになるためにひたむきに努力する荒木は<純粋>なんですね。
 しかし、邪悪な者たちはこれにつけ込む。
 愛とかやさしさもつけ込む要素。
 そして、世の常として、純粋な者は邪悪な者より無力。
 金、名誉、性、脅迫、暴力、さまざまなものを駆使して、邪悪な者たちは純粋な者を取り込もうとする。
 普通の弱い人間なら、そのアメとムチに拠って取り込まれ、純粋さをなくしていく。
 しかし、荒木は強かった。
 それに屈せず、肉体的にも強かった彼は、純粋さを奪おうとする者を殴り殺してしまった。
 完全な悲劇である。
 甲斐享が荒木に感情移入したのも、享に<純粋さ>があったからだろう。

 今回の事件はなかなか面白かった。
 事件の動機が賭博がらみであることはすぐにわかったが、密室・偽装を見破った右京の推理はさすが。
 荒木やジムの会長を救えなかったのは、右京さんのミスかな。
 時間経過の問題はあるが、ジム会長がビル会社社長・柳田康夫(若杉宏二)を殴り殺そうとする所で駆けつける、なんて感じでもよかった気がする。


コメント (2)
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